Color.10
「道に迷っちゃって・・・」
「み、道に・・・?」
「はい。」
「プッ・・・ククッ・・・」
目の前の人は声を押し殺そうと必死だけど・・・
笑ってるのバレバレなんですけど?
「ごめ・・・ごめん・・・っ」
私の視線に気づいたのか、目の前の人は、必死に謝ってくる。
だけど、もう遅い。
「ん、んで?
ホテルはどこ?」
「わからないです。」
「え?」
「だから、ホテルがわからないんです!」
「う、嘘でしょ?」
「ここで嘘ついてどうするんですか・・・」
「じゃあ、どんなホテル?」
「茶色です。」
私の答えに、彼はまた噴き出した。
少し、いや結構失礼じゃないの?
「ひどいです。」
むぅっとふくらませた頬をつんつんとつついてきた。
「やめてください。」
「ごめんね、可愛かったからつい。」
この人、たらしだ・・・
「じゃあ、ほかに情報は?
もう、笑わないから。」
「本当ですか?」
「ほんとほんと。」
「・・・受付の人が美人で、お夕飯が美味しくて、
お風呂がおっきくて、露天風呂からは東京タワーがみえて。
ホテルなんですけど、ベッドと布団が選べてー・・・」
「OK、もう十分。」
「え?わかったんですか?」
「うん。」
いやいや・・・おかしいでしょ。
もしかして、この人・・よからぬ事考えてるんじゃ・・・
さぁっと血の気が引いた。
「ちょいちょい・・・そんな警戒心丸出ししないでよ。
襲ったりしないから。」
「初めて会った人のこと、信じたりできません!」
「そんなこと言われてもな・・・
第一、初めてじゃないよ?会ったの。」
「え?」
初めてじゃない?
「もしかして、コンサート来てたんですか?」
「うん・・・まあね。
ね、コンサート来てたってことは、やっぱりK/Sが好きなの?」
「好きっていうか、友達が大ファンなんです。」
「じゃ、君は?」
「ファンってほどでは・・・嫌いじゃないですけど。」
「へー・・・
んじゃ、本題に戻るけど、俺・・・誰だかわかる?」
「えー?受付の人ですか?」
「ううん。」
「スタッフ?」
「うーん・・・」
「じゃあ、K/Sのマネージャーですか?」
「おお、おしい!近いとこまできてるよ。」
「えぇー、じゃあ・・・」
「ストップ。」
「え?」
いきなり、ストップをかけられる。
「その前にさ、聞きたいことがあるんだけど。」
「?なんですか?」
「K/Sだったら、どっちが好き?」
「うーん・・・翔くんですかね。」
「え!?それ、ほんと?」
「は、はい・・・」
「あ、ごめん・・・
でも、彼のどんなとこが好きなの?」
「翔くんって、ホワンとしてるけどやるときやるじゃないですか。
そういうのカッコいいなって。
それに、翔くんの歌声て聴いてるだけで癒されるんです。」
「そ、っか・・・」
「?はい。」
いきなり下を向くからびっくりした。
もしかして、さーやん派だったのかな?
翔くんの話しされて、嫌だったのかな?
翔アンチとか!?
不快にさせちゃったかな?
いや、でも聞いてきたってことはそのことも考えてたよね?
私、悪くは・・・ないと思われるけど・・・
とにかく、訂正はしようと思った。
「どっちか、って言われたです。」って・・・
だけど、彼によって遮られた。
「わりぃけど、俺の正体はまた今度ね。」
「え?」
「俺が誰なのか。
とりあえず、ホテルはわかったから、ついてきてよ。」
「は、はい・・・」
彼は、満足したように「んふふっ」と笑って私に手を差し伸べた。
不思議と警戒心なんかなくて、自然に彼の手を握っていた。
次は、彼視点でいきます。
もう、誰なのか・・・予想はついてますよね?




