都市伝説
遅れました、許してください。
このまま歩いていくとエマと鉢合ってしまいそうだ。
今考えると、猫語と犬語は違うよな
どうやって今までダイヤモンドとコミニュケーションを取っていたんだ?
「猫丸、よくダイヤモンドと遊んでいたが
犬の言葉は理解できたのか?」
「動物同士ならわかるわよ
人間だけよ、他の生物の言葉がわからないのは」
「わかりやすく言うなら
地域の訛りみたいなもの、関西弁みたいなね
あんたも勉強すればわかるんじゃないの」
俺はその時眠子間さんが言っていた
言葉を思い出した。
[心が通じ合えば言葉の壁は無い]
人間以外の動物は、元から心が通じ合っているのか?
そんなことを考えながら歩いていると
ダイヤモンドとよく遊ぶ公園に来ていた。
「ダイヤ君!元気!?」
ダイヤモンドを見るや否や
走り出して向かって行ってしまった。
「愁様、あの方は?」
俺は迷ったが、知っていることを話すことにした。
説明している時、エマは何言ってんだこいつみたいな顔をしていたが、最終的には信じてくれた。
「まぁ…そんなことが…」
「俺も詳しくは全くわからないんだ」
今日の深夜帰ったら、見知らぬ少女が
座っていた、それが猫丸だった
まるでファンタジーだ。
「ですが愁様と猫丸様、すごくお似合いですわ
一瞬、愁様がお付き合いになられたのかと思いました」
「な、何を言ってんだよ…」
俺と猫丸が付き合う、か
たしかに、今の猫丸はかわいい。
人間になった途端異常に魅力的になったのは事実だ。
しかし魅力的だったのは
猫の時からだ、猫の時からあいつは
普通とは違う感覚だった。
そしてふと公園を見ると
ダイヤモンドと猫丸が仲良さそうに話をしている
人間と犬なのに、話が通じ合っていた。
「最近家の方ではどうなの?」
猫丸が問うと、ダイヤモンドは
キャンキャンと元気に答える。
「心が通じ合うか…」
ダイヤモンドと猫丸は心が通じ合っているようだ。
親友だもんな、当たり前か。
「エマ、ちょっと見ててあげてくれ」
「はい」
ここは眠子間さんの店が近い
今度お邪魔すると言っていたが
待ちきれないので先に会ってしまうことにした。
しかし、本日臨時休業と書かれた張り紙が
扉に貼ってあり、鍵も閉まっていた。
「…怖いな」
最近は中に眠子間さんが入っていると
雰囲気で店が明るくなっている気がしていたが
いないとやはり不気味な店だ。
静かすぎる、吊るされている人形の音が
カチカチと響きわたるくらいに。
「俊隆に聞いてみるか….?」
猫の知識は割とあるだろうから
少し聞いてみよう、多分意味は無いが。
「猫丸ー、ダイヤモンドもう帰るってよー」
「じゃあまたねダイヤ君」
「またな、エマ」
「ごきげんよう」
エマと別れ家に帰っている時に
猫丸に聞いてみた。
「ダイヤモンドの言葉、わかったのか?」
「当たり前でしょ、まぁ猫の時よりは
聞き取りにくかったけど」
アパートに着き、俊隆の部屋に光が灯っていたのを見て、部屋に入った。
「俊隆ーいるかー」
「おぉ、どうした急に…って」
俊隆が猫丸の方を見て
すごいスピードで俺の近くに来て
俺の耳元で囁いた。
「お前…ナンパとかできたのか?」
何を言ってんだこいつは。
「ちげぇよ」
「なんだ、面白くねぇな
俺はこの人と付き合ったのかと思ったぜ」
お前もそれを言うのか
急に大声で話す俊隆の声が
猫丸の耳に入ったようだ
顔を赤らめて、俯いている。
「だから違うっての」
こいつに言っても信じてもらえなさそうだが
知っている全てを俊隆に話した。
途中笑われたりしたが、最終的には真摯に聴いてくた。
「なるほどな」
「なんかわかるか?」
「少し心当たりがあるな」
さすがにそんな返答が来ないだろうと
思っていたが、なにかあるようだ。
「なんだ?」
「俺都市伝説とか割と好きでな
よく動画とかサイトを見るんだ」
初耳だった
信じないタイプだと思っていたが。
「そのサイトで記事を見つけたんだ」
そう言って俊隆が
ノートパソコンを見せてきた。
俺たちが住んでいる地域の話だった
動物を他の種族に変えてしまう怪異
名前はゾクカエ小間。
夜中に自分が飼っているペットが突然消え
探して帰ってくると、人間になっている
というもの。
人間でいる間は1日ほど
それからは普通に戻るそうだ。
「いかにも都市伝説らしいな」
「だろ、正直あまり信じていなかったんだが」
「窓に、種族を変えさせてもらった、と
この張り紙が貼られているらしい」
そう言って画像を見せてきた。
「たしかに、少し関係はありそうだな
ありがとう」
「あぁ、このことは俺たちの秘密だ
知られるといろいろとまずい気がする」
「そうだな」
そう言い、俺は俊隆の部屋を出て
自分の部屋に戻った。
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ゾクカエ小間?なにそれ