Episode1 五年煉獄の剣士
この小説は私が「RPGツクール」というソフトで
作ったRPGが元になっています。
今回の主人公は剣士ファランです。
ヒロインに僧侶ウラウリーネが登場します。
次回はまった主人公が変わります。
この作品は私の自作小説第一号です。
最初だからと言い訳をするわけではありませんが
なかなか楽しめないかもしれません。
ですが、私の努力として、ぜひ読んでください。
inGOLDENWAR 第一章 五年煉獄の剣士
魔王
その名は恐怖の象徴
魔の王である
その名が付くに相応しい力。
慈悲はないと考えられている。
小村ファリアナで、一人の勇者が旅立とうとしていた。
後に黄金の戦士と語り継がれる 剣士ファラン
旅立ちの前にファランは村長の家を訪れていた。
ウールドモーセ
「5年の修行は無駄にはならぬ。世界のためにも…頼んだぞ。」
ファラン
「はい、必ず。」
太陽の光に反射して輝く剣を掲げ、
吹く風を滑らかに受け流す盾を構えた勇者が歩みゆく。
~アイラード平原~
ファラン
「船は王に言えばだしてくれるんだな。アイラード城下町を目指そう。」
ここはアイラード大陸。
他の大陸よりも比較的小さな大陸である。
ファラン
「早速、厄介なのが出てきたな…。」
前方からモンスターがやってくる。
緑色の肌に尖った耳、そして棍棒。
ゴブリン。
ファラン
「あ、もしかしてこれのせいかな?」
腰に掛けてある宝石の守護石。
ファラン
「5年の修行の成果、己が力量を測ろう。」
ファランは剣を抜いた。
それを見たゴブリンは棍棒を振りかぶって走ってくる。
ゴブリンはファランの頭を狙い、棍棒を縦に振り下ろした。
ファランは横転して回避する。
棍棒は地面に勢いよく叩きつけられる。
棍棒は重く、持ち上げるのに多少の時間がかかる。
その隙をみて、ファランは盾を構えながらゴブリンにタックルをする。
刹那
左手でゴブリンを殴りつける。
同時に盾をしまい剣を抜く。
抜いた剣をそのまま運び、ゴブリンを斬る
極めて単純
戦士の基本的な格闘コンボ
盾による体当たりから、幾つかの直接攻撃を行い、
その間に盾を背中にしまいすぐに剣を抜き切り裂く。
実に簡単に思える。
しかし、盾と剣の重さを考えると、容易ではない。
戦士は軽々しく装備しているように見えるが、
鎧は20㎏程、剣は1㎏程、盾は5㎏程。
総重量約26㎏。
これを超えるものも勿論ある。
その重さで攻撃を回避し、刹那を思わせるほどの速さで
攻撃をするのには相当の修業と努力がいる。
ファランはたった一人で、誰にも習うことなくそれほどの力をつけた。
その修行は常に命を賭していた。
5年前
魔王がファリアナ村に奇襲をかけ、食糧を奪い去ろうとしていた。
ファリアナ村に戦えるものはいない。
ファランはまだ未熟で、ゴブリンと戦うも難しい。
魔王
「どけ、死にたくはなかろう。」
ファラン
「そうはいかない、この村唯一の剣士として!」
魔王
「子供よ、勇気だけでは無意味であることを教えてやろう。」
魔王は右手に魔力を込めた。
ファランは魔導弾を発すると思い、盾で防ぎつつ近づきながら剣をを振るう、
そう考えていた。
木の盾で防げるはずもなかった。
魔王
「己が力量も計れないのか…」
魔王がいざ魔導弾を撃とうとする。
しかし
メイリン
「ぅわああぁぁぁ!」
魔王
「何!?」
ファランの妹のメイリンが魔王に向かって飛び上がりタックルをしかけた。
魔王の手は方向が変わった。
同時に魔導弾が放たれる。
そこにいたのはメイリンだった。
メイリン
「キャアー!」
ファラン
「メイリン!」
メイリンは死んだ。
ファランはメイリンへ駆け寄る。
魔王
「逆らう者の末路だ、分かっただろう。」
魔王は村の入り口へと歩く。
魔王
「全員、奇襲を中止!ラグマス大陸へ帰還する!」
ファラン
「待て!」
魔王
「何?」
ファラン
「ボクは5年修行する、必ず妹の仇を取らせてもらう。
それまで待っていろ!」
魔王
「面白い、いいだろう。待っていてやる。貴様、名は?」
ファラン
「ファラン・オーグスティンだ…」
魔王
「ファランか、その名前、覚えておこう!」
その後魔王と怪物達は村から去った。
そしてファランは人に見られぬところで修行をした。
明け方に村を出て、夜になると帰ってきていた。全身に傷をつけていた。
悪い時には骨を数本損傷していたときもあり、血で体を染めてきたこともあった。
村長は、やめるように話したこともあったが
素直だったファランの面影はなく、
まさに鬼神の如くであった。
そのまま5年後。
突然、どこへも行かなくなり、
村でまた5年前のように暮らしていた。
村人全員が悟っていた。
ファランは修行が終わり、決心がついたのだと。
そして、今に至る。
ファランはゴブリンを倒し、王の城へ向かっていた。
船を借りるために。
ファラン
「見えた、アイラード城下町だ!」
アイラード大陸にある城下町は港もあり、その先にアイラード城がある。
ファラン
「まずは薬草を買おうかな。」
ファランはアイテム屋へ向かった。
ここでは内陸の村などではなかなか採れない
高級薬草も多くある。
数分後、買い物を終えたファランは城へ向かった。
アイラード城が騒がしい。
困り果てた顔をする者、焦り落ち着きのない者…。
ファラン
「何かあったのかな…?とにかく王のところへ行こう。」
そう思いながら王の部屋へ向かうファラン。
ロイ兵士
「王の間は今、入れないようになっています。」
部屋の前で兵士に止められた。
ファラン
「ウールドモーセ村長から話を聞いていると思いますけど、
何かあったのですか?」
ロイ兵士
「ウールドモーセ…、と言うことはキミがファランか!
王が会いたいと言っている、入ってください。」
ファランはまだ何が起こっているかは分からなかった。
部屋に入ると、国王はベッドに寝ていた。
周りには医師と魔法師がいる。
ファラン
「王様、病にかかったのですか!?」
アイラード4世
「おぉ、ファラン、よく来てくれた…。ウールドモーセから話は聞いている…。
船を使わせるのはいいのだが、一つ、頼みを聞いてくれないか?」
ファラン
「頼みですか?勿論、聞きましょう。」
アイラード4世
「南にあるゾースの塔の最上階に幻聖薬が一つ隠されているのだ。
それしかこの病を治す方法がないのだ。」
ファラン
「なるほど、それを取ってくればいいのですね。
お任せください、王様。」
ファランはそう言い、城を出た。
南のゾース塔の詳しい場所は分からない。
そもそもファランは大陸の地形を詳しく知らない。
ファラン
「さて、地図を買ったものの良く分からない…。
とりあえず行く先々で聞いてまわるか。」
いざ、城下町を出て出発しようとした、その時…。
ウラウリーネ
「待って、剣士。」
不意に後ろから呼び止められた。
僧侶らしき女性が立っていた。
ウラウリーネ
「アナタ、ゾース塔に行くつもり?」
ファラン
「そうだけど、場所を知っているの?」
ウラウリーネは鉄の杖を立てた。
それを見てファランは身構える。
ウラウリーネ
「全く…王も堕ちたわね。先代とは違うわ。」
ファランはその言葉の意味が暫く理解できなかった。
ウラウリーネ
「ゾース塔は今、モンスターの巣窟よ。…やっぱり聞いていなかったのね?」
その通り、アイラード3世は大陸すべての土地を定期的に調べ、
危険なモンスターがいた場合にはすぐに戦士を向かわせるという政策をとっていた。
しかし、アイラード4世は甘く見ており、
特にゾース塔の内部の調査は支指示しなかった。
この事を聞いたファランは、困り果てた。
いくら自分が力があろうとも
そのモンスターの数では無事では済まないだろう。
ウラウリーネ
「王に幻聖薬を持ってこいって頼まれたんでしょ?私がついて行ってあげるわ。
アナタ、地図の見方もわからないみたいだし…ね。」
ファラン
「それは助かるよ、ありがとう。
ボクはファラン、キミの名前は?」
ウラウリーネ
「私はウラウリーネ、高等僧侶よ。」
二人は城下町へ戻り新たな装備を揃えていた。
ファランの鎧は木で作られており、剣は研ぎ澄まされた石を使っていた。
ウラウリーネはファランの力を見通し、装備は全て鉄に変えた。
ウラウリーネ
「どうかしら、鉄の戦士装備は?」
ファラン
「これは強そうでいいね、昔からこんな鎧を着たかったんだ。」
ファランとウラウリーネは大勢のモンスターに備え
準備をそろえ、町を出た。
アイラード平原を南に歩む二人。
互いのことを話し合っていた。
ウラウリーネ
「妹の仇、ね。志低きに値されるけど、
アナタのその信念は並じゃなさそうね。」
ファラン
「どうしてそう思う?」
ウラウリーネ
「僧侶だから、ね。それに、その鉄の鎧を装備しながら
息一つ乱さず歩いていられるんだから。」
鉄の装備、総重量50㎏㎏程。
ウラウリーネ
「それより、アナタの修行の過酷さがよく分かるわ。」
ファラン
「高等な僧侶はそんなことまで分かるのか…凄いなぁ。」
ウラウリーネは少しうつむいてから言った。
ウラウリーネ
「いや、アナタが鎧を着替えてるときに見たの。
体に無数の傷があるし、それに…、とても驚いたわ。」
ファラン
「高等な僧侶でも驚くことがあるの?」
えぐり込むように横目でファランを見ながら言い放つ。
ウラウリーネ
「アナタ、一度、腕を落としているわね。」
ファランは正面を向いて黙り込む。
ウラウリーネ
「まだ若いアナタがそうなってまで生きていられたのが不思議よ。」
ファラン
「古い話だよ…。 あ、村が見えてきた。」
2人の歩く先に小さな村が見えてきた。
ファラン
「あそこでいったん休憩しよう。」
ウラウリーネ
「そうね、夜になればまたモンスターも出てくるし。」
小村リーフリア
その先には大きな森がある。
村についたころには既に夜であった。
宿に行き、一晩を過ごした。
翌朝、宿主がやってきた。
ルーバート宿主
「旅の方、随分強そうですね。」
ファラン
「え、まぁゴブリンは楽に倒せるくらいですけど…。」
ルーバート宿主
「おぉ、その力を見込んで頼みがあるのですが、聞いてくれませんか?」
ウラウリーネ
「聞いてあげましょうファラン。
旅の役に立ちそうなものが貰えるかもしれないわ。」
ファラン
「僧侶…? まぁ、とにかく、聞きましょう。」
ルーバート宿主
「ありがとうございます。
この先の森では薬草が特に成っていて、この村では薬草が主な売り物になているのですが、
森のゴブリン達が薬草を全て採ってしまうのです。
今まではそのようなことはなかったのだが…。」
ファラン
「ゴブリンを倒せばいいとは思いますが、
あの広い森の全てのゴブリンを倒すのはほぼ不可能だと思いますね…。」
ルーバート宿主
「この森にはボスゴブリンというゴブリンの親分がいます、
それを倒せばゴブリン達はおとなしくなるでしょう。」
ウラウリーネ
「それなら話が早いわ。早速行きましょうファラン。」
ルーバート宿主
「森のモンスターはゴブリンしかいません、それにあの森のゴブリンは戦いません。
ボスゴブリンは戦うでしょう…。とにかく、よろしくお願いします。」
森の入り口
ウラウリーネ
「さ、すぐに終わらせてゾース塔へ急ぐわよ。」
ファラン
「よし、ボスゴブリンがどれくらい強いかはわからないけど、
ウラウリーネがいれば安心できるかな。」
ウラウリーネ
「フフッ、私を頼ってくれて嬉しいわ…。」
リーフリアの森
木々の間からゴブリン達が見ている。襲い掛かってくる様子はない。
ファラン
「薬草採取に集中しているね。
ボク達をたいして気にしていない。」
ウラウリーネ
「私たちが敵意を向けていないからよ。
ボスゴブリンの居場所を聞きたいけど、教えてくれないでしょうね…。」
話をしながら歩いていると、湖に出た。
ウラウリーネ
「あら、綺麗な湖ね。あの島に何かいるわ。」
ファラン
「あ、あれがボスゴブリンじゃないかな?」
湖の中央あたりに小島があり、そこに赤い肌をしたゴブリンがいる。
ボスゴブリンは、2人に気付いた。
すかさず棍棒を持って走ってくる。
ファラン
「こっちに来る!戦う気か!」
ウラウリーネ
「ん、あのくらいならアナタ1人で充分ね。」
ウラウリーネは近くの石に座り、ファランを見ていた。
ボスゴブリンは棍棒を横に振る。
ファランはしゃがみ、右足を突き出してボスゴブリンの足を払う。
ボスゴブリンは前方に倒れ込みそうになる。
刹那
ファランは立ち上がりボスゴブリンの顔を横から殴る。
ボスゴブリンの体は横回転し、一瞬浮き、また落下しだす。
すかさずファランは蹴り上げる。
ボスゴブリンの体は再び、大きく浮く。
ファランは足をおろし、地面を大きく踏み鳴らし、
落ちてきたボスゴブリンに正面に拳を叩きこんだ。
ウラウリーネ
「結構早く終わったわね、良かったわ。じゃ帰りましょ。」
ウラウリーネはファランに感心していた。
重き装備であの速さの連撃を成せた。
そう思いつつも、そのことは言わず、村へ戻った。
宿主ルーバートは村長と共に2人に礼を言った。
薬草をたくさんもらった二人。
ウラウリーネ
「こんなに薬草が貰えるなら、城下町で買う必要なかったわ…。」
ファラン
「いいじゃないか、暫く買わずに済むんだから。」
ウラウリーネ
「まぁ、その通りね…。ん、そろそろ覚悟を決めておいた方がいいわ。
ほら、見えてきた。」
ファラン
「ゾース塔か、よし!」
ゾース塔は石で出来た十階建ての塔である。
初代アイラード王が幻聖薬を守るために作ったのだった。
ファラン
「高いなぁ…。」
ウラウリーネ
「この程度で泣き言言ってちゃ、この先やっていけないわよ。」
ファラン
「泣き言じゃないよ…。」
塔に入り、階段へ向かう。
7階までモンスターはいなかった。
ファラン
「何もいない。本当にモンスターの巣窟なの?
知らない間に戦士達に掃除されたんじゃないの?」
ウラウリーネ
「ここまで来ればそういう考えが浮かぶでしょ?
でも九階に守護神と言われるモンスターがいるの。
モンスターは幻聖薬を求めて群がってきたんだろうけど守護神に全員やられちゃったってわけ。」
ファラン
「あぁ、前と言ってること違う気がするんだけど…。」
ウラウリーネ
「でも、あの守護神を倒さなきゃ幻聖薬は取れない。巣窟だったころの方が少しは楽よ。
だからこそ大勢いると言ってあなたに力をつけさせた。」
ファラン
「なるほどね…。」
そして、九階についた。
巨大な何かが座っている。
立ち上がり、ファラン達に近づいてくる。
手に持った巨大な剣を振り下ろした。
ファラン
「ゴリアテか!」
横回転で剣を避け、ゴリアテに近づく。
そして飛び上がり、ゴリアテの頭を斬りかかる。
だが、ゴリアテの鎧は鋼で作られている。
剣ははじかれた。
ファラン
「堅い!剣が効かないよ。」
ウラウリーネ
「ゴリアテは神に仕えた巨人族の末裔!
故に闇の魔法が弱点!」
ウラウリーネは両掌から闇のオーラを発し、
ゴリアテを包んだ。
ファラン
「僧侶が闇属性の魔法を!?」
ゴリアテは叫びをあげて動けないでいる。
ウラウリーネ
「ファラン!魔法力を剣に集めなさい!
ゴリアテの弱点は背中よ!」
ファランはゴリアテの後ろに周り、
飛び上がって壁を蹴り上昇してゴリアテの背中に乗った。
ファラン
「一撃で終わらせる!」
剣を高く掲げ、背中に剣を突き刺した。
その瞬間、ゴリアテの鎧は砕け散った。
ファラン
「うわ!」
ファランは前方に飛び、ウラウリーネの後ろに着地した。
ウラウリーネ
「ご苦労様、ここからは私の役目よ。」
ゴリアテを包んでいた闇がウラウリーネに戻り、多数の槍となって、ゴリアテを次々と突き刺した。
ゴリアテは倒れた。
ウラウリーネ
「さ、行きましょ。幻聖薬はこの先よ。」
ファラン
「うん…。」
十階に行くと、宝箱が置いてあり、幻聖薬があった。
ファラン
「よし、これで船が出せる。さ、城下町に帰ろ…何!?」
ウラウリーネがファランの手から幻聖薬を奪い取った。
ウラウリーネ
「さぁファラン、これが旅立ち前の最後の修行よ!」
ウラウリーネの体が闇に包まれ、真の姿を現した。
ファラン
「サキュバスだったのか…!
だから闇属性の魔法が使えたってわけだね。」
ウラウリーネ
「そう、アナタが魔王に立ち向かう勇者だと思ったからよ。
でも私はアナタを殺しに来たわけではないわ。アナタの、精神力を…ね。」
ファラン
「精神力?」
ウラウリーネ
「そう、妹の仇を討つためには妹への未練を越えなければいけない。
魔王は相手の負の感情を引っ張り出すの。」
ファラン
「それで…、ボクがどうすればいいの?」
ウラウリーネ
「私に勝てばいい。ただ…。」
ウラウリーネが再び闇に包まれ、また違う姿となった。
ファラン
「まさか…!それが修行ってことか…。」
ウラウリーネが化けた姿、それはメイリン。
ウラウリーネ
「さぁ、この妹を攻撃できるかしら?」
ファラン
「…。」
ファランは考え込んでいる。
ウラウリーネはファランに近づき、殴り飛ばした。
ウラウリーネ
「(フフ、ここでダメなら魔王には勝てないわ…。)」
ファランは飛ばされ、地面を転がりながら立ち上がった。
ファランの顔は忿怒に歪んでいる。
ウラウリーネ
「(あら、怒ったかしら?)」
ファランはウラウリーネに近づき、同じように殴り飛ばした。
ウラウリーネは大きく吹っ飛び、壁に叩きつけられた。
ウラウリーネ
「何!?」
そう思う間もなくファランは大きく飛び上がり剣で斬りかかる。
ウラウリーネはすぐ前方に移動し、ファランの背後に回る。
ファランはジャンプ斬りから着地する、と同時に剣を横に振り、
そのまま後ろまで切り回した。
ウラウリーネは紙一重で避ける。
ウラウリーネ
「本気!?私を殺す気なの!?妹なのよ!?」
ファラン
「妹は死んだ!記憶から生まれた化物!」
ウラウリーネ
「(このままじゃ私が死ぬわ!)」
ウラウリーネは細い剣を取り出した。
ファランとウラウリーネは剣を乱舞し合う。
どちらも傷つかない。
ファランは突然、手を出した。
人差し指と中指の間に細剣が入る。
ファランの手から血が急激に吹き出し、
ウラウリーネの顔にかかる。
それによってウラウリーネは目をつむった。
その時、ファランはウラウリーネの顔を左右から弧を描きながら
両手で殴り続ける。
そして頭上から殴りつけ、下がった顔面に膝蹴りし、その足で
そのまま正面に蹴り飛ばした。
ウラウリーネは姿を元に戻した。
ウラウリーネ
「ストップ!まさか、こんな簡単に妹を前に戦えるなんて、驚いたわ。」
ファラン
「メイリンも僧侶を目指していた。だからボクと戦うことなんかないんだ。
さぁ、幻聖薬を返して。」
ウラウリーネ
「分かったわ、じゃ城下町へ戻りましょ。」
ファランは妹の未練はなかう、ただ妹の仇を討つと考えていたのだ。
アイラード城
ファラン
「王様、幻聖薬を持ってきました!」
アイラード4世
「おぉ、感謝するぞファラン…。
さぁイェンロン、船を出してやってくれ。」
イェンロン船長
「分かりました、じゃファラン、行こう。」
~アードシー港~
ウラウリーネ
「あ、ファラン、私も船に乗ってもいい?」
ファラン
「え、構わないけど…。」
ウラウリーネ
「ありがと、故郷に帰ろうと思ってるの。」
ファラン
「故郷、魔王を倒してからその名を言えるかな、ボクは…。」
これからが旅の始まりである。
闇を操る僧侶と協力したり戦ったり、
守護神と戦ったり。
ファランの今の望みは、仲間が欲しいということである。
ウラウリーネはサキュバスで、魔界に帰ってしまう。
同じ志を持つ者は必ずいる。
そして、更に強くなり、約束を果たす。
それまでボクは絶対に死なない。
読んでくださりありがとうございました。
今回はファランが船で出航するまでの物語でした。
さて、今回出てきたゴリアテですが、
最初とはいえ少し弱すぎたかもしれません…。
ウラウリーネが何故、最後の修行と言ってファランと戦ったのかは
後の作品で明らかになります。
想像のつく方もいるかもしれませんね。
それでは次の作品 inGOLDENWAR 復讐の戦士 も
よろしくおねがいします。