真実と気持ち
ついに愁の気持ちが明らかに…?
猫丸の件をエマに相談すると
不安げな顔で話を聞いてくれた。
「まぁ…そんなことがありましたのね…
承知致しました、私も出来る限り
お手伝いさせていただきます」
ダイヤモンドが他の犬にも怯えなくなり
楽しそうに生活できてるのは猫丸のおかげだ
エマも感謝しているのだろう。
「さて…保健所と警察に電話だな…」
昨日から俺はずっと泣きそうになっていた
眠子間さんが来たら泣くかもしれない。
「落ち着け、猫丸は無事だ」
「あぁ、そうだな…」
今日はバイトは休んだ
とてもできる状態じゃないし、ポスターを
貼ったり、色んな場所へ聞き込みに行くのが
忙しかった。そして、眠子間さんが来るまで
俺は全く落ち着けなく、痛いくらいに
心臓がドクドク鳴っていた。
それから1時間ほど経った頃
また聞き込みに行こうと外に出ようとした時
チャイムが鳴った。
ドアを開けると、眠子間さんが立っていた。
「ごめんねぇ…遅くなって」
「眠子間さん…ありがとうございます…」
俺は眠子間さんを見た途端、安堵なのか
何なのか、泣きかけていた。
「それで猫丸ちゃんはどこにいるの?」
「それが…昨日…」
昨日のことを眠子間さんに伝えようとした時
俺は猫丸のことを思い出し、泣き崩れてしまった、まるで何か止めているものが無くなったかのように。
「あらあら…どうしたの?」
そんな眠子間さんの優しい顔を見て
余計泣いてしまった。
気が済むまで泣くと、俺は眠子間さんに
昨日起きた事を話した。
あんなに泣いたのは久しぶりだった。
「いやぁ、泣きましたね」
「泣いたのはいいけど、ゾクカエ小間…
心当たりあるわね」
「本当ですか!?」
思わぬ返答が帰ってきた。
「うん…その子、私の妹なのよね…」
「そうなんですか…ん?妹…?
妹ってことは家族なんですかね?」
もっと他に聞くことがあるだろうが
俺の脳にはそんな返答しか浮かばなかった。
「実の妹っていうか、拾われた子なの
話は少し長くなるんだけどね」
「私のお父さんが仕事で帰ってくる時に
路地裏で見つけた子、酷く痩せこけていて
今にも死んじゃいそうってくらいね」
「その子が家に来たのが私が20くらいの時
最初は凄く優しい子だったのだけれど
次第にあまり感情を出さなくなって
家を開ける時間が多くなったの」
「そして今、私が50過ぎて間もない頃
妹は30後半くらいになった時
結婚することになって家を出て
『まる』という子を産んだらしいの」
まる…?まるという名は
まるの保険証に書かれていた名だ。
「そして、まるという子は
どこかの業者に盗まれ、売られ
飼われ、捨てたれた
愁くん、もう分かる?」
「はい、理解しました、そしてそのまる
という子を拾ったのが俺なんですよね」
「だとすると、妹さんは猫なんですかね」
「そういう事になるわね」
だが俺の中でまだ分からないことがあった
妹さんがゾクカエ小間だと分かった理由だ。
「なぜ妹さんがゾクカエ小間だと
知っていたんですか?」
「1度家に帰ってきたことがあったの
その時に鞄を見てみたら
種族を変えさせてもらったって紙がたくさん
出てきたから、その時はなんなのか
分からなかったけど」
その場で書かずにたくさん持っておくのか。
「そして、最近になって私が
飼っていたペットが人間に変えられたの
その時はペットも数日で元に戻ったけど
元の姿に戻してくれとずっと言っていた」
「どんな子も人間になりたいとは
思っていない、だから私は出来る限りの
動物を保護しようとしていたの」
だから動物の預かりをしていたのか
そして、あの店の前の人形は
ゾクカエ小間から避けるための魔除けか…
「ごめんなさい、猫丸ちゃんを
守りきれなかった、だから
私も猫丸ちゃんを探す…
出来る限りの事はするつもり」
「わかりました、とりあえず
妹さんを見つけないとどうにもならないので
がんばりましょう」
そう言い、俺たちは握手をした。
猫丸…お前は今どこにいるんだ?
俺は今になって気づいた
自分の気持ちに、俺はあの時に猫丸に初めて
会ってから、俺は猫丸、いやまる
お前のことが好きだ。
だから、絶対に見つける
また一緒に暮らしたい
自分の気持ちを伝えたいから。
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そんな真実があったとは
愁くん、まるのことが好きになっていたみたいですね。