表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/12

くましー

 んー、キャラをそのまま移行できるゲームもあるが、さすがにオヴリビオン・ダスクとモフモフ・オンラインじゃ、ゲーム性が違いすぎるよなぁ……。やっぱ何かのバグなのか?


「ねー、ともだちになろー」

「にゃー、ともだちにゃー」

「バウ! バウ!」


 こんなふわふわなゲームに、暴力じみたステータスは似合わない。

 てか、ゲームが違うんだから、ステータスの項目も違うはずだろ?

 これは……面倒臭いけど、一回やり直すしかねぇかな……。


「なにこれー、かっこいいにゃ~!」

「わ~、かしてかして~ガウガウ」


 獣人たちが、俺の剣を抜こうとする。


「ちょ! あ、あぶないから!」


 カンストさせたラグナロクだぞ⁉

 こんな弱々しい獣人たちなんて、剣圧に触れただけで蒸発してしまいそうだ。


「にゃー、けちー、見せてにゃー」

「バウワウ!」

 グイグイと肉球で押される。


「だめだめ、死んじゃうから……」


 ん? このゲームって死ぬのか?


 よくわからんが……、とにかくこれはまずい。

 俺の鎧はパッシブで『常時カウンター』が発動してるからな。

 うっかり殺したとか洒落にならない。


 とりあえず武器はストレージにぶちこんで……。

 確か、初期装備の服があったはず……お、あった!


 俺は『初心者の服』を装備した。

 これで、獣人達がはぐれ死することはないだろう。


 さすがに木っ端微塵になった獣人など見たくないからな。


 えーっと、スキルも使えるのかな?

 俺は近くの猫獣人に【鑑定】を使ってみた。


 ―――――――――――――――――

 なまえ:ニャベル

 しゅぞく:ねこじゅうじん

 なかよしれべる:3/10

 とくちょう:かりがうまい

 ―――――――――――――――――


 お! 使えた!

 へぇー、変わったステータスだな……。

 ていうか、このステ見て、何をどう判断しろというんだ⁉


 あれ? このゲーム、シナリオは無いんだっけ?

 んー、狩りがあるんだから、戦闘がないわけじゃ無いと思うんだが……。


 とにかく、まずは自己紹介かな?


「こ、こんにちはー、俺はねこやしき、だよぉ……」


 ――き、緊張する!

 こんな普通の挨拶をしたのなんて、何年ぶりだろう⁉

 頼んでもないのに脇汗が凄い。


「わーい! ボクはニャベル! よっろしくにゃー!」

 くるんと一回転した後、ニャベルは嬉しそうにジャンプした。


【ニャベルのなかよしれべるが+1上昇しました】


 おお! あ、あがった……! なんか嬉しい!

 もう一度鑑定してみると、なかよしれべるが4/10に変わっていた。


 へぇーっ! 意外にすぐ上がる仕様なのかな?

 よーし、この調子で……。


 で……?


 ――ふと、我に返る。

 なんだこれ、カオスすぎない?


 なかよしれべるを上げていけばいいのか?


 そもそも、上がったからってどうなる?

 既に帰りたくなってきたんだが……。


「わふ! まずはおうちをつくろうよ!」


 犬獣人が尻尾を振りながら言う。

 なるほど、少しはガイドがあるのか……でも、どうやって作るんだろう?


「誰か家の作り方わかるかな?」


 そう訊ねると、獣人達はキョロキョロと周りを見た。


 すると、さっきの犬獣人が、

「がうー、"くましー"なら知ってるかもー」と、少し離れたところに見える、赤い屋根の家を指さした。


「くましー?」


 言われた通りに、赤い屋根の家に来てみた。

 ていうか、何でみんなついてくるんだろう……。


 後ろを見ると、十数人くらいの獣人がワイワイ言っている。

 俺は木のドアをノックした。


「こんにちわー」


「「こーんにーちわーっ!」」

「うぉっ⁉」


 俺に続いて、後ろの獣人達も合唱のような挨拶をした。


「び、びっくりさせるなよ……」


 その時、ギィッとドアが開き、中から大きな熊が顔半分だけ覗かせる。


「……何か用かぁ?」

「あ、えーっと、くましー? 俺はねこやしき、と、ともだちになろう!」


 くましーは、じーっと俺を見つめて、

「いまは気分じゃないなぁ、蜂蜜をくれたらなってもいいよぉ……んじゃ」

「ちょ⁉」


 呼び止める間もなく、くましーはドアを閉めてしまった。

次話は明日12時!

良かったらブクマ登録お願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ