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発見

寝落ちしてました。

あれだけお嬢様らしいお嬢様なら学内で話題になりそうだけどな、昨日会った時もだいぶ豪華だったからな。

『うわあいつあんな豪華なドレス着てるぜ〜』とか『普通あの格好でくる〜?』とか…悪い意味で目立ちそうだな、俺と俊隆はどうも思わないけど。


「お嬢様?」


「そうお嬢様、最近話題になってたりしない?」


「ああああ〜なんか豪華なドレス着てる人がいるってのは聞いたな」


「見たことないの?」


「俺人とあんまり関わらないしな、いつも席は端の方だから」


そうだ、コイツは極度の人見知りで今のところ俺しか話す相手はいないんだった。よく生き残れてるな。人見知りなのにモテ気味…?


「あら。愁様」


「あっうす…」


「おい、この人がエマだよ」


「あっはは…そうなんすね…加藤俊隆です…」


なんで俺にも人見知り出てんだよ、かなり前に終わっただろ俺への人見知りは。


「俊隆様でよろしいのかしら?お初にお目にかかります、エマ・レーザンでございますわ」


手と顔で俺にジェスチャーする程きょどる状況ではないと思うんだがな、エマも明らかに引いてる顔してるし、ここじゃ目立つな…変な噂とかが流れでもしたら俊隆が死ぬから外出るか。


「てことで俊隆よ、今日はバイトが休みだ、猫丸とダイヤモンドが一緒に遊んでるとこ見ようぜ!」


「なんでっすか…二人で行ってくださいよ」


「それやめろ。良いだろ!行こうぜ!」


「まぁ…良いよ」


なんだか高校生とかに戻った気分だなぁ。猫丸と出会って、世界が変わったような気がする。明らかに生きるのが楽しくなっている、やはり生きがいというものは生活をしていく中で必要なんだと実感している。猫丸は今日もかわいいねぇ〜。




「ほら!取ってこい!」


嫌がってた割にはノリノリで棒を投げるな、だが流石は体育会系、今は辞めたが野球をずっとやってきたそうだ。俺はずっと文化部だったから、書道部。ん?野球部で極度の人見知り?


猫丸は投げた棒を取りに行かずに俺のそばにいる、エマと俊隆にあまり懐いてる感じはしないし、ダイヤモンドと仲良いくらい。まぁ猫はみんなそんなもんか。


「ふぅー結構疲れるな」


「野球やっててもか?」


「もう二年やってないからねぇ、鈍るもんよ」


二年やってないにしてはなかなか速いスピードで棒飛んでいったな、一回木に引っ掛かってたし。


「そうだ、ここから道の奥になんか建物見えたから行ってみようぜ」


「ただの家じゃないのか」


「いや、店みたいだったな、エマも行けるか?」


「よろしくってよ、まだ時間はありますわ」


打ち解けがはやぁい。


「よし、じゃあ行こうか猫丸」


公園から出て少し歩くと、ボロいというかレトロというか古民家のような家が建っていた、所々に人形がぶら下げられていてかなり不気味だ。扉の前にはほぼ人間と言っていいほどのリアルなかかし…こんなの夜に見たら腰抜かすな。


「怪しい」

「怪しい」

「怪しいですわ」


三人とも同時に「怪しい」という言葉が出た。そりゃそうだろう、遠目から見ればただの古い家だが、近くに来て見れば古い人形がぶら下げられている家とか。


「これをどう見て店だと思ったんだ?」


「この辺りに古民家なんて珍しいから何かしらの店だと思ったんだ」


確かに珍しいが…店だとしてもこんな怪しい&不気味な店に客は入ってくるのか…?


「いらっしゃい」


リアルなかかしの間から四十代くらいのおばさんが出てきた、はっきり言って怖すぎる、漏らしそうだった。さすがのエマたちも怖がっているようだ。


「入りなさい」


「お邪魔します…」


普段ならこんな怖い場面でついて行くなんて無いんだが怖い雰囲気の裏側になにか暖かい感情を俺は感じた。


「なんだここ…」


「改めて、いらっしゃい!ここはペットのお預かりをしている店よ!それと、言ってくれれば占いもしてあげる♪こう見えて占い師もやってるのよ♪」


さっきまで怖い雰囲気だったおばさんが別人のように明るくなった。逆に怖い、だがやはり裏では優しいおばさんだな。これも接客で鍛えた眼だ、ヤバそうな客は基本なにかしらの理由をつけて追い返している。


「さっきはごめんなさいね〜怖がらせちゃってここは家の外見を見ても帰らなかった人しか入れないことにしてるの。あなたたちが初めてお客様よ!」


そりゃあんな不気味な家見て入る人はいないだろうな。


「預かりってことは、何時間かここに預けれるんですよね?」


「そういうこと、早速預ける?」


「ここどう?猫丸?」


大学とバイトに行ってる間預けれるのは安心だが、猫丸がどう思うかが重要だ。しかし意外なことに落ち着いている、怖がると思っていた。他の動物がいても威嚇したりもしない。


「大丈夫みたいだけど、どうする?」


「では明日お願いします」


「おっけー♪明日ね、何時に来ても良いわよ」


「さっき凄い数の動物の声が聞こえたんですけど…飼ってるんですか?」


俊隆が聞きたいことを聞いてくれた。


「そうよ!見る?」


部屋のカーテン開けてくれた瞬間、動物が見えた。12匹くらいはいるんだろうか。店に入ってから驚きすぎて表情を変えずに何も言わないエマも気になるが動物たちのインパクトが強い。家の中の小さい動物園か…幼稚園に通ってた時の夢は家の中に動物園を作ること…成長してからはあまり考えなかったが、いいなぁ…


「この子たち、全員飼って良いんですか?」


「家で飼っていいのは大体いるわよ♪」


ペンギンやリスザル、インコなどのいろんな動物がいる、争わないんだろうか。そんなことも思ったが、ダイヤモンドも怯えることも吠えることもしていないのでこの子たちとも仲良くできそうだ。


「エマ、良かったな、ダイヤモンドと仲良くなれそうな子たちがここには多くて」


「えぇ…本当に…」


「じゃあ帰るか」


「えぇー…もうちょっといたい」


「もう時間も遅いぞ」


「わかったよ、ありがとうございます」


そう挨拶し店から出た。夜見るとめっちゃ怖いなこの店。客が来ないのに動物たちの世話はどうあやっているんだ…?しかしそんな疑問も猫丸を見ると消し飛ぶほどに月夜に照らされている猫丸の顔は綺麗だった。

ここまで読んでくださりありがとうございます

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