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顕現っ!!アルヴァジオンッ!!  作者: 当世杞憂
始まりの物語
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始まりの物語16

 蕩けるような暖かさに包まれながら、その中でぼんやりと何かの姿を見る。長大な身体をうねらせて進むその姿は天の川の様だ。それが正宗を認識して這い上がるように浮かび上がってきた。渦を巻くように、正宗を包み上げるように蒔きついて来る。


(──操者を認識、登録完了。接続開始……本体からの入出力を確認、指定機構の稼働開始。炉心出力上昇中。続いて構成体をアジャスト、フレーム形状変更、適正化完了……)


 何かの意思が伝わり、そしてその者の姿が正宗に合うように、同期しやすい形へと姿を変えていく。短かったその腕は力強く、添えられていたような足は強靭なものへ。それは透けるように、正宗の五体へと重なっていった。


(永劫の時を……待ちわびた、吼えよっ!!我の名は──)


 自身の放った雄叫びに意識が完全に覚醒する。


「顕現!!アルヴァジオンッ!!」


 ()()()言わされた自身の声で意識がはっきりする。それはビッグトンテッキのような鋼鉄の機人の中、その操作を任されている。


「どうなってるんですコレッ!?」


 そう叫び声が聞こえればタンデム機のように、正宗の眼前のその席にアイシスが着座して……装着されていた。そう、装着だ。アイシスはアルヴァジオンを動かすのに必要なサポート要員、パーツの一つでしかない。操作の全ては正宗の手に委ねられている。


「どーいうことかはこっちの方が聞きたいんだけど、アイシスさんっ!!」

「こんなの知りませんっ!!恐らくは金剛聖導夢想兵装のようですが……二人乗りなんて聞いことないし……前っ!!来るっ!!」


 アイシスの怒声に視線を上げれば、視界に映る映像が操縦室から外界へとシームレスに移り変わった。眼一杯に迫るのは巨大な鋼豚。その強烈な前足パンチが頭部へと叩き込まれ、後方へと抜ける衝撃が突き抜け機体を大きくのけ反らせた。間髪いれずにしゃがみ込み力を溜めた鋼豚が、破壊的な体当たりを敢行してくる。今度は全身を貫く直撃を受け視界が大きく揺れる。数十メートルは弾き飛ばされ、ビルを薙ぎ倒しながら転倒する。


「くそっ」


 悪態をつきながらも身体を起き上がらせ体制を建て直す正宗。後退する龍と残心を取る豚の姿。


「あわわわわっ!!大丈夫ですか!?正宗っ!!」

「なんとか……」


 状況をモニター越しに眺めていたアイシスの心配声に応える正宗。しかし豚の攻撃の衝撃は、正宗自身にもそれなりのダメージを与えていた。


(殴られた頭と、体当たりを食らった胸が痛い……)


 機械の体が受けたダメージが自身のダメージとなって伝わってくる……戸惑わない方がおかしい。


「わわわわ……うぅ……痛覚軽減に出力調整……、各部へ回す聖力量の分配は問題なし。なら敵機の分析に……うぅ……、こういったのはエルマの領分なのにぃ……」


 後方で操縦する正宗の動揺を感じ取り、すかさずアイシスが自身の前に広がる紋様を操作し補助へと回る。それは即座に効果が表れ、正宗に伝わる痛みも収まりその心情にも余裕が生まれてきていた。


「ってかこのままだとやられるっ!!コレ、どうやって動かせばいいのさっ!!アイシスさん、そっちでどうにかできんのかっ!!」


 正直、ロボットどころか重機の運転経験、自動車免許すら持ってないのだ。住んでいる場所が山腹という事で流石に買出しの利便性も考え原付免許だけはさっさと取得したが、原付とロボットでは操作法も違えばその複雑さも違ってくるというものだ。目の前の二つ飛び出した水晶がコンソール系とは思われるが、使い方は??と聞かれればさっぱりなのだ。


「無理です、私の方ではサポートしかできませんっ!!この金剛聖導夢想兵装体は貴方を根幹に顕現している」

「どーいうこと!?」

「あの時祝詞を唱え服が弾けとんだろう!?多分、法衣すら通り越していきなり金剛聖導夢想兵装になる程の強力な聖力と術式が作用したのだと……術式が大きすぎてタイムラグが発生し、数分後にやっと励起した結果でしょう」


 アイシスは自身の前の紋様盤を操作しながらそう告げた。確かにあの時謎に服が弾けとんだのは事実だ。それが今になってこういう形で現れたというのであれば、あの現象にも意味があったということなのであろう。つまりこの金導夢兵装体を発動したのは正宗ということになる。聖力のない正宗が何故こんな術式を展開発動できるのかは疑問に思うところであるのだが──、


「兎も角今は目の前の敵に集中しなさいっ!!その目の前の水晶をその手でしっかり握り締めてっ!!以前言ったとおり聖法衣は衣服の延長です、金剛聖導夢想兵装もその先にあるものでしかありませんっ!!ようはアレです!!着ぐるみを着ている感覚ですっ!!」

「着ぐるみを……いや、着ぐるみなんて着たことないぞ!?」

「そんな事知りませんっ!!それよりもまた来ますよっ!!」


 アイシスの言葉通り、ピンク色した豚が猛然と突撃してきていた。

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