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顕現っ!!アルヴァジオンッ!!  作者: 当世杞憂
深海の大決闘
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深海の大決闘18

 それは尋常ならざる怪物であった。海洋生物と陸上生物の覇権をかけた戦い??そんなものはどうでもいいっ!!一歩間違えなくともコチラの存在を消し飛ばされるかもしれない……それほどのバケモノだったのだ。


(ギョー。正に最後のボスに相応しい怪物ギョッ!!)


 カッサーナとしては冷や汗ダラダラである。どういうわけか知らないが、アチラは非常~に遅れてやってきた。最早因夢空間の展開が持たなくなる……その直前と言ってよい時間まで現れなかったのだ。その間にカッサーナは世界を塗り替え、自身に有利な地形すら構築するに至っていた。時間的圧迫は心理にも影響を及ぼす。猶予の少ないアチラ側は考える間もなく特攻してくる他手段がない。これだけの好条件、優位性を誇った上で……その上で、一瞬でそれを塗り替えさせられそうになる。


(正直、二度と相手したくない相手ギョッ!!)


 それがカッサーナの感想だ。龍という外観が、魚の形をとるカッサーナにより重圧を加えてくる。意識せずとも食う者、食われる者を想像させる。こちらの攻撃をモノともしないその防御力はどうだ!?自身の世界へと塗り替えたそのリソースを使い、世界を自分で埋め尽くして手数でそれを打破せんとした。……だのにその龍は、こちらの全力を持ってしてその鱗に傷を付けられる程度。正に強さを象徴とした怪物の権化。吐き出されるブレスは破滅そのもの。あの烈光が直撃すれば、本体である自分自身ですら消し飛んでしまうであろう。


(そんなブレスを連射してくるとか……頭おかしいギョッ!!)


 あまりの理不尽さに逃げ出したくなる。しかし、それもあと少しで終わりを迎える。もう少しで因夢空間が終わり、世界が夢から醒めるのだ。カッサーナが改変した事柄を、世界が認識し肯定するのである。陸上生物達からすれば、突如として一都市が消滅し海と化しただけとなるかもしれない。だが、その理解できない非現実、“未知”や“摩訶不思議”というものを知る事となる。それは陸上生物に限った話ではないのだ。カッサーナの魔力という物に塗り替えられたことを認めた事で、“世界”と呼ばれる者の意識が変わる。有り得ない力の存在を認める……その衝撃は自ずとこの世界全てに波及し変化をもたらしていく。そう、それは初手であり王手。世界は未知の力を意識し、そしてそれの発芽に至るであろう。


(この数分耐え凌げば、小生達の楽園が待っているギョッ!!)


 主権の奪取……いや、もともと生物は海から派生したのであるのだから返還であるっ!!この星の陸と言う物は海へと帰り、そして水の星と呼ぶに相応しい海洋生物の天下となるのだ。カッサーナの齎した変化は眷属達を進化促進させ、新たな生態系のもと、この地球は今までにない新世界へと生まれ変わるのだっ!!


(ギョーッ!!ギョーッ!!小生は抜きん出るぞ同胞共っ!!この世界は小生、カッサーナがいただいたギョ!!)


 変化を齎した基点のカッサーナにはより大きな力が集まるであろう。そうなれば夢生獣の中から一人抜きん出ることとなる。他の夢生獣は指を咥え、他の組み易き世界を探すしかない。


(これから小生の滝登り的覇道が始まるギョッ!!――……ギョ??)


 カッサーナは手を休めることなく分体に追撃を行なわせていた。俯瞰して見ている戦場だからこそ気付くモノがある。突如として海底域に術式がいくつか励起したのである。


「ヤツのモノではないギョ、感じる力が違いすぎる。別の者の介入……いや、設置型の攻勢術式ギョ??おそらくはあの夢聖士共ギョね??」


 測定される力の具合から今のカッサーナにとっては脅威とはなりえない。カッサーナがそう判断するや否や、その術式は聖力波動を解き放って自壊した。術式達は連鎖的に破裂して波動を広域に渡りに撒き散らしていく。その威力はケーニッヒカッサーナはおろか、半壊した分体達ですら破壊できない程度である。しかし、その波動……波を浴びた途端カッサーナの背筋に奔るモノが在った。


(想定通り大した威力もなく波動が奔り抜けただけギョ……奔り抜け??つまり、聖力波動をアクティブソナー代わりとしたギョ!?)


 音響反射ではどれが本体かは明確にはわからない。第一ケーニッヒカッサーナとその分体達、そしてアルヴァジオンが起こす騒音にまみれ何がなんだかわからない状況であろう。しかし、聖力を主軸とした抵抗反射なら話は別だ。聖力魔力はこの世界には浸透していないもの…この世界の物質は聖力に対して抵抗力が極めて弱く、その逆に――本体は分体よりもその抵抗値は遙かに高いのだ。


「ギョアッ!!」


 カッサーナはそれ以上思考を深められない状況に追いやられた。視界の向こうに撒き散らされる術式の瀑布。それは龍が撒き散らす“死の気配”そのものに感じられたのだ。同時に発生した有り得ない聖力出力の観測にケーニッヒカッサーナの機体が震え上がる。カッサーナは反射のように仰け反り全速で泳ぎソレから距離をとる。分体達の統率など最早眼中にない。


(あの撒き散らされた術式は火薬ッ!!そして有り得ない出力の種火が燃え上がり――)


 その手から逃れようと、その範囲から逸脱しようと、ケーニッヒカッサーナが流星のように海を駆ける。通り過ぎていく流水の中で、最早目視することは敵わない程にまで距離をとった死神の声が聞こえる。


「アルヴァジオン──イグニッション」


 直後の衝撃、ケーニッヒカッサーナは水中で水の壁に叩き付けられる。鋼鉄の全身を粉々にされる様な力の爆発、それが生んだ水中衝撃波に叩き付けられたのだ。いや、力の爆発は尚も広がり、その破壊波がカッサーナが築き上げ改変した世界そのものを吹き飛ばしていく。海水も陸地も構わず抉り飛ばす圧倒的な破壊という名の力の暴力。それは地表を焼き払う地獄の業火のようで──、


「……って、何考えているギョかああああっ!!」


 まさしくカッサーナの改変など比にならない程の大破壊が行なわれたのだ。そのことに逆にカッサーナは驚愕していた。未知、摩訶不思議、神秘を隠匿すべき者達が……率先してその力で大破壊を繰り広げる、その事に理解が及ばない。もう間もなく因夢空間は解けるのだ!!逆に世界の者達を消し去ってしまい、誰にも気付かせない……誰も生きていない世界を事前に作り上げておく作戦か??迷いと予測に思考が鈍る。だからこそ、注意がそれていた。戦場に置いて敵から注意を逸らすなど――敗北と、死を意味する行為である。


「──ッ!!ギョエエ!!」


 突如としてケーニッヒカッサーナに襲い掛かってきた衝撃に、カッサーナの動転は混乱を極めていた。未だ乱流荒れ狂う海底、その底から急速浮上してきたモノに引っ掛けられ、ケーニッヒカッサーナの機体が強制的に上方へと引き上げられているのだ。その勢いのまま海面を突き破り、ついに大気の下へとその姿を露出させる鋼の魚体──そしてそれを掴み引きずり出した金龍の姿。


「ギョ!!貴様――」

「ぅおりゃああああっ!!」


 罵る間もなくカッサーナの視界が空転する。搭乗席に座るカッサーナに掛かるGが、機体の受ける……投げられている速度を物語っている。ライナー打球のように飛んだケーニッヒカッサーナの機体は海面の上を水切りのように跳ね飛んでいく。体制を整え海面にしがみ付くように踏ん張れば、一気に水の抵抗がかかり速度を落として飛沫の中に沈み落ちた。だが、その間に確認できたことが在る。


「~っ!!やられたギョっ!!」


 間もなくして、沈んだケーニッヒカッサーナ目掛け追撃してきた龍を向かい打つべく、カッサーナは機体の手にトライデントを現出させた。

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