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顕現っ!!アルヴァジオンッ!!  作者: 当世杞憂
始まりの物語
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始まりの物語20

 暗い暗い夢の中、誰かの……世界の夢の中、ここはその端の世界も気付いていない意識の狭間。現実と夢の境界線。そこに今、三匹の獣が集まっている。それはまるで出来損ないのゆるキャラ達。まるまるとして、ファンシーで、どこか憎めないような……怪物達。牛のような、鳥のような、羊のような姿をした異形種である。


「トンテッキがやられたか……──だが所詮ヤツは我等肉々四天王の中でも……中でも、ナンバー2だモーっ!!」

「そりゃ豚肉言ったら使い勝手多いですからトリ。勿論カウカッタが安定のナンバー1として……」

「問題はこのラムダッチャとトットリッキーのどちらがナンバー3かということだメー」


 向かい合った三者が沈黙する。


「断然っ!!このトットリッキーがナンバー3トリっ!!どう考えても鶏肉の方が需要、供給的に一般的だトリっ!!」

「ふざけんなメー!!そういうことであればラム肉のほうが珍しさ、そして高級感といい印象強いであろうメーっ!!」


 トットリッキーとラムダッチャが激論を飛ばす。


「高級感!?高級感といったトリ??ただ癖があって一般的に食されにくいだけだトリ!!」

「はは馬鹿がっ!!ラム肉といえばやはり高級品っ!!古の供物も子羊等昔から愛されておる伝統ある肉であるメーっ!!その辺をパタパタ飛んでいるお前らとは違うメーっ!!」

「はあああ!?我等にもブランド鳥はさまざまいるトリ!!第一!!我等には最強兵器卵があるトリ!!卵は食生活に大きく影響する食材トリっ!!鶏肉を使った料理も豊富、羽毛は有体に言って高級っ!!もはやトットリッキーの勝利トリっ!!」

「何を言うメーかっ!!ラム肉を扱う専門店の多いことっ!!羊乳はいわずと知れた牛乳とは違った栄養素が豊富で乳製品にもなっており、ウールの暖かさは世界が知るところメーっ!!その点お前等は庶民的過ぎるメーっ!!」

「まぁまぁ、その辺りでやめとくモー。これ決着つかないモーよ??」


 二人をとりなすカウカッタ、それに免じてトットリッキーとラムダッチャも上げた腰を戻す。


「問題は次誰が行くかということモー」


 腕を組んで悩むカウカッタであるが、それにはバサッと素早く手が上がった。


「はいはいはーい!!トットリッキーがいくトリー!!」

「「…………」」


 カウカッタとラムダッチャが顔を見合わせる。


(こいつ馬鹿かモー??トンテッキがやられた事実をどう考えているモーか??)

(ホラ、所詮こいつら鳥頭だからメー。もう忘れてるんじゃないメーか??)


 ヒソヒソ話している二人を見て首を傾げ出いるトットリッキー。


「ではトットリッキーに任せるモー。他の面子にもそう話しておくモー」


 カウカッタがそう納得すれば、ラムダッチャも頷いていた。それを見てふんぞり返るトットリッキー。


「ふんっ!!龍だか何だか知れないトリが、所詮ヤツとて地を這う獣。大空を制した我等鳥の前にはその爪も牙も届かないトリ」


 大見得を切り、バサリと羽をなびかせ立ち上がると颯爽と去っていくトットリッキー。


((案外やりおるかも))


 残された二人は、トットリッキーのその勇姿を見送るのであった。



*************************************



「──ただいま入ってきたニュースですね。ドバイに怪獣出現というニュースが飛び込んできました」


 TVの中でキャスターが笑いながらニュースを取り上げている。


「えー、ドバイの朝をあざ笑うかのように巨大怪獣らしき足跡が現れ、交通網に支障をきたしているようです。現在芸術家などの悪戯でないかという──」


 ドバイに現れた怪獣のような足跡、陥没した恐竜の足跡のような道路の映像が流れている。コメンテーター達も面白おかしく意見を言っているが、


「あーもーっ!!ニュースになっちゃてるじゃないですかーっ!!」


 鉄家ではエルマが頭を抱えていた。


「でもでもだって!!私達だって限界ギリギリだったんです!!」

「アレだけじゃなんもわかんないだろ!?だだだ大丈夫だって……」


 身振り手振りで自分達の行いを訴えるアイシスと、青い顔をして座る正宗の姿がある。正宗達が行った世界の目覚めはそりゃあもうギリギリで、アルヴァジオンの出力を持ってしてもすぐさま元通りとは……行かなかったのだ。結果、アルヴァジオンの足下だけが回復せず、その前に離脱する事となりドバイには龍の、アルヴァジオンの足跡が残ってしまう結果となった。


「まぁ……確かにー。証拠も何も……っていうかー??コメンテーター達の言うように悪質なー、悪戯的な物という事に落ち着くでしょうけどー」

「聖力反応もなにも残ってないポよ。大丈夫ポよ……きっと」


 エルマの感想に包帯グルグル撒きのポッコルも相槌を打って見せた。そしてその目でアイシスと正宗を覗き上げる。


「それよりも、そっちの二人組の露出の方が心配ポよ」

「ううう……もうこの世界嫌だ、ユメミールに帰りたい」

「正直絶望的だったけど……本当大丈夫だろうか??」


 顔を覆うアイシスと悩む正宗。ギリギリだった二人とポッコルはそのまま跳んだ時と同じ要領で日本へと帰還し、術式を解いた。……解いたはいいのだが……衣服も吹き飛んだままであったのである。ラブリーアイシスやエルマイール等の夢聖士達の聖法衣は変身解除の後、元の服へと戻るのだがどうやらアルヴァジオン変化の場合は違うらしく、彼等は正に全裸で鉄家近隣に降り立ったのだ。戸惑う間もなく世界は正常に目を覚まし、携帯も連絡手段も何もない彼等はエルマとも連絡を取れず……やむなくポッコルに先導を頼みながら鉄家までダッシュを敢行、白昼に全裸で駆け回るという偉業を果たしたのである。


(ご近所様に見られていなければいいが……)


 まぁそこは山腹にある家。人の気配は皆無と言ってよかったからいいものの、それでも中には山道散歩コースを利用する一般人もいる。油断は禁物だ。


「──ていうかですねー、あの金導夢兵装はなんだったんですー!?一体全体どー言うことなんですかーっ!?」

「わーっ!!略さないでエルマっ!!聖導、金剛聖導夢想兵装です」


 止めるアイシスにエルマが食らいつき質問攻めにしていた。


(正直俺に聞かれてもまったく持って説明できねーし理解不能だから、すまんアイシス)


 アイシスの受け答えにエルマが問い返し、しかし専門的過ぎるのかアイシスもあやふやでエルマが歯軋りをしている。


「兎も角だ、これで一段落なんだろ??おめでとう」


 正宗が手を差し出せばアイシスとエルマが顔を見合わせ、正宗の方を向いてその手を握り返した。


「ありがとう。確かにこれでやっと一歩目です」

「大変でしたー」


 思い返せば中々に刺激的な日々であった。経験したことのない非日常……それは今後の人生に置いてもきっと忘れられない経験となる。正宗はアイシスとエルマのこれからも続く戦いにエールを送りたかったのだ。


「……ハッ!!アイちゃんっ!!その手離しちゃ駄目だからー!!しっかり握ってー!!」

「えっえっ??……わ、わかったっ!!」


 握手する手をがっしり両手で捕まえるアイシス。突然のことに正宗が驚きを隠せないでいる。


「ちょ、どーいうつもりだっ!!」

「もちろんー、今後とも宜しくー!!……って意味ですけどー!?」


 してやったり顔のエルマと解っていなさそうな顔のアイシス。


「どういうことですエルマ??よくわからないのだけど……」

「アイちゃん、この男はですねー、今回の事が一件落着したのだからわたし達をここから追い出そうとしているのだよーっ!!」

「なーっ!!それはマズイです!!マズイですよ正宗っ!!」


 言われた意味に気付き正宗の腕に抱きつくアイシス。そんな彼女を必至で引き剥がそうとする正宗。


「ふざけるなっ!!カタがついたんだろう!?これ以上俺を巻き込むなっ!!つーか解決したんだからはやく出て行けっ!!」

「何も解決してませんーっ!!あと9体夢生獣はいるんですーっ!!」

「だとしてもっ!!トンテッキの野郎はたまたまこの街に現れただけで、他のもこの街に現れるわけじゃないんだろーがっ!!」


 正宗の言い分は正しかった。確かに他の夢生獣もこの街に現れるわけではない。だが──、


「拠点がないのは……漫喫暮らしは嫌なんですよっ!!」

「そーだーっ!!行くあてのないわたし達を追い出すなんて横暴だー!!……頼みますよー見捨てないでくださいよー」


 アイシスに続き、エルマも正宗に縋りつき始めた。そんな横で、寝転がって尻を掻いているポッコル。


「まぁ、あの桁外れの戦力を手放すのも……もったいないポからね」


 核心を突いた一言に三人の目がポッコルへと集中する。突如正宗は一層暴れ始めた。


「ふざけんな!!俺はもう戦わんぞ!!第一お前等ユメミールのヤツ等のポカなんだからお前らだけで解決しろ!!」

「その為にもです!!是非ともっ!!是非とも住まわせてくださいっ!!もう野草を食って過ごすのは嫌なんです!!再び文化的人の生活を知ってしまった以上それ以下には、戻りたくはないんだぁ!!」

「死活問題なのですよー!!毎日ゴリゴリのサバイバルー、それだと生きるだけで精一杯で戦いなんて二の次になっちゃうんですよー!!みすてないでください~」


 こうして、まだ奇妙な共同生活は続いて行くのだった。

トンテッキ編終了。次回から新章です。


あー……、どこかに幸運落ちてないかなぁ。

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