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顕現っ!!アルヴァジオンッ!!  作者: 当世杞憂
深海の大決闘
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深海の大決闘4

状況は夕飯を食べながら聞く。いたって普通な出来映えの肉じゃがを口にしながらポッコルの話しに耳を傾けた。


「ふーん……じゃあポッコルは夢生獣レーダーみたいな役割を担っているんだ??」


要約した正宗が味噌汁を片手に言った。両手におにぎりを抱えるポッコルは頷き返す。


「そんな感じポ」

「妖精族はー、夢生獣の現出を事前に感じ取ることが出来るんですよー」


ポッコルの頷きにエルマが補足をする。


「……なんでこう次から次へと……。それで??今度はどこに出そうなんだ??」

「ポッコルの感じた結果なのですが……その……」


正宗の問いかけに言いよどむアイシス。今度はポッコルとエルマに視線を向けるのだが二人とも視線を合わせようとしない。どうにも嫌な予感を感じ始める正宗。彼女達の態度が、その報告は良い物でないのだと明確に告げているからだ。


「どーしたんだ??どこよ??」

「う~、あ~」


冷や汗をダラダラと掻くアイシスはモジモジと身体をうねらせている。


「小便か??我慢せずにはやく便所行け」

「ち、違いますっ!!……その……現出ポイントは……あの、えっと……再び、この土地……らしいのです」


言いづらそうに小声で言うアイシス。それを聞いて正宗が顔を向ければ、彼女は悲鳴を上げて視線を逸らした。仕方が無いのでポッコルとエルマへと視線を向ける。二人ともガタガタと身体を揺すりながら明後日の方向を向いている。決して、正宗と視線を合わそうとしない。よくよく意味を噛みしめてみる。


(この土地ってことは、再びこの街が……とどのつまりまた戦闘に巻き込まれる……そういうことだよな??)


何度か冷静に思考してみたが、それ以外の意味合いを見いだす事は正宗には不可能であった。


「……どういう事なのかな、ポッコル君??」

「し、しらないポ!!ほんとポよっ!!相手がたまたま……たまたま!!また!!再度この地を選んだ!!それだけポ!!これは決して、絶対に!!神に誓って妖精族は無関係ッポ!!関係しているとすれば夢聖士、アイシス達のせいポよっ!!」


流石は妖精族、保身のためにベラベラと身勝手な言い訳を垂れ流すではないか。……まぁ、案の定アイシスに叩きつぶされているわけであるが。


「……何かが漏れてるとかそういうことか??たとえば、お前等の聖力──とか??」

「ないですー!!け、決してありませんー!!コレに賭けて誓いますー!!」


エルマがサッ下着を差し出した。それを一瞥する間もなくバシッと弾き落とす正宗。無残に床に落ちる下着。


「ああああ!!それ、私の下着……エルマ!!なんでいっつも私の下着を使うんだっ!!」

「こんなんどうでもいいっ!!それよりも本当だろうなっ!?お前等マジで夢生獣を引き寄せてないだろうなっ!!」


こんなんといわれたアイシスは涙ながらに下着を拾っていた。しかし正宗の疑問にはポッコルもエルマも肯定を示している。誓って引き寄せてなどいいない、と。


「んんー、なら実は今度の相手がトンテッキの手下だった……とかいう可能性は??親玉の敵討ち、みたいな」


サッと思いついた理由付けを言葉にすれば、ポッコルは首を捻っている。アイシスとエルマの表情からも、それはどうやら考え難いようであった。


「んー、考えられないこともないわけではないんだポけど、基本アイツ等仲が良いわけじゃないポからねぇ」

「どーいうことだ??」


夢生獣達の生態もなにもしらない正宗には解り辛い。


「夢生獣とひとくくりにしていますがー、彼等も一枚岩では無い……ということですよー」


エルマの注釈にポッコルも頷く。


「彼等は一体で世界を変える力を持っていますー。逆に言えばー、一体が世界を自分色に変えてしまったのならー、違う個体達はその世界を奪い塗り替えるかー、或いは別の世界を手中にすべく向かうしかないわけですー」

「そうポ。いわば全員がライバルに近しい存在ポ。だから基本まとめてかかってくるとか、徒党を組む等は考え難いんだポ」

「ユメミールの歴史、それに近隣各異世界の歴史や記述を見ても、そのような事は見当たらなかったですね」


その説明を受け正宗も合点が行く。つまり一国に多くの王はいらない……そういうことなのだ。


「だから今は、実は夢生獣達も牽制しあっている状況の筈なんです。封印されていて各個体共に力が戻っていない、ヘタに手を出せば我々に再び封印されかねない。誰がその状態で手を出すのか……手を出したのなら、どんな結果となるのか……各個いろいろ観察している筈なんです」


アイシスが下着を大事そうにしまいながら席に戻りつつそう漏らした。いや、そこには気になる点がある。


「いや!!待てよっ!!トンテッキが攻めてきた時、あの野郎ソコ……ウチの駐車場まできたぞ!!アイツ等が地上を見られてるんならもうココもバレてんじゃねーのかっ!!」

「それは多分無いポね」


正宗の焦りにポッコルが冷静に返してくる。


「因夢空間内での事は中々他者も覗き見できない筈ポ。相手だってライバル達に自分の手の内を晒したくないポ??ポッコル達も情報遮断術式を展開しているし……まぁ十中八九大丈夫ポよ」

「ただー、またこの地に現れようとしているのは……確かに気になりますねぇー」

「それは今はどうでもいい事です。ポッコル、それでどうなんです!?いつごろ現れそうな感じですか!?」


アイシスは鋭さを増した眼つきでポッコルを睨みつけた。既に戦闘態勢といった意気込み具合である。


「んー想像以上に速そうポよ。正宗、地図あるポ??」


トテトテと机の上を歩いてくるポッコルに向け、スマホの地図アプリを向けてやる。ポッコルはスマホの上をその手でなぞりスライド……、


「くそ!!動かないポ!!ポッコルの身体がスマホ対応じゃないからポかっ!!」

「いいから貸してみろ」


ポッコルの代わりに指示を受けながら地図を動かしていく。


「……港方面だな」


ポッコルが気配を感じるところは湾に面した港のある地帯であった。この街には港がある。ただそれは自動車の輸出入がメインの港であり、鮮魚を扱っている漁港を思い浮かべられるとちょっと違う。港周辺は自動車メーカーの工場が並び、整備工場やパーツセンターなどの施設が並んでいる工業港といった具合なのだ。


「この辺りに明日の午後、現出しそうな雰囲気ポ」

「成る程、じゃあ明日からは警戒を厳としないといけないな。エルマ、剣の具合はどうです??」


アイシスは真剣味を増して一度瞑目すると、エルマに向かって問いただした。エルマは両手を広げて首を横に振る。


「前回のー、トットリッキーの金導夢兵装体カオストリッキーとの戦闘のダメージがまだ残ってますー。現在整備中ですが即使用はお勧めいたしかねますー」

「そう、ですか……」


エルマの回答にアイシスも顔を曇らせた。


「へー。アイシスが捕まえたヤツもロボット化したのか??」

「金剛魔導夢想兵装、な。前半はラブリージュエルも間に合わず苦戦続きでしたが。万全となれば弱体化している夢生獣に遅れは取りません」

「最終的にはこちらもカードを切りましたー、金導夢兵装の有無も伝わったはずですー。つまり相手からしたらー、こちらはいきなり金導夢兵装体を出してくる恐れもあるということですー。そう考えれば相手ももっと慎重になると踏んだんですがー」

「どーいうこと??」

「トンテッキの時と同じポよ。今まで夢生獣達は封印されてて弱ってるポ。だから因夢空間内でエネルギーを補充し、眠ることで体内でそのエネルギーを使って進化するポ。虫の幼虫が餌を食べ力をつけて、蛹をへて成虫と化す……それと同じポね」

「それを繰り返すことでより強大となりー、そしてやっと金導夢兵装が使えるくらいまで回復するわけですー」


その説明を受けてやっと理解する。確かに着ぐるみトンテッキの時にアイシスがロボットで追いまわせたのなら、勝率はグンと上がるのだ。こちらもアイシスが金導夢兵装を有している以上、夢生獣側からしたら弱っている芋虫の状態でロボットと相対する危険性が出てくるわけだ。迂闊に手が出しづらくなる……筈であったのだ。


「だがヤツ等はやってきた……やっぱりこちらの事情が漏れてるとか??」


正宗が一番怪しそうなポッコルを見つめる。


「確かにおかしいですね」


アイシスが冷たい視線をポッコルに向ける。


「疑惑は深まった……ですかねー」


エルマが意地悪そうにポッコルを見つめる。


「フッ、皆ポッコルに期待の眼差しを向けているポね??まかせるポよ!?ポッコルがお前達を勝利の道に導いてやるポ!!」


ポッコルはその意図を勘違いして興奮して止まない。まぁ兎も角、今はそれどころではないのは確かであった。


「ではとりあえずー、アイちゃんがラブリーアイシスで当たりましょうー。上手くそれで撃滅できればいいですしー」

「それしかないですね、でもエルマは平行して剣の整備は進めておいてください」

「わかりましたー」

「正宗はポッコルと一緒に見学ポよ」


ポッコルの一言にびっくりする正宗。


「なんでだよ!!俺関係ねーだろうがっ!!」

「そうですよポッコル。正宗を危険に近寄らせてどうするんです!!正宗は無関係の現地人なんですよ!?」


アイシスも文句を上げるがポッコルは引かない。


「しかし夢生獣はこの地に現れようとしているポ。そういった意味で言えばレアモノの正宗は再び狙われる可能性もあるポし、仮に襲われた場合相手がどんな形状、攻撃法をしてくるか知っとかないとキツイポよ??」


ポッコルの言い分には一理あった。


「うーん、でも逆に知らなかった相手方にマー君の存在を知らしめてしまう場合もありますよねー」

「ま……マー君??」


エルマが悩んでいるが正宗としてはその愛称に度肝を抜かれるばかりである。


「いーじゃないですかー!!いつの間にかアイちゃんとはアイシス正宗って呼び合うようになってんですからー!!わたしだって愛称で呼んでもかまわないじゃないですかー!!」

「いやっ!!それは戦闘という緊迫した状況だったからついっ!!でもでも後からまた戻すのもなんだとなと思ってですね……!!」

「まぁ、別に俺はどっちでも構わんが」


しどろもどろに赤くなりながら反論するアイシスとは変わって別段興味無さそうな正宗。


「ではではー!!一致団結したところでまた頑張っていきましょー!!」

「話を聞いてくださいエルマ!!別段私は特に意識しているわけでもなくだな!!そのなんというか──……」


舞い戻ってきた非日常は、こうして再び正宗を泥沼へと沈めていくのであった。


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