表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/27

第八話 『誰が殺したかはそこまで重要じゃない』



   第五章



『人が殺人を犯したとき、誰が殺したかはそこまで重要ではないと、僕は思う。だってそうだろ? 殺人というのは大抵の場合、なんの理由もなく、ただウッカリ、少しの失敗で起きるんだからね。例えば、転んで膝を擦りむいたのと、そういう殺人は概要としては一緒だ。ただウッカリ。世の中に進んで転びたい人間がいないのと同じように、進んで人を殺したい人間もいないのさ。前にも話したと思うけれど、そう思う人間はすでに人間ではなく、鬼だからね。だからまあ、大抵の場合の殺人というのはドラマのように完全犯罪ではなく、アニメのように劇的でもなく、マンガのように見事なトリックなんてないのさ。ただの普通のウッカリで、人は簡単に死んでしまう。だからこの場合は、殺した人間は本来、罰を受ける資格すらないんじゃないかと私は思う。罰を受けていいのは、自分の意志で人を殺した人間だけだよ。人を殺す覚悟のあった人間だけだ。それ以外は、ただ運が悪かっただけだよね。目の前にある石を回避する方法を知らず、けっつまずいてしまっただけの、そんな人間だ。だから人は、誰が殺したかよりも、まず最初に誰が殺されたかを考えるべきなんだよ。復讐は何も生まないなんて言わないけどさ。でも、思い出してやるべきだ。けっつまずいた先に、偶然命があったその人のことを。ただ運が悪かった人のことを。それぐらいでしか彼らは救われないのだから。あ、ところで愛川君、にんじん切れたかい?』

 林間学校の途中だっただろうか。

 まだアイツと出会ったばかりの頃だったと思う。

 口調もまだボクっ娘しゃべりで、馴れ馴れしく話し掛けてくる奴だと思った。

 その上、小難しい話を永遠と繰り返すものだから、さしもの俺も随分アイツから逃げていたものだ。

 そういえば、あの時食べたカレーの味はどんなのだったっけ?

 美味しくなかったのかもしれないし。

 不味くはなかったのかもしれない。

『誰が殺したかはそこまで重要じゃない』

 なんて、お前は言ってたけれど。

 この場合は例外だろう。

 なあ、リーベちゃん(出会った当初はこう読んでいた。水兵リーベ、みたいな。悪口だ)。

 お前は一体、誰に殺されたんだ?




 コメントをくれると、作者は走って喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ