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顕現っ!!アルヴァジオンッ!!  作者: 当世杞憂
始まりの物語
14/108

始まりの物語14

「ついに……ついに目覚めてしまったポね」


 戦慄くポッコルの背中。いまだかつて見せた事のない存在感を放つポッコル。その姿は何かを期待させるに十分な姿であった。そんなポッコルの神々しい姿を見て、正宗達は息を飲む。


「目覚めたってー、……何がですかー?」


 エルマイールが問いかければポッコルは振り返りつつニヒルな笑みを浮かべた。自信に溢れるその表情、疑う余地もない。


「もちろん、ポッコルの隠された超絶パワーポっ!!」


 そして両手を挙げて歓喜するっ!!


「ポッコルはいま究極のパワーを手に入れたポーっ!!」


 金色のオーラを纏うポッコルは確かに強そうではある。期待感MAXなのは否めない。こう、なんというか追い詰められた現状だ、それを打開しうる希望を持たせるのには十分な姿なのだ。


「……それでどうなんだ!?アレどもを倒せそうなのか!?」

「フッ、別にポッコルが全て倒してしまっても……構わんポだろう??」


 自身ありげに答えるポッコルであるが、


「言っとくがそれ……負けフラグだぞ??」

「ホントポ!?……かっこいいと思ったんだけど……人間界は奥が深いポね」


 正宗の言葉に顎に手を当て悩むポッコル。一気に期待感が暴落していくのを感じる正宗達。そうこうしている内にブヒブヒという息遣いが聞こえ始めていた。周囲を見回せば壁面から伸びてくる豚の腕が幾つもある。続いてグイグイと何匹ものトンテッキが塔の上へと登りきってきた。そして、


「ブヒー……ブヒー……き……きつかったブヒー……きゅ……休憩ブヒ」


 登ってきたトンテッキ達は軒並み仰向けに倒れ荒い息を吐いている。流石に豚に壁登りは堪えたらしい。そこいらに転がっているファンシー豚達は息も絶え絶えだ。その隙を見逃す手は無い。


「今ポっ!!スーパーウルトラグレートハイパーワンダフルポッコルクラァーシュッ!!」


 金色のポッコルが寝っ転がるトンテッキに襲い掛かる。強烈なワンツーを入れ……、


「…………全く効かなかったポよ」


 消沈しながら帰ってきた。


「お前いったい何がしたいんだよっ!!」

「うるさいポっ!!ポッコルにだってコレがなんなのかわかっていないポよーっ!!」


 正宗とポッコルのやりとりで正気を取り戻したエルマイール。咄嗟に状況を確認し、


「今の内に逃げますよーっ!!」


 走り出すエルマイール、そんな彼女に即座に続く正宗とポッコル。そして、


「見ろブヒっ!!……ハーハー……ち……痴女がいるブヒー」


 未だ息の荒いトンテッキ達が嘲笑する。彼等の視線の先には、腕で大事なところを隠しながら走るアイシスがいた。


「うるさいこっちみるなっ!!見るな豚ど……お前も見るな正宗えっ!!」

「いや、それは無理だろう??中身は兎も角、外見は申し分ない美人が裸Yシャツで走っているんだぞ!?男なら視線を向けてしまうのは仕方が無いだろうが!?」

「そうですよアイちゃんっ!!夢生獣トンテッキですら衣服は着用しているのにーっ!!そんなではユメミールの聖士達がまるで露出狂だと思われてしまうではないですかー!!」

「眼福ポー」

「もういやだっ!!この世界も王位継承権もどうでもいい!!ユメミールに帰りたいっ!!」


 凝視する正宗に羞恥で真っ赤になりながらアイシスは泣き叫んだ。まだ息の整わないトンテッキ達は見送る以外動けない。その間に正宗が昇ってきた階段に跳び込もうとする一同。しかし、


「そうは問屋が……おろさないブヒーっ!!」


 咄嗟に先頭のエルマイールが足を止める。向かっていた階段口のドアが吹き飛び出てきたのはもう一体のトンテッキ!!これで退路は完全に断たれてしまった。足を止めた正宗達ににじり寄るトンテッキ分体。


「さて……いよいよ年貢の納め時ブヒ!!全方位から一斉に襲い掛かり捕らえるブヒよっ!!」


 飛び出してきたトンテッキが吼え、合図とばかりに腕を掲げ上げた。


「いや……待つブヒ……」

「……正直……まだ、全然回復していない、ブヒ……」

「ブヒー……ブヒー……思った以上に無茶だったブヒ……あ、わき腹イタイ」


 だが他の壁面をよじ登ってきたトンテッキ達はまだ立つのもやっとのようであった。仕方なしと溜息をつくと単体で挑むトンテッキ。その凄まじいチャージに対し、即座にエルマイールが腰から符を取り出した。投げればそれが正面に広がり力の壁を形成する。そこにトンテッキのチャージがモロに激突し、障壁が紫電を上げ悲鳴を上げた。


「弱いっ!!そこの痴女と違いお前は弱いブヒねっ!!」

「痴女っていうなっ!!」

「うー……いつまで持つかー……」


 障壁を維持するエルマイールの顔に危機感が見える。咄嗟に正宗はポッコルに詰め寄った。


「光ってるならなんかあるんだろう!?ホントになんなのかわかんないのかよ!?」

「くそっくそっ!!わかんないっポっ!!全く一体全体この光はナンなんだって話ポよおっ!!」


 ポッコルが踏ん張りそう息んだ瞬間、ポッコルの股の下にゴロっと金色の玉が転がり落ちた。咄嗟に正宗と周囲のトンテッキ達は顔色を青くし自身の股を手で押さえる。突撃していたトンテッキも絶句し、内股気味に後退する。


「お……お前それって……」

「……その……大丈夫ブヒか??」

「違うポよっ!?決してポッコルのタマではないポよっ!?」


 ポッコルは金色の玉を拾い上げ必死に言い訳をする。だが、ポッコルが近寄るだけ皆、ポッコルから距離を取る。


「何故に距離をとるポっ!!」


 ポッコルは地団駄踏んだ後、


「あれ??ポッコルの耀きが失われているポ」


 自身の変化に気づいたようである。どうやらその金色の玉がポッコルの耀きの原因であったらしい。じっくりと玉を見るポッコル。


「こ……これはっ!!ユメミールの至宝、四十八手の輝玉ポっ!!」


 驚きを上げ、金色の玉を掲げるポッコル。しかし、アイシスとエルマイールは首を傾げていた。


「そんなもの……聞いた事がないんですが??」

「はいー。わたしも初耳ですー」

「あたりまえポ。いま適当に言っただけポ」


 適当をほざいた妖精がエルマイールに踏んづけられた。兎も角、エルマイールはポッコルから奪い取り手にした金色の玉をアイシスに向け差し出した。


「アイちゃんー!!」

「え!?汚くない!?本当に大丈夫??」


 嫌そうな顔でそれを手にするアイシス。だが、金色の玉は何の反応も示さなかった。顔色を失うアイシス達、最後の希望、アイシスの変身に耐えうる聖法具であるという期待が崩れ去ってしまった。


「では……これで終わりブヒねえっ!!」


 勢いづいたトンテッキが再度襲い掛かる。対して再度防ぎに入るエルマイール。彼女の額には脂汗が浮見て取れる。支援型のエルマイールではトンテッキを防ぐ事すらままならない状況であった。


「こ、こうなったら私がやるしかないですっ!!」


 亀のように蹲っているアイシスが決死の覚悟を決めた。その表情を見て正宗は息を飲む。それこそ死をも覚悟したような表情だったのだ。


「どうするんだ!?」

「恥ずかしいけどこの姿で跳び込むしかありませんっ!!合図したら顔を出来るだけ背けてくださいっ!!」

「それは確約できないっ!!」

「「…………」」


 アイシスの覚悟に正宗は正直に返答した。意味深な沈黙がただよう。


「ふざけている場合じゃないんですっ!!この世界の瀬戸際なんですよっ!!」

「ふざけているんじゃないっ!!瀬戸際だからこそ女性の裸も見れずに死ぬのは嫌なんだっ!!」

「「…………」」


 互いに平行線の会話が続く。


「ギャーっ!!」


 トンテッキに押されエルマイールがより強く踏ん張った。その所為で断末魔を上げる足下のポッコル。周りを見れば、いよいよ他のトンテッキ達も立ち上がって回復してきている。万事休す、身を強ばらせる正宗。


「……兎も角、まずこれを──」


 アイシスが正宗に金色の玉を差し出す。仕方なく正宗がそれを手にした時、強烈に輝きを増す金色の宝玉。それは太陽の如き眩い光を放っていた。その輝きに、トンテッキ含め一同が驚きを上げ、固まる。


「──宝玉が……反応した!?」


 アイシスが呆然と正宗を見上げる。途端、


「頭に浮かんだ祝詞を読み上げてくださいっ!!ポッコル、解錠をっ!!」


 アイシスが叫べばエルマイールも足下のぬいぐるみ体を解放する。その間にも、正宗は言われた通り頭に浮かんだ呪文を口にしていた。


「リヒカバイフィ=ニショケミューコン=カインゼロイカ=ユメソウサ!!」

「解錠術式承認ポッ!!顕現!!アルヴァジオン……ッポー!!」


 ポッコルの手の中に生まれた一つの鍵。それが今、マサムネの手の中の宝玉に突き刺さった。

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