タイムスリップ?
今回、かなり文字数が少ないです。
「ねぇねぇ、あたしの意識を過去のあたしに
持っていくとかできない?」
「どういうこと?」
「さっきは空から全部見たけど
安全圏から見るのとまた体験するのとじゃ
かなり違うと思うのよ。
だから全部を思い出すためなら
また、同じことを経験しなきゃダメじゃないかなって思ってね」
「なるほどね」
そう言うと小間はどかりとソファーに腰を下ろして言った。
「いいの?あなたはまた凄く辛い体験をする事になるのよ?」
そんなことはわかってる
空から見て、中途半端に思い出して
全部を思い出せないまま
モヤモヤしながら生きるのは嫌。
あととっとと思い出してここから出て
早く愁に会いたい。
「覚悟は、できてる」
「わかったわ、やってあげる
でも今は消耗してるから少し時間はかかるわよ」
「終わったら愁に会わせてよね」
「そんなに斎藤愁が好きなのねぇ」
「前も言ったけど、一緒にいると安心する
ずっと一緒にいたいと思うし
なによりも…愁がいると幸せになれるの。
で、あんたは嫌いなんだっけ?」
やっぱり恥ずかしい…
普通には言えないものね。
「まぁね、あんな親ヅラしてるようなのはね
あんなのはね、拾ってしまったし捨てるわけにもいかないし、あなたが可愛いからって理由でしか一緒にいないのよ」
「それは違うわね、愁はそんなカスではないわ
愁の行動は完全な優しさよ。
いつも自分より他人のことを心配したり
地位が違くても、いつもと変わらないで
接してあげる、そんな優しさの塊のような
男なのよ、愁は」
生活してそこまで時間は経ってないけど
少しは愁のことはわかっているつもり。
「そうなのね…そこは謝るわごめんなさい」
「わかれば良いのよ
会話もしないで、相手のことを何も知らないのに批判するのは良くないって愁が言ってたわ」
「そうね、斎藤愁とは一度話さないと
いけないわね…」
あれ、今何を言ってたか聞き取れなかった。
「ん?今なんか言った?」
「いえなにも、さぁ体力も回復してきたし
斎藤愁に、拾われるところまでで良いわよね。
始めるけど、大丈夫?」
「心配無用」
「まる…お母さんはいつでも見守っている
からね、愛してるわ、まる」
そう言い、小間は涙を流しながら
あたしを抱きしめた。
抱きしめられた時、言葉に言い表せない
安心感が、あたしを包んだ。
「ちょっと、どうしたのよ」
「うんん、なんでもない…さぁ、始めるわよ」
そう言うと、小間はいつものように
あたしの目に手を振りかざした。
そして、意識が遠のき…
現代から過去へ、意識が送られる。
記憶は過去の時と一緒、今の記憶は一度消され
現代に帰ってくる時に戻る。
飛ぶ時の感覚は、少し気持ち悪いようで
飛んでいるような感覚。
時間を遡っていくと
さっきまでしていた会話も思い出しにくく
なっている、記憶が過去に戻りつつあるから
だろう、帰ってきたら、戻ってくると
分かっているのに、愁との思い出を
忘れるのがすごく怖い。
さぁ、あと少しで記憶が過去に戻る。
その瞬間が来るまで、あたしは目を瞑る。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
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みなさんは「猫丸」と呼んでいますか?それとも
「まる」と呼んでいますか?
どちらも名前なのでどちらで呼んでも大丈夫ですヨ。