Color.12 sho-side
「道に迷っちゃって・・・」
「み、道に・・・?」
「はい。」
「プッ・・・ククッ・・・」
彼女には悪いけど、自然と笑いがこみあげてきた。
そして、痛い視線が突き刺さる。
そりゃそうだよな・・・
彼女にとっちゃあ、重大なんだから。
「ごめ・・・ごめん・・・っ」
必死にあやまるが、彼女の睨みは消えない。
スルーするかのように、彼女のホテルを尋ねた。
「ん、んで?
ホテルはどこ?」
「わからないです。」
「え?」
「だから、ホテルがわからないんです!」
「う、嘘でしょ?」
「ここで嘘ついてどうするんですか・・・」
「じゃあ、どんなホテル?」
「茶色です。」
ちゃ、茶色・・・
茶色いホテルなんて、いくつあると思ってんだろ、この子は・・・
気がついたら、また噴出していた。
「ひどいです。」
むぅっとふくらませた頬が可愛くて、思わずつついた。
「やめてください。」
「ごめんね、可愛かったからつい。」
明るく言うと、彼女の目はより一層きつくなる。
あーあ、失敗したか。
絶対、変なこと考えてる。
「じゃあ、ほかに情報は?
もう、笑わないから。」
「本当ですか?」
彼女の顔がパアッと明るくなる。
自然に俺の頬もあがっていた。
「ほんとほんと。」
「・・・受付の人が美人で、お夕飯が美味しくて、
お風呂がおっきくて、露天風呂からは東京タワーがみえて。
ホテルなんですけど、ベッドと布団が選べてー・・・」
ん・・・?
泊まったことあるよな、そんな感じのホテル・・・
ってことは、あそこか?
「OK、もう十分。」
「え?わかったんですか?」
「うん。」
簡単にわかった俺に怪しんだのか、
警戒心たっぷりなオーラと目で俺を見つめてくる。
「ちょいちょい・・・そんな警戒心丸出ししないでよ。
襲ったりしないから。」
「初めて会った人のこと、信じたりできません!」
「そんなこと言われてもな・・・
第一、初めてじゃないよ?会ったの。」
「え?」
ま、そりゃそうだよね。
俺だなんて、思ってもみないはずだから・・・
「もしかして、コンサート来てたんですか?」
「うん・・・まあね。
ね、コンサート来てたってことは、やっぱりK/Sが好きなの?」
「好きっていうか、友達が大ファンなんです。」
「じゃ、君は?」
「ファンってほどでは・・・嫌いじゃないですけど。」
「へー・・・
んじゃ、本題に戻るけど、俺・・・誰だかわかる?」
「えー?受付の人ですか?」
「ううん。」
「スタッフ?」
「うーん・・・」
「じゃあ、K/Sのマネージャーですか?」
「おお、おしい!近いとこまできてるよ。」
「えぇー、じゃあ・・・」
待てよ・・・
このまま当てられたら、聞きたいこと聞けないじゃん。
「ストップ。」
「え?」
ストップかけられたことに、驚きが隠せないのか、
目をまん丸にして見開いている。
そんな表情まで、可愛い。
「その前にさ、聞きたいことがあるんだけど。」
「?なんですか?」
「K/Sだったら、どっちが好き?」
「うーん・・・翔くんですかね。」
「え!?それ、ほんと?」
嬉しくて、思わず声をあげた。
驚いた彼女の表情で、その現状を理解する。
「は、はい・・・」
「あ、ごめん・・・
でも、彼のどんなとこが好きなの?」
「翔くんって、ホワンとしてるけどやるときやるじゃないですか。
そういうのカッコいいなって。
それに、翔くんの歌声て聴いてるだけで癒されるんです。」
「そ、っか・・・」
「?はい。」
かなり、照れるだけど・・・
この子、なんていい表情で俺のこと語るかなー・・・
実は、本人です。
なんて言ったら、彼女・・・どんな顔するかな。
きっと、顔を真っ赤にさせて口パクパクさせんだろな・・・
だけど、今その表情を見るのはもったいない気がして・・・
彼女が気づいてからでいいや。
そう、思った。
「わりぃけど、俺の正体はまた今度ね。」
「え?」
「俺が誰なのか。
とりあえず、ホテルはわかったから、ついてきてよ。」
「は、はい・・・」
いつ気づくかなー。
そう思ったら、頬がゆるむ。
何気なく、手を伸ばすと
彼女も自然に手を重ねてくれた。
あまりにも嬉しくて、顔を背けた。
次回も、よろしくお願いします♪




