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第二十二話 『×××』



   最終章



(あい)皮剥(かわむ)き』

『ん?』

『いや、君の名前を分解したらそうなるな、と思ってね』

 いつの話か、どんな時だったか、もう思い出すことは出来ないけれど。

 確か語部と、そんな会話をした。

『愛川無機だから、『愛、皮剥き』ねえ。シャレにもならねえじゃねえか』

『うん。だから、くだらない感傷』

『ふうん?』

『愛の皮を剥いたら、一体中身は何が入ってるんだろうね?』

『恨み辛みじゃないか?』

『また、夢も希望もないことを……』

『じゃあ、お前はどう思ってるんだ? 愛の中身は、一体なんだと思ってるんだ?』

『…………そうだね、私は愛を剥いたら、


 その先にあるのは×××だと思うよ』


『×××? なんだ、お前だって夢も希望もねえじゃねえか』

『かもしれないね。でもまあ、私はそれでいいと思うけどね? それで愛が成立するのなら、私たちは積極的に、そうなるように働きかけるべきなのかもしれない』

『いやだぜ、そんなの』

『私だって嫌さ。でも例えば、君が愛を知り、そして愛の中ある×××を知るまでの物語があったとしたら、それはきっと『愛川無機の愛憎皮肉』とでも名付けられるんじゃないかな?』

『愛憎皮肉? 随分グロテスクな漢字の並びだな。温厚な愛川さんには似合いませんよ』

『温厚ねえ……。まあ、そういうことにしておこうか。でも私からすれば、君はいつもこの世界を皮肉るようにして見ている気がするけどね?』

『ハッ、お前が言うなよ』

 《冷笑趣戯(シズシニカル)》の語部了子さん。

 その名前の通り、彼女はこの日も冷たく笑う。

 シニカルに笑う。

 全てを皮肉るように。

 それこそ、皮を剥くように。

『大袈裟だよ。私はそんな大層な人間じゃない』

『嘘吐け』

『ホントさ、私は一介のただの女子高生だよ』

 語部了子。

 彼女は確かに。

 ――――世界の脅威だった。

 まあ、×××だと思うけど。




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