歓迎されてるの?
「ふ〜ついた」
そんな遠かったわけじゃないが、寄り道ばかりしていたらすっかり日も落ちかけていた。
「じゃあ、行きますか」
再び認証をし、中に入る。今度は灯りがついていた。誰かいるようだ。
ビリビリッ‼
背後から異様な音が聞こえる。避けないと!
「あっ、アブねぇ…」
間一髪。ギリギリよけきれた。後ろから発生した雷撃は、頭の右側を掠り、そしてまもなく目の前の人物の手へと吸収された。
目の前の人物ーー白銀の長髪を左側でまとめ結んだ、パッチリした瞳をした女は微笑み、親指をつきたて前にかかげた。
「合格だよ、蒋君!」
何が合格なんだ。あの電撃をもろに喰らったら死んでいた。それくらい彼女は知っていたはず。それなのに彼女から殺意は感じないし、なんか別の感情を感じる。
彼女が俺の方へと近付いてきて目前でとまった。するとーー
「ぎゅっ〜〜」
急に抱きつきはじめた。なっ、何じゃこの娘!いきなりハグ⁉どこ出身なんだよ、この人。あたってる、あたってるよ柔らかいの!
でっ、でもとりあえず、離さないと。
「何してるのよレノア!」
嫌なタイミングで、奥からソフィアがやってきた。
「歓迎のハグだよ、リリー。スキンシップ、スキンシップ」
「またそれ…いいから離れなさい!男よそいつ。てか、あんたはあんたで抵抗しなさいよ!」
「そっ、そうです。これ、スキンシップじゃないです、抱擁です」
「しょうがないな〜」
やっと離れてくれた。まだ少し感触が…って、生々しすぎて興奮しそうだ。
「今、エロいこと考えたでしょ、蒋君。鼻のした伸びてたよ?」
「うわっ、最低ね、あんた」
「ちっ、違う‼」
違わなくもないけど。あんなことされたらそういう事考えないわけないでしょうよ。
「とりあえず歓迎のハグはしたから、自己紹介ね。私は学園の生徒会長兼寮長、レノア・フィナンシェ。レノアって呼んでね、蒋君」
「俺は…って言う必要ないっすね」
毎度なんで会う人、会う人俺の名前を知っているんだ?
「うん。知ってるよ浅間蒋君。寮のみんなを呼んで来るね。ちょっと待ってて」
「はっ、はあ」
なんてマイペースなんだレノアは。この人のペースにはついてけなそうだ。
「ソフィア、一体何者なのあの人?」
「いい人よ。いい人なんだけど…ちょっと他人とは違う感じ」
「そんな気はする」
「連れて来たよ!」
わすがな間にレノアは他の寮のメンバーを2人連れて来た。
って何か知ってる顔がいる。
「あなたは…」
「どっ、どうも」
さっきの血売り店のウェイトレス。まさか寮にいるとは。でも、なんで学園じゃなくてあんな店にいたんだ。
「知り合いなの?蒋君」
「知り合いって言うか、会ったばっかり」
「吸血鬼でもないくせにバーに入った客。まさかあなたが例の蒋だとは思わなかった。私はアルティ・アイン。よろしく」
やっぱ吸血鬼じゃないことを知っていたか。それと普通に喋れんじゃん。
「次は私ですね。私はトト・パールといいます。よろしくお願いします、蒋さん」
なんて清楚な子なんだろう。紫色の長髪、キリッとした金色の瞳、愛らしい顔。
「また鼻のした伸びてるよ、蒋君」
「やっぱり最低」
「蒋は清楚好きか、ふむふむ」
「ちっ、ちげぇーし!」
本当おちょくるの好きだなこいつら。寮のメンバーはソフィア、レノア、アルティ、トトの四人の様だ。って、男って俺だけ?
「女の子4人に囲まれちゃって、蒋君ハーレムね」
「レノア、違うわ。こいつをパシリましょう」
「おい、コラ。俺はパシリじゃない」
「そうですよ。蒋さんはパシリなんかじゃないです」
ナイス、トト。
「でも、誰を選ぶの蒋?」
とんでもないこと聞きやがった。答えられるわけないじゃないか。なんかよくわからないが、みなさん黙ってらっしゃる。そんな中、問題の元凶アルティが口を開いた。
「反応からみてあなた童ーー」
「アッッーーー‼それ以上言わせるか!」
危うく事実が露呈しかけた。そんなこと言われたら俺、生きてけないよ。
「ふふふ。バラされたくなかったら私につきしたがえ〜。それじゃ」
一通り言いたいことは終わったのか、アルティは部屋へと帰っていった。人の弱みを握りやがって。
「アルティが何を言おうとしたかわからないけど、案内するね蒋君」
「あっ、頼みます」
「よし、いい返事だ。リリー、トト。2人は戻ってていいよ?」
「そうね、戻るわ」
「これからお世話になります、蒋さん」
ソフィアは足早に、トトは会釈をし自室へと帰っていった。
「それじゃ行こうか、蒋くん」
「はい」




