夢生獣大戦争2
その日、王宮は突如警報音に包まれた。それに合わせるように聖士達も慌てふためき右往左往し、一挙に混乱が城内全体へと伝播していく。ただ、その中を颯爽と駆け抜ける影が在る。影といえどその姿は陽炎のようで、周囲に紛れた保護色のように人目に付くことはない。走り回る聖士の横を通り過ぎ、宮殿の影から影へと移動して、王宮の未踏の深部へと侵入していく。いくつかの術式を無効化し、数多くの防衛装置も無力化させ、更に奥へと潜り進んだその先に……巨大に聳える岩塊が鎮座していた。それは白い縄により縛られており、その周囲をいくつもの術式が囲っている。大きく周囲を見渡せば、そこは天高い空の臨める静まり返った空間であった。岩塊はその中心に存在を見せつけるかの如く座しており、よく見ればその前に小さな社が組まれている。陽炎はゆっくりとそこに歩み近づいて行くと、静かにその社の戸を開く。小さな社のその中は術式には囲まれた小石のような種が浮いており、陽炎はその種を手に取ると──それを懐深く仕舞い込んだ。中核を成すその存在が消失した為であろうか、次第に周囲を包んでいた厳格な空気感が無くなって行く。
「……さぁ、目覚めるのじゃ。そして暴れまわれっ!!一層この時を、この世界をかき回せてみせるのじゃっ!!」
陽炎から熱を帯びた声が漏れる。途端、岩塊を縛り付けていた白い縄が緩み、周囲に展開されていた術式が輝きを失なわせ停止していく。たちどころに岩塊へと亀裂が走り、そこより10個の光球が漏れ現れれば、岩塊の上を数周したのち天高く消えていく。それを見てほくそ笑む陽炎。
「その隙に界宝を狙うと──そういう算段なのですね??」
向けられたその声に、陽炎は堪らず身を縮めさせた。自身の存在に気付いた者がいる……それは想定外の事態であったのだ。振り向きその姿を確認しようとした瞬間、眼前に映ったのは氷のように冷徹な眼光。顔と顔が付き合わされるほどまでに接近したその表情を見る間もなく、
「ガッ ゥ!!」
自身に張られたいくつもの障壁が瞬間的に粉砕され、何かが腹に叩き込まれると驚くべき速度で己の肉体が吹き飛んでいく。瞬く間に壁面へと打ち込まれるように叩き付けられると、堪らず落下するように床に崩れ落ちる。間もなくして目や鼻耳とありとあらゆるところから出血が溢れ出る。その時になって初めて蹴り飛ばされたのだと理解する。
「賊ごときが……やってくれましたね……」
耳に響くのはその足音のみ。それは明確に、姿を消している陽炎へと接近して来るではないか。
「全く持って不甲斐ない!!この程度の陽動すら見破れぬとは!!衛兵も聖士達も、そろいもそろって節穴ばかりですかっ!!」
「冗、談じゃないのじゃ。逆に、こちらから聞きたい位じゃっ!!何故気づけた!?ワラワはゼトラーゼの“ウルレイの衣”を纏っているのじゃぞっ!!」
「ほぅ、それがあの。……なかなかどうして、流石は噂に名高い透明化の秘宝というところか。しかし、ワタクシは女王です。この、ユメミールを統治する者です。そのユメミールでこのような無法など……許せる筈がないっ!!」
それは豪勢な、十二単のように重ねられた純白のドレスを着こんだ黄金の王冠を被る者である。威厳ある外観、それ以上に纏っている聖力の量が桁違い。手にするのは金銀きらめく宝石に彩られた王杖。それを陽炎へ向けて構えれば、刹那のうちに陽炎の前へと躍り出るっ!!仰天した陽炎も飛び起き迎え撃とうとして、しかしその全ての抵抗を打ち破られ瞬く間に叩き伏せられた。
「この!!貴様っ!!……まったく歳を考えよBB…」
「黙れ痴れ者がっ!!」
全て言い終える前に再度踏みつけられれば、床材をぶち抜いてその中へとめり込まされた陽炎。藻掻き抵抗するが、女王の踏みつけはびくともしない。
「陛下っ!!こちらでしたかっ!!それで賊はっ!!」
「遅いっ!!何をしていたのですっ!!外の者達は陽動ですっ!!急ぎ宝物庫の警備を強化なさいっ!!それと封印と封印石の確認をっ!!」
追いついてきた聖士達、彼女達に指示を出しつつ女王が足下の陽炎から布を剥ぎ取ると、そこには血染めの幼女の姿があった。手に取った見えない布が、力の供給が断たれた為に途端にその色を取り戻す。七色に色めく外套のようなその布は、異世界ゼトラーゼに伝わる姿消しの法具として名立たい“ウルレイの衣”と呼ばれる外套である。少し前、それが何者かに奪われたという話はユメミールにまで伝わって来ている。眼を細め、その幼女を刺し殺さんとする程冷徹な女王の視線。
「……最近近界を騒がしているサイワルサーと名乗っている界賊一味、その首領ですね??」
「界賊などという俗物共と一緒にするな、ワラワ達は……」
「──直ぐに処断したいところですが今はそれどころではありません、後々しっかりと狙いや余罪は吐いて貰うとして、封印と封印石の方はどうかっ!!封印体はっ!?」
「申し訳ありません陛下っ!!既に封印体10体、全体姿がありませんっ!!」
社を調べていた聖士達が上げた声に女王は眉をひそめた。状況的に思わしくない。
「直ぐに封印体の逃走痕跡を探しなさいっ!!同時に再封印部隊の編成をっ!!今ならまだ封印直後で手が出せるやもしれぬっ!!ここの封印体は“夢生獣”、それを留意した上での編成を考えよっ!!」
「御意のままにっ!!」
法衣を纏った聖士が女王に礼をとると即座に走り出していく。女王は別の聖士を見やり問いかける。
「城外、城内の状況はどうか!?」
「ハッ。城外の陽動と思われる抵抗勢力は既に鎮圧しつつあります。並びに城内に関しましては宝物庫、他の封印施設への警護を徹底、最高クラスの警戒態勢をもって当たらせておりますのでご安心かと」
「よし、どうやらこの者は種を盗み取っているようです。この者の収納術式を粉砕し隠し持っている界宝を総て回収──」
女王が血まみれの少女を掴み上げ指示を出そうとしたその時、周囲の聖士達に向けて巨大な火柱が発生した。生き物のように蠢き聖士達は即座に防御姿勢を取る。その間隙を火柱は抜け、虚を突いて女王目掛け一斉に襲い掛かった。近衛の聖士が女王を護るように間に入れば、その火柱は爆炎となって燃え広がって周囲一帯を炎の海へと沈めていく。各聖士達が障壁を張り耐え忍ぶ中、近衛の障壁に守られた女王も後退し距離をとる。気づいた女王がその手をみればそこにた幼女の姿がない。その事に苦々しく顔を歪める女王。顔を上げれば、血まみれの少女を担いだ厳つい男と優男の姿が見えた。
「お嬢、迎えに来ましたぜっ!!」
「陽動もバレバレのようです。ここは引き時と思われますサイワルサー様」
幼女は怪しげな二人組に抱えられながら、殺気を持って睨みつけている女王達と対峙する幼女。
「スケールにカクシンか、良いところに来た。……残念ながら作戦は失敗じゃっ!!」
「見ればわかりますとも。我々も押し切られどうにもならなくなってこちらへ参りました」
「つまり、長居は無用……てーことだなっ!!」
ひょろ長い男がサイワルサーを支え、厳ついガタイの男が即座に床に符を叩き付ける。途端に足元に広がるのは展開術式。いくつもの紋様が三人組を包み、瞬く間に巨大な鉄巨人の姿へと変化していく。
「まさか、三人乗りの金導夢兵装っ!?」
「信じられないっ!!」
聖士達が驚きの声を上げている。ついに現実化した鉄巨人が立ち上がると──、
「音に聞けっ!!秘宝秘術財宝法具っ!!」
「総ての神秘をこの手に盗むっ!!神出鬼没の大界盗!!っ!!」
「サイワルサー一味とは、我らのことじゃぁあーっ!!」
「うるさいわ痴れ者共がああああっ!!」
三人の見得を怒声と共に引き裂いたのは、やはり烈火に怒った女王であった。鬼の形相で聖士達も弾き飛ばしながら突撃しつつ、
「ルクルッ!!解錠要請っ!!変身!!ユメミール・プリンセアッ!!」
「ルク~ッ!!要請承諾っルク~ッ!!光皇変化、ユメミール・プリンセア、ルク~ッッ!!」
女王に仕えるように白のぬいぐるみが姿を現せば、王杖へと鍵を投げ込み祝詞を上げた。忽ちにして光の帯が女王を包み込み、純白のレースとフリフリに身を包んだ女王の姿が現れる。勢いをより一層増した魔法少……いや魔女は、瞬く間に七色の尾を引く王杖を振り上げ鉄巨人へと襲い掛かった。
「ギャッ!!」
サイワルサーの悲鳴を消し飛ばし、その衝撃が空間を打ち震わせる。凶悪な破壊力が走り抜け城壁に亀裂が入り、たまらず周囲の聖士達もルクルと一緒に吹き飛ばされた。ユメミール・プリンセアによる王杖での殴打による一撃、たったそれだけでサイワルサー達の鉄巨人と周囲一帯が半壊したのだ。ひっくり返り、湯気を上げのたうつ鉄巨人。その光景によろけながら起き上がる聖士達も声を殺し、女王の力の再確認と恭順の目を向けている。
「一撃で!?……冗談じゃねーぞっ!!もう一発喰らったらとてもじゃねーが機体が持ちそうもねーっ!!」
「スケールっ!!撤退っ、撤退じゃあ!!」
「言われるまでもありませんっ!!」
焦りを含んだ鉄巨人が起き上がり、隙を作るべく腕を振り暴力的な魔力波を魔女目掛け打ち放つ。だがその波動ごと逆にその身でぶち抜いて肉薄する白いフリフリを着た魔女。生足もろ出しの剛脚が半壊した鉄巨人を蹴りつければ、20メートルはある鉄巨人の巨体は轟音と土煙を引いて城壁を貫き、さらにその奥の城壁へと激突し叩き付けられ崩れ落ちた。這々の体である鉄巨人のボディはとんでもない力で打ち付けられたために陥没しており、全身から火花を煙を上げている。
「──逃がすと思ったのか痴れ者共」
「化け物が……歳を考え……」
サイワルサーの言葉は再度の轟音に遮られ、更に城壁をぶち抜いた巨人の体が城内へと突入、ピンボールのように跳ね回りながら鉄屑と化した。最早見る影もない、瓦礫に埋もれながら煙を噴出しピクリともしない鉄巨人だった鉄の屑。
「こ……こいつはやべぇぜお嬢っ!!」
「ワラワもそう思っていたところじゃ。スケール何とかならぬのかっ!!」
「た……只今……」
「させると、思っているのかっ!!」
冷気を纏った眼光を輝かせ、スパークを上げる王杖を手に歩み寄るユメミール・プリンセア。トドメとばかりに王杖を振り上げると、
「マジ勘弁じゃっ!!炸裂っ!!絶対脱出装置、ポチッとな!!」
閃光を放った鉄屑はユメミール・プリンセア諸共まきこんで大爆発を起こし、四方を焼き尽くす爆炎を膨れあげながら髑髏雲を築き上げる。その爆破衝撃にユメミール王城が震え、破壊衝撃波は天井を突き破り空へと昇った。大穴が空き、天井を支えていた柱などが落下する。瓦礫が降り注ぐ中、無傷のユメミール・プリンセアがその抜けた空を見上げれば、仲間を罵倒し合いながら黒焦げになった三人組が流れ星のように消えていくのが見えた。
「何というか、あのような自爆技を離脱術式とするとは……」
眼を細め思わず舌打ちをするユメミール・プリンセア。やりたい放題された上に逃げられたのだ、一国家が一窃盗集団にいいようにあしらわれた事になる。到底許せる事ではない。
「あの者共は“世界樹の種”を手中にしておるっ!!即座に部隊を編成し追撃、回収を命じなさいっ!!」
女王の指示に傍観していた聖士が敬礼し走り出していく。
「し、死ぬかとおもったルク」
「いそぎ瓦礫を処理するんだ」
崩れかけた部屋の中では舞う埃と煙の中、瓦礫をどかしながらルクルや聖士達が姿を見せる。それよりも持ち出されたモノにユメミール・プリンセアの思考は向けられていた。世界樹の種と言えば名だたる界宝の一つである。余程の事でもない限り発芽はしないが、大変危険なで強力なモノである事には限らない。
「各界からの突き上げは免れませんね……」
サイワルサーと言えば他の異世界をも荒らして回る界賊だけに、ユメミールの警護だけがザルであったと言う事ではない。しかし、大界であり周囲の異世界を束ねる盟主として存在しているユメミールとしては確実に突っ込まれる状況であった。界宝である世界樹の種だけならまだしも……解放された封印体達が厄介すぎるのだ。確かに世界樹の種も扱いを誤れば世界を破壊するが、それを核にして封印を施していた怪物達もまた──容易に世界を塗り替える怪物達なのだ。
「陛下、今のは……うわっ!!酷い状況っ!!」
「こちらはよい、何事か??」
「ハッ、それが大変なのですっ!!逃走した封印体の行き先が判明致しましたっ!!」
走り寄ってきた聖士は城の惨状に驚きつつ報告し、その話を聞きながら女王は踵を返し歩み進める。そのまま崩れた部屋を抜け廊下を進んでいくと、その間に白いフリフリの法衣は花弁となって散って行き、元の荘厳なドレス姿へと戻っていった。
「それで奴等はどこに??」
「ハッ。封印体は既に世界間逃走を行った形跡がありその潜界先も判明しております。現在、再封印部隊を編成、出兵に向け準備を進めておりますが奴等の向かった潜伏界域が……」
「世界間逃走っ!?……まずいっ!!」
報告を聞いていた女王は咄嗟に走り出した。
「陛下っ!!どうなされたのです、陛下っ!!」
戸惑う聖士を引き離し超高速で城内を駆けた女王は、即座に聖士達が集っていた庭園へと足を入れる。その先には多くの聖士達と術士達が動き回っていたが、その喧騒から何事か事態が起こっていることが伝わってきた。ちらりと上空を見つめるとそこへ一部の聖士部隊による紋様術式が展開されていた。
(捜査部隊による術式情報ですか……)
そこから、女王の眼が封印体が残した痕跡、彼らが進んだであろう経路、その先にある聖力のない世界、そして小賢しく隠しあざ笑うかのように設置されている妨害術式……それ等を一瞬で読み取っていく。航路を通り抜けた先にあるのはユメミール達異世界に寄り添い、それでいて対となる別の存在としての世界。
「絶界域……陰の世界かっ!!」
しかし女王とは違い、多くの聖士達は未だ観測解読術式を読み、逃走した封印体が残した経路や痕跡を辿ろうと必死になっている。それとは別の部隊、一部の序列の高い聖士達などは別の術式を展開し励起を開始し始めていた。彼女等の顔色は良くはない。その理由は女王にも既にわかっている。
「急ぎなさいっ!!夢生獣共の追跡妨害術式が展開されつつありますっ!!発動すればどうなるかわかりませんっ!!」
女王の言葉に聖士達の緊張が高まっていく。追跡妨害術式が展開されれば最後、夢生獣達の完全な逃亡を許す事となる。はたしてその妨害術式がどういったものかも詳細には判らない。そう、追跡さえ出来なくなる可能性があるのだ。
(流石に対応が早い、その上で予想よりも強固な妨害術式!!このままでは殆どの者が間に合わないっ!!)
今回の一連の事件、それはサイワルサー一味による犯行が起因だったとして、世界を塗り替える夢生獣の解放と世界樹の種の紛失は明らかにユメミールの失態となる。それは責任云々よりも、それこそユメミールさえ破壊しうる危機でもあるのだ。女王は焦る中視線を動かし可能性を探った。そして見つける。辛うじて、ギリギリの刹那の差で間に合う者達がいる。
(エルマ、アイシスッ!!)
彼女達が妖精を従え、術式を奔らせる姿を見た。駆け寄ろうとしたその瞬間、自身の持つ王杖が反応を示す。
(何が起きている……っ、これはっ!!)
ソレは王杖の中から手を伸ばしてきていた。堅固に施された封印術式が内部から紐解かれていく。まるで拘束を振り切るように術式を引きちぎり、自身の存在を示すようにその身を輝かせ現出してきていた。女王ですら始めて眼にするその宝玉に、一瞬眼を引かれ──、
「妖精ポッコルッ!!これを持って行きなさいっ!!」
王杖から零れ落ちたのは金色に輝く宝玉であった。それはユメミール女王が代々守り通してきた王杖に封印されし宝珠。国宝、いや、界宝である。それを女王は娘達に投げて託すことにしたのだ。妖精ポッコルがそれを受け取った瞬間、アイシス達は流星となって天へと昇り、見えない壁を突き抜けると波を打ってその中へと消えていった。直後に上空を覆う色とりどりの稲妻達。術士と聖士達が展開した観測術式等を撃ち焦がし、雷撃の刃と化して世界間の回廊を焼いていく。アイシス達に一拍遅れた聖士達が流星となって空へと昇れば、何かに激突し生きたような雷に次々に焼かれ重傷を負って撃墜されていく。
「展開している界間渡航術式を放棄なさいっ!!空間壁にぶつかれば聖法衣ごときでは怪我程度で済みませんよっ!!術士は撃墜された怪我人の救護を急ぎなさいっ!!」
女王は声を張り指示を出し、残った聖士達と術士達の動きを見守りまとめ上げた。
(全くしてやられました。こうなってはあの子達に全てを託すしかありません)
あまりの失態に溜息を吐く。今後の事を考えると頭が痛い。周囲の異世界からの突き上げは確実であろう……考えるだけでも憂鬱になりそうであった。しかし、それ以上に逃走した封印体達のことが気がかりであった。あの怪物達は世界を塗り替えるバケモノ達なのだ。アイシスは次期女王候補とはいえまだ未熟な聖士で若い。はっきり言えば若輩に、それも数人程度の聖士達に解決できるレベルの話ではない。
(全ての術式を内包すると謂われる魔導大全の書。もしその知識を引き出せたのであれば力となるのでしょうが果たして……)
自ら封印を解いたと見える宝玉。そのタイミングからしてアイシス達に託したのは間違いではないのだろうと思う。しかしその成否は今のところ分からない。彼女達に国宝を預けてよいものか??そう問われれば素直に肯定できる者はいないであろう。それでも女王はその決断に後悔はなく、清々しい顔で高い空を見上げた。すでに雷はその姿を消し、空を覆っていた術式の痕跡すらない。その視線の先には何事もない高い高い澄んだ空が続いているだけだ。しかしその裏で、ある世界へ向けての回廊は地獄の如き荒れ具合を見せている。
(あとは彼女達に任せるしかない。妖精と、そして夢聖士三人でなんとかするのですよ)
空を見上げつづける女王は、ただそう願うのであった。




