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プロローグ トラブルの発端

初投稿です。

最後まで読んでくれたら幸いです。

 桜の花びらもとうに散り、新入生も浮かれていた高校生活に慣れ始めた4月の終わりの朝。いつものように本を片手に桜の散り終わった通学路を歩いていると、猫の前でなにかしている女の子を見つけた。まだ朝日が昇ったばかりの午前6時過ぎ、ペットの散歩ならともかくその子はしゃがみ込んだまま微動だにしない。しかも紙で何かを描いていた。

「なにやってんだ?」 

 当たり前ながらとてつもなく気になった。しかし残念ながら見知らぬ人に気軽に声をかけるほどの勇気はない。それ以前に俺は効率の悪いことは極力避けるようにしているので、とっとと黙って通り過ぎようとした。学校で早く予習を済ませてしまいたいし、なにより彼女のやっていることが時間の無駄に思えた。

「あっ――――――」

 誤って彼女の肩に手が会ったってしまった。マズった・・・、わきにそれて歩けばよかった、と後悔した時にはもう遅かった。彼女もこちらの存在に気付き頭をくるりとこちらに向ける。

「ねえ――――――」

「すいませ――、は、はい!」

 思わぬ声に無意識に返事をしてしまった。それと同時に彼女は立ち上がり、スカートの丁寧に裾を直す。

 ポニーテールの天使、それが第一印象だった。芸能人のような鍛え抜かれた――――とまではいかなくとも、自然なしぐさに心が奪われる、というような可愛さだった。そしてなによりもポニーテールがものすごく似合う。彼女のためにポニーテールがあるようなものと感じさせるような完成度だった。

 彼女は急に俺のほうに猫を抱いて接近する。 

「あ、あの、何か用ですか?」

 後退しながらも、質問するが彼女は答えずになおも接近し続ける。

 今いる通りはあまり広くないので文字通り3歩ほどで壁際まで追い込まれてしまった。

 1秒でも早くこの場から離れるために懸命に横に滑るように歩くも、レーザーポインターのような素早い動きで彼女は俺を逃がそうとしない。

さすがに見知らぬ相手で女子だろうとこれは怒っていいだろう。


「いい加減にした――――――」


 その瞬間、彼女は俊敏な動きで腕を俺の目の前に突き出し、


「この子、可愛くないっ!?」

 

 と、猫と猫を描いた絵を見せて、ポニーテールを大きく揺らしながら無邪気に微笑むのだった。


 それが、彼女、八橋やよいと俺、八川優雨の出会い、というかトラブルのはじまりだった。

 



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