店
セーフ
1杯目を飲み終えると俺は
ウーロンハイを頼み飲んでいる
これが1番好きだ。
猫丸は苦いなど言っていたがもう
3杯飲んでエマと何杯飲めるかの話をしていた
辞めさせようかな。
そんな感じで皆で楽しんでいると
店長が寂しそうに話した。
「懐かしいなぁ…俺も若ぇ頃は
連れと朝まで飲んでたもんだ…」
「へぇ…あんたもそんな時期があったんだな」
「そりゃそうさ、俺みたいなやつは飲んでばっかだったさ。でもなぁ、俺はそんな生活が
大好きだったんだ。だからこの店出したんだ」
「最強居酒屋 コロ助。
昔はたくさん人が来たんだがよ
最近は人が減っちまって…今じゃ全く
人が来ねぇから笑えるモンだな、ハハ」
笑っているが、目の奥には悔しさと悲しさが
入り混じったなんとも言えない
感情が、俺には伝わった。
「ありがとな俊隆、最後に来てくれて嬉しいぜ
だがやっぱり人が来なくなっちまったのは
俺の力が足りなかったのかねぇ…」
そう言うと、昔を思い出したのか
悲しげな表情で俺たちの前のカウンターに
腰を落とした。
「コロさん。
最近は忙しくてあまり行けてなかったけど
俺はこの店が1番好きだ」
「俺も同じです、初めて来ましたが
ここまで綺麗で料理も美味しい
店を初めて見ました色々勉強にもなりました」
人はいなくても
店の綺麗さ、料理の出来栄え、雰囲気
1人でここまでやってこれたのは
間違えなく店長の力だ。
「私、幼い頃から1流の料理ばかりでしたが
どんなものよりも、心がこもっていました」
「そういうのよくわからないけど
この魚、美味しいんじゃないかしら
鮮度、切り方、全てが完璧
褒めてあげるわ」
偉そうに言うんじゃないよと
言いそうになったが、これが猫丸の褒め方
なのだろう。
「ほら、皆言ってるだろ
別にコロさんの力が無いわけじゃないさ
こんな良い店、なんで人気が無くなったのか
俺にはわからないね」
「ありがとう隆俊
そして、愁君、エマちゃん、まるちゃん
ありがとう」
「俊隆だ、わざとやってんのか?
あとこんな重い空気はやめろ。
てことで…たこわさもう1つ」
こいつたこわさしか食べねぇな。
「あぁ、了解だ!」
エマと猫丸はもう6杯目を超えていた
大丈夫なのか?
もう俺はまだ酔ってはいないが
心配になってきたぞ。
「エマ、あんたには負けないわよ」
「猫丸様…猫のあなたが人間に勝てると
思っていらしているのですか?」
「なんの争いだよ…」
俊隆は店長と話しているので
俺はエマと猫丸を見張る。
「猫丸…もうやめとけよ…」
「うるさいわね…あんたは黙って見てなさいよ」
「おっしゃる通りですわ、これは
女通しの戦なのです!」
そして20分後。
エマの勝利となった。
「もう無理…」
机に顔をつける猫丸
だからやめとけといったのに。
「へっ!どうだ猫め!
これが人間の力だァァァ!」
酔って完全に性格変わってるし
酒癖悪かったのかエマ…
そして突然顔が青くなり
トイレへ駆け込んだ。
「キャラ崩壊ってこういうことなんだな」
「おいおい、どうしたんだエマは」
店長と会話が終わったのか俺の肩を突いて
訪ねてきた。
「あぁ…エマと猫丸がどっちが多く飲めるかの
勝負して猫丸が負けたんだが。
エマが最高に酔って今トイレだ」
「なるほどね」
狂ったのか店のメニューを音読し始めた。
もうやめてくれ。
「さて、もう帰るか?」
「そうだな、エマの酔いも覚めてきたみたいだし」
「お見苦しい姿を見せてしまい
申し訳ありません…」
ただ猫丸が寝ている、起こすしかないか。
「おーい猫丸帰るぞ、終電無くなる」
「むぅ〜駅までおんぶ〜」
「はぁ?」
たしかに軽いけどほろ酔い気味の俺にさせる
ことかねそれは。
「やってやれよそれくらい」
「そうですわよ、紳士として
やるべきだと思います」
「君たちねぇ…」
「愁君、やってやんな」
「コロさんまで」
店長に言われちゃしょうがないので
おんぶしてやることにした。
「ふぅ…ほら、乗りな」
「むぇ〜」
めちゃくちゃ軽い
駅までそこまで難ではなかった。
「ほらもう駅着いたぞって寝てるし
しょうがねえな、家までしてやるか」
なんか、安心する。
自分任されていることへの幸福感か
それとも猫丸が幸せそうに寝ているからか
俺は満足していた。
明日あたりには眠子間さんが来る…
ゾクカエ小間のことを聞いてみよう。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
面白いと思えば、ブックマーク、評価をよろしくお願いします。
酔うと性格変わるの面白いですね。