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顕現っ!!アルヴァジオンッ!!  作者: 当世杞憂
人類の敵はやっぱり人類!?
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人類の敵はやっぱり人類!?15

 状況は混乱の一途を辿っている。


「どうなってるっ!!」

「そんなの自分にだってわかりませんよっ!!」


 年配の警察官の荒げた声に、横で頭を護りつつ蹲る若い警察官が怒声で答えた。防護衣に身を包んでいるのだが、現状それだけで自身の身が安全とは到底に思えない状況となっていた。二人してパトカーの裏に身を隠したはいいが、続いた爆発音と空気を揺るがす衝撃にまた一台車両が爆散したことを理解させられる。肌を焼くのは日常の警邏任務などでは到底ありえない熱と、赤く照らし出す炎の色。


「無線は!?本署はなんて言ってきてる!?」

「無線駄目です!!やっぱ妨害電波とか出してるんじゃないですかねっ!!」

「妨害電波とか、映画やドラマじゃねーんだぞ??」

「こんな事をおっぱじめるテロ集団ですよ??通信手段の妨害する何かを持っててもおかしくはないでしょうがっ!!」


 若い警官の反論に一理あると思いつつ、再び身を低くしつつ周囲の様子を探る。パトカーの隙間から見えるのはテロリストが立て篭もっているという建物施設と燃え上がっている車両。這い蹲りながらその火から逃げ後退していく警官の姿も見えた。倒れ昏倒している警官を引きずっている者もいる。燃える車両は時折破裂音などを出し、何かが燃焼している感じを仄めかしている。そのうちガソリンに火が付きそうではあるが、だからと言って消火なんかには向かえない。同時にさっきまで五月蝿く響いていたヘリの音がしなくなっているのにも気がついた。聞こえてくるのは遠くから響いてくる何台もの緊急車両のサイレン音達だけである。


「応援の要請は!?県警のSATだかSITだかが来たんじゃないのかっ!!」

「そう聞いてますけど!!でも状況は寧ろ悪くなってませんかっ!!」


 若い警察官の言葉に年配警官も同様の感想を抱いていた。特殊部隊のヘリが到着し空からの狙撃、同時に特殊部隊突入による制圧を試みていたはずである。


(なんでさっきまであんなに飛んでいたヘリが一切いない。……報道関係のヘリを下げたのは兎も角、警察関係のヘリまでいないのはどういうことだ!?)


 上空を仰ぎ、そして今度は背にしたパトカーの向こう側を窺う。兎にも角にも建物内に潜伏しているテロリストと思われし集団の攻撃方法が全くわからない。発砲音もなければ何かを投擲されたという事もない。全く持って不明なのだが突如として警察関係の車両などが爆発するのである。


「確かもう人質はいないんですよね!?」

「ああ、拘束されていたここの店長とパートの主婦、確認に来た警備会社の警備員の計三人は既に解放さた筈だっ!!」

「本署から連絡いったんですか!?」

「そりゃ店長と主婦の家族から帰宅せず連絡も取れないとなって捜索願が出たからな、警察から警備会社に連絡して店舗の方の確認をしてもらったんだよ!!そうしたら警備会社の警備員が拘束されちまって連絡が取れなくなった。警備会社から様子がおかしいってんで通報が入ったのさ。その間に彼等は解放されちまって、今度は彼等の証言で店舗が武装集団に占拠されてると判明して今に至るわけだ!!」


 説明している間に別の機動隊の部隊が建物に向かい接近していくのが見えた。いや、テロリストの方も施設から顔を出し迎撃の構えを取っている。と、途端に響く幾つもの発砲音。


「うわっ!!」


 しかし、機動隊か警察関係が撃ったであろう銃弾はまるで風の影響を受けたかのように目標達から逸れて着弾し、跳弾して周囲へと弾け飛ぶだけであった。その内の一発が二人が盾にしているパトカーに当たったようで甲高い音と衝撃を伝えてくる。


「特殊部隊なんだろ!?エリート共が何狙撃に失敗してんだよっ!!」

「一体どうなっとるんだっ!?」


 店舗の割れたガラス目掛け投擲された催涙ガス弾も、コンと透明な何かに弾き返されかのように駐車場へと落下する。それはまるで見えない壁にぶつかったかのようで……落下し転がった弾頭から噴霧されたガスが風に流され周囲を囲んでいた警察関係車両を飲み込んでいった。風下側にいた警察官達が咽る声と咳込みをしながら逃げるように退避していく。


「まずいですよ!!離れてるこっちにも被害がでそうですって!!もう後退しま──」

「おい見ろっ!!」


 思わず叫べば若い警官も即座に顔を向ける。裏口周辺に近づいた機動隊の隊員達が中から飛び出してきた人影にあっと言う間に無力化されていっていたのだ。その姿はコンバットスーツのような物に身を包んだ獣耳と尻尾を生やしたコスプレ外国人達。警官達にはそう見えたのだがその動きは圧倒的で、瞬く間に突入部隊の隊員は殴打、関節を外され、投げ飛ばされて昏倒。それを残りの機動隊員が引きずりながら回収し急ぎ足で撤退していくだけであったのだ。コスプレ外国人達はその成果を確認することなく滑るように再び占拠している建物内へと戻っていった。


「ど、どうみても素人の動きじゃありませんよっ!!やっぱどっかの軍の特殊部隊じゃないんですかっ!!」

「そんな精鋭部隊がコスプレして、しかもこの日本の首都でも何でもない都市でテロ活動してるっていうのかっ!!」

「そんなの知りませんよっ!!兎に角僕らの手には余りますって!!機動隊や自衛隊にまかせましょうってっ!!自分らはもっと下がって住民の避難を手伝いましょうよっ!!」


 若い警官が脅えるのも当然であった。そこにはドラマや映画でしか見られない戦場に近い雰囲気が流れ出ている。


「なにを脅えとるかっ!!ドラマでよくあるだろうが!!お前もそういったドラマを見て警察官になったんじゃないのかっ!!今が……今がその時なんじゃないのかっ!!」


 年配警官がM60ニューナンブを手にいきり立つ。しかし、若い警官はその彼の袖を引っ張り逆に引き留めに入った。


「そりゃアンタが子供の頃の話だろうがっ!!今の警察ドラマじゃ車は横転爆発しないし機銃を搭載した警察車両なんて出てこねーんだよっ!!」

「……コンバットマグナムやコルトパイソン、それにショットガンとか撃ったりしないんかっ!!カーチェイスはっ!?車両横転に爆破はっ!?」

「銃撃戦するのさえ稀ですよっ!!」

「マジかよ……」


 ジェネレーションギャップに愕然としつつ、年配警官は若い警官に連れられてスゴスゴと後方へと下がっていく。


「今は科学捜査とか事件の真相やトリックなどを解き明かす捜査モノが主流ですね、あと人情もの」

「そんなん足を使った地道ないつもの仕事と一緒じゃねーか。そういうのはサスペンス劇場で十分だろ!?はぐれた純情派のいぶし銀光る熟年刑事がやる捜査じゃねーか」

「そこを格好いい若手俳優が類い希な閃きとかで短時間で解決するからかっこいいし面白いんでしょう!?結局脚本の腕の見せ所なんですよっ!!」


 そう言われては年配警官としては仕方がない。自身達も後退し警戒線に群がる野次馬市民達をもっと引き放さなければならない、その誘導に回るのだ。


「跳弾もそうだが相手は車両なんかを平気で爆破してくるような奴等だ、警戒線をもっと下げさせよう」

「無線の方も相変わらず調子悪い上に混乱しまくってますし現場判断っすね、おい!!もっと警戒線下げて俺達も下がるぞ!!」


 自分達と同じくして後退してきた警察官と合流し、黄色と黒の警戒線テープや柵やカラーコーン等を移動させる準備に入る。爆発も起こっている為か、はたまたテロ集団という情報が回っている為か、流石に今現在起こっている事件の割に野次馬達の姿は少ないが、居るのだ。


「流石に命の危険があるからか少ないようだが……それでも動画撮りに来るとか命の危険さわかんねーのか??」

「なんせ平和ボケした日本にどっぷりつかって育ってきましたからね、流石に危機感薄まってるンすよ」


 嘆く年配警官とは違い、若い警官は他の警官と情報交換を進めていく。見れば怪我をした警官がストレッチャーに乗せられ、救急車が何台か発車していく。その横で座らされ、治療を受けている警察官もいた。


「どうやら特殊部隊を乗せた警察ヘリも墜落させられたみたいです。奴等ロケットランチャーとか持ってるんですかね??」

「ヘリ撃墜されてたのか!?」

「ヘリが煙を噴いて落下していく姿を見た者がいるようです」

「……確かにヘリは脆いからな。ローター部を狙えば銃弾でも一発だったろう」

「いや、そりゃアニメや映画の見すぎでしょう??流石に銃弾一発じゃ無理なんじゃないですか??」

「しかしお前のソレはマグナム弾撃てるんだろ??マグナム弾ならあり得ん事もないんじゃないか!?」


 若い警官のホルスターに納まっている拳銃を指して言う。若い警官は首を横に振りながらそれを否定した。


「どこの日本警察がマグナム弾使用するんですか。M360Jサクラは安価なステンレス製でマグナム弾使用には耐えられませんよ」

「男の銃撃戦はやはり夢のまた夢というわけか」

「そんなに血気溢れているならニューナンブ一丁でテロリストを無力化してきてはいかがっすか??」

「馬鹿言え。俺はもう年だからな、主人公って柄じゃねー」

「いや、凄腕熟年デカってアリじゃないですか??そんな映画ありましたよね??テロリストが占拠したビルや空港を解放するやつ」

「ふむ、熟年ヒーローもアリ……か??オートマグ、いやさ44マグナムでも支給されてりゃあなぁ」


 現場から離れ、下らない雑談を入れたことで少し張り付いていた緊張も解ける。その間にも警戒線の後退作業は随時行われていた。


「よしっ!!野次馬もそうだがそれより地域住民の避難も大事な仕事だ!!逃げ遅れてる者達が居ないか別れて捜索、遠方へと誘導するぞっ!!その内応援も到着するはずだっ!!お前等、もうひと踏ん張りだぞっ!!」


 他の警官達も集まり頷き合うと、二人一組となってまた散っていく。彼等も命あってのものだねだ、流石に戦場のような前線には居たくないのである。


(あとは機動隊だか自衛隊だかに任せるしかないっ!!)


 そう思いながら年配警官は一度現場へと視線を送り、再び若い警官の後を追うのだった。

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