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顕現っ!!アルヴァジオンッ!!  作者: 当世杞憂
人類の敵はやっぱり人類!?
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人類の敵はやっぱり人類!?22

 衝突音に破壊音、激震に衝撃、火花に赤色灯にサイレンと、艦橋から改修された操縦室の中はてんやわんやとなっていた。


「こなくそおおっ!!こんな所でやられてなるものですかいっ!!」

「なにをやってるカクシンッ!!腕がもげたぞっ!!クソ、ダメージコントロー……あああ艦首がもげたっ!!回復っ!!回復するぞっ!!」

「ぐぎぎぎ……馬鹿者共っ、これ以上はワラワがもたんわっ!!少しは遠慮せんかスケールッ!!」


 怒声に罵声に愚痴に文句、様々な言葉が大声で乱舞する。まったくもって、三人共に余裕がないっ!!


「技術云々じゃありやせんぜっ!!この破壊力っ!!傷つきもしない尋常じゃねぇ防御力っ!!それらでも歪みもしない骨格の強度と柔軟性っ!!そしてなにより全てを支える圧倒的なパゥワーァー!!相手取るのも馬鹿らしい程のスペック差でさぁっ!!」


「こんな……こんな事があっていいものかっ!!これではまるで夢生獣を相手取っているようではないかっ!!」


 カクシンとスケールが上げる声にサイワルサーも同意する。先程から防戦一方……というレベルではない。ギリッギリの所で大破を免れながら、ギリッギリの所で機体を操作して、ギリッギリの所で回復しつつ難を逃れているだけなのだ。自動斉射の改造法撃火器類は一切の効果もなく、それに対しこちらの装甲もパワーも紙切れのように引き裂かれている始末だ。実のところカクシンもスケールも良くやっているのだ、ただ如何せん出力に差がありすぎる。


(本来なら……通常であるのならその立場はこちらの方である筈、理解に苦しむバケモノじゃっ!!)


 心の中で悪態をつきつつサイワルサーは必死に世界樹の種ドリンクサーバーにしがみついていた。


「サイワルサー様っ!!回復が追いつきませんっ!!更に機体回復へと聖力回しますよっ!!」

「待っ……うぐぎぃぃぐぎぎ……」


 スケールのそんな言葉に反応も出来ない、彼女は彼女で必死であった。脂汗を垂らしながら必死になって世界樹の種ドリンクサーバーに齧り付く。ただ無意味にそうしているわけではない。機体維持、そして圧倒的スペック差を神業的操作でこちら側の被害を最小にしているカクシン。次から次へと破壊される部位の修復と、それにともない悲鳴を上げまくる未修理部分の慟哭を押さえつけるという悪魔的ダメコン制御を見せるスケール。それら全てを支えているのはエネルギー源たるサイワルサーの管理している世界樹の種ドリンクサーバーなのだ。サイワルサーはそのドリンクサーバーの中のコア、世界樹の種の制御で手一杯なのである。


(これ以上は……これ以上わぁぁあ……)


 必死の形相のサイワルサー。相手が金導夢兵装だろうが本来なら出力で圧倒出来る予定だったのだ。だがその立場は完全に逆転していると言っていい。サイワルサーは一歩間違えば暴走しがちな種の力をギリギリの所で引き出していた。ただそれは彼女が制御できる範囲での話である。要求されている聖力量は既にそれを超え始めておりそため彼女にかかる負荷は尋常な物ではなくなっていた。何せ卵とはいえ世界を一人で制御しているようなものなのだ。


「……こ、この声……ワラワを鷲づかみしたあの現地人か??おのれ……、おのれ、飛び抜けた才覚を持ち合わせておったかっ!!是非、とも、ワラワの……ワラワのコレクションとしたいものじゃっ!!」

「コレに勝って噂のボウズを拘束しろってことですかいっ!!そりゃ燃えてきましたなっ!!燃えすぎて灰になっちまうんで、そのご要望拒否してもかまわねぇでやんすかねっ!!お嬢っ!!」

「不可能ですっ!!今生きていることですら奇跡的なんですからっ!!現状可及的速やかに撤退を進言致しますよサイワルサー様っ!!」

「ワラワとて……ワラワとて同意見じゃ馬鹿者共っ!!しかし、その隙すらないでわないか~っ!!」


 操縦室の中に謎のガスが吹き荒れて、モニターにもヒビが入っている。ジリ貧どころの話ではなく、既に敗色一直線という気配が漂っている。


「なぜじゃーっ!!どうしてこうなったーっ!!何処で間違ったのじゃーっ!!」

「この地のユメミール共を廃せようとした時ですかねっ!!」

「いや、この絶界域へと逃げ込もうと画策した時だな」

「ワラワが思うに、ユメミール城へと忍び込み夢生獣を開放させて混乱させお宝を盗もうとした……あれがいけなかったんじゃなかろうか……あ゛っ!!」


 顔を蒼くしていたカクシンとスケールであるが、サイワルサーの上げた最後の不吉な声にゆっくりと視線を向ける。操縦室の真ん中に鎮座している世界樹の種ドリンクサーバにしがみついていた彼女と視線が合えば、サイワルサーは引きつった顔を見せてドリンクサーバからその身を卸した。サイワルサーがそそくさとカクシンとスケールの傍まで走り寄れば、ドリンクサーバ内は泡まみれとなり途端に根のような物に埋め尽くされた。更に外装から植物の枝や蔦が伸び、どんどんその領域を広げて行っている。直後、操縦室全体を揺るがす振動と破壊音。しかし、それは外部からであると共に、内部から……即ち目の前のドリンクサーバから急激に成長して太くなっていく根や枝、蔦達が起こしている物でもあった。


「ど、どうなったんですかいっ!?」

「み、見れば判るじゃろう??」

「制御に失敗したんですね??」


 動揺するカクシン、笑顔のサイワルサー、そして全てを悟ったスケールの顔。急成長を見せる世界樹が、瞬く間に槍術室を突き抜けトッカンゴー全体を飲み込んでいく。いや、飲み込むと言ったよりも支配といった方がいいのか??なぜならばトッカンゴーの機体を操り金龍と闘い始めたからである。


「ちょ、まっ!!予想外の展開なのじゃっ!!」

「それはいいっスからっ!!この後どーするんですかいっ!!」

「世界樹が目覚めた以上この世界に居るのは危険だ。ここは秘宝艦をつかってこの世界より逃亡……もとい、戦術的撤退を致しましょう」


 スケールの提案に最高の笑顔を向けるカクシンとサイワルサー。ともすれば、当面の問題は現状であった。既に操縦室内の大部分は樹の幹や枝などに浸食されてしまっている。出口も埋め尽くされた今、このままでは成長を続ける世界樹に圧し潰され圧死させられる未来しかない。


「いや、その前に喰われちまいそうですぜいっ!!」


 細かい触手のようなものが枝から伸び、サイワルサー達に絡みつこうと迫ってくる。それを引きちぎるカクシン。世界樹にとって人も星も世界も、ただの養分でしかない。


「こんな事もあろうかと、密かに脱出術式を用意しておきました。ささ、二人ともこちらへ寄って下さい」


 メキメキと幹が膨張するように生長する中、残された操縦室の一角に集まるよう指示するスケール。


「えー……、またあの脱出術式なのかの??アレ存外痛くて嫌なのじゃがの~」

「お嬢のいうとおりでさ。スケール、もっとイカス方法はないんですかい??」

「命あってのものだねと言うではありませんか。準備いいですかな??それでは、ポチッとな」


 スケールが操作盤のボタンを押せば彼の足下を中心に方陣が展開され、そのまま閃光と共に炸裂した。その強烈な爆発力を持って頭上の装甲すら破壊。煙を引きながら撃ち出された彼等は空を飛ぶ。高く高く打ち上げられ、その眼下では世界樹に半分浸食されたトッカンゴーと金龍が死闘を演じていた。


「想定より飛距離が出ませんでしたっ!!サイワルサー様っ!!」

「わかっておるわっ!!」


 爆発の影響でアフロヘアーとなり、口から黒煙を出しながらもサイワルサーが中空に方陣を描き出す。そこに手を突っ込んで、目的の物を掴み上げるとポイと宙へと放り投げた。封印されていた法術が解け、それは唐突に巨大化を始める。手のひらサイズの模型のようであった物は中型船程までに巨大化をすすめ、何事もなかったの様に緋色の船が空に浮かびあがった。そのままサイワルサー達はその上に飛び乗るや、瞬く間に操艦室へと身を滑り込ませていく。三人が流れるように操作を進め、暗かった艦橋に一気に火が灯った。


「急速潜界っ!!発芽を始めた世界樹とアレの闘いともなれば夢生獣の意識もそちらに向くはずじゃっ!!その間に無理にでもこの航路、界域を突破すのじゃっ!!界流は妨害によりいまだ荒れておるはずじゃっ!!十二分に注意せよっ!!」

「あいさーっ!!」

「急速潜界開始、出力最大。現界域より急速離脱」


 スケールとカクシンの操縦に従い秘宝艦の底部が消失するように沈下していく。空と艦の間に七色の境界線を刻みながら、その中へと船体を沈めながら前進を開始した。賞賛すべきはその一連の動作の速さ。その無駄のない動きはプロフェッショナルならではの洗練された操艦捌きである。しかし、その潜界航行も突如として一切に動かなくなった。


「なんだっ!!どうしたっ!!」

「なにか……ひっかかってる感じですぜいっ!!」


 ほぼ航路世界へと沈み込んだ船体であるが、突如として身動きができなくなった。出力を上げようが舵を切ろうがビクともしない。本来有り得ない状況、そのせいか猛烈に船体への負荷が高まっていく。ギシギシと軋み上げ、捻れるような呻きを上げる秘宝艦。カクシンもスケールも必死で原因を確かめる中、サイワルサーがとあることに感づいて悲鳴を上げた。


「か、艦尾を捕まれておる……あの龍がっ!!ワラワ達を捕まえておるっ!!」


 サイワルサーの言うとおり、秘宝艦の艦尾に金色の爪がめり込んでいた。

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