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傭兵シリーズ

とある食堂で

作者: ナガレ 真

やまなしおちなしで、とっても短い一場面です。思い付きです。




「なぁんでそんなに落ち込んでんの?」


賑やかな食堂で、笑みを含んだ声が男に尋ねる。

その声に男はふと顔を上げた。目の前に並べられた皿は、湯気が少ないなと思ったところで、また笑いのまじった声が言う。


「来てから時間が経ってるのよ、料理。ずぅっと固まってたのは自分でしょう?」

「・・・そうか。」


そう言うのならそうなのだろうと頷くと、くすくすと笑われる。


「そんなに寂しいの?」

「・・・何がだ?」

「あの子がお家に帰っちゃって。」

「・・・家に帰れたのはいいことだろう。」


三日前に誘拐犯から助け出し、そこから家族の元まで送るという依頼を受け、つい3時間ほど前に達成した子供の笑顔を思い出した。

不安に歪んでいた顔が、時間が経つにつれて緩んで行き、素直に笑うようになった。と、思っていたが、家族に会えた時の笑顔が一番素直で輝かしかった。


「・・・別に、貴方に見せてた顔も本物でしょう?」

「・・・何のことだ?」

「ただ家族が一番好きだったってだけで、貴方のことだってちゃあんと好意的に見てくれてたわよ。子供はフィルターなしに、好意には好意を返してくれるからね。」

「・・・意味がわからん。」

「ま、貴方のことは私が、一番好きでいてあげるから安心してね。」

「・・・・・・・意味がわからん。」


言われた言葉に顔をしかめると、一層笑いが大きくなる。


「照れなくてもいいのにぃ。」

「照れてない。」

「かぁわいいんだから。」

「馬鹿を言うな。」


皿にフォークを突き立てる。無駄に力が入っていたらしく、カツンといつもより大きめの音がしたことに、また顔がゆがむ。

口に運んだ料理はやはり少し冷めていた。


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