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第十二話 『悪魔って信じるか?』



   第六章



『悪魔の存在を信じるか信じないかと聞かれたら、ボ……私は信じるしかないと答えるよ。本当は信じたいわけではないさ、けれど信じるしかない。だって『それ』は確かに存在してしまうんだからね。だったら、私が信じようが信じまいがそれはあまり関係ないだろ? 悪魔の証明……いや、うまく言ったつもりはないんだけど。でも詰まる所の悪魔の証明は、もう世界に存在することが出来なくなってしまった。悪魔がいないことが証明できないから、悪魔は存在する。いやいや、悪魔はそもそも存在するじゃん、と。これからは悪魔の不在証明とでも名前を変えるのかな? それこそ関係ないか。でもまあ、信じるしかないのだろうね、結局のところは。悪魔がいなかったころの事なんか忘れて、柔軟に世界に対応したほうが人間としては賢い部類だろうし。そもそもボクた、いや私たちは悪魔という存在を信じる信じない以前の問題でさ。日本が自由宗教の無信教者の多い国で良かったと思うよ。宗教がその国柄と密接に絡まっている国なんかは今、大変だそうじゃないか。暴動やらデモやら。かの有名な三大宗教もその一角を失ってしまったし、悪魔の保管されている国際施設なんか、もう数十回は襲撃されているらしい。もしかしたら、悪魔を巡って国家が戦争になる日も近いんじゃないかな? 本当に怖いのは、悪魔なのか人間なのか見ものだけど。その時、果たして悪魔はどうするんだろうね? 人間を高笑いして高みの見物を決め込むのか、呆れて地獄にでも帰るのか、それとも人間の戦いに介入してくるのかね? マンガなんかならきっとそんな展開もアリなんだろうけど、しかし世界はそんなに都合よくはない。彼らが人間に力を与え、戦争をさせようとしているなら、私たちはそんな甘い誘惑を断ち切るだけの勇気を出さなくちゃいけない。果たして、悪魔は何のためにこの世界に現れたのか、もしくは何の理由もなく、現れてもいないのか。きっと私たちが真に考えるべきなのはそこなのかも知れないね』

 結論、私は悪魔は新種の生物か何かだと思ってます。

 いや、結論じゃねえよ。

 確かこの頃だ。語部がボクっ子しゃべりをやめて、普通のしゃべり方に矯正しようとしていたのは。

 そのせいで話すのが一時期下手になって、日頃からよく分からなかった話しが一層よく分からなくなったのを覚えている。

 去年の夏のことだっただろうか。

 色々なことがあって、よく分からないうちに語部と夏祭りに来ることになってしまったのだ。

 うん、今考えても意味が分からない。

 まあ、楽しくはあったと思う。

『語部は、悪魔って信じるか?』

 そんな時だったか、何となくそんな質問を語部にした。

 青い生地に紫のアジサイ柄の浴衣を着たその姿は、何となく大人びていて、話しにくい雰囲気を醸し出しいた。

 そんな中で何気なく口をついた質問。

 別に答えて貰わなくても良いような、適当な質問だったはずだったのだが。思いのほか語部が食い付いてきてしまって、思わず焼きそばやあんず飴を買って、ベンチに座って話し込んでしまったのだ。

 俺が常人よりも悪魔に詳しいのを、そういえば語部は珍しがっていたけれど、それもそのはずだった。

 悪魔の友人がいるのだもの。

 そりゃ詳しい。

 そのことは語部にも話した。

 つうか、アイツもその悪魔に会っている。

 アイツは気味悪がっていたけれど。

 語部が冷たくではなく、苦笑いをしているのを初めて見たけれど。

 一応、俺の友人だ。

 会ってくるよ、語部。


 あの最悪に……。



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