第十話 『パパ』
と、いうわけで寝ていた。
自分の床のフローリングに、じかに寝ることになるとは……。
時間は午後十時くらい。
俺のベッドは客人に占領され、自分はフローリングの固い床で寝ることになった。
まあ、女子に床に寝かせるわけにもいかなかったし……。
とかカッコイイことを言ってみるが、実際は退いて貰えなかっただけである。
つか、殺人鬼と同じ部屋で寝るとか貞操の危機どころか命の危機だ。
正直、怖い。
何が怖いかと言えば、それは滑稽にも彼女が怖いわけだが。別に俺は、殺人鬼である鬼瞳が怖いわけではなかった。
あいつは俺なのだ。
鬼瞳自身も言っていたが、彼女は俺の、失敗し損なった姿だ。
失敗し損なう。
一見、それは綺麗なようだけれど。
成功しているように見えるけれど。
でも、実際はこんな感じだ。
失敗するよりも、下手をすれば酷いんじゃないかと思ってしまう。
だから怖い。
もしかしたら、彼女が俺で、俺が彼女だったのかもしれない。
そう思うと、酷く吐き気がした。
「…………」
じゃあ、なぜ失敗し損なったのか。
彼女の家は、お金がいっぱいあったらしい。
お金がいっぱいあるということは、一種の万能感を人に与える。
だから、鬼瞳の父もまた、そんな万能感に支配されていたのだと彼女は話した。
「パパー……」
「…………」
良いタイミングの寝言だった……。
狙ってやってんじゃねえだろうな、コイツ?
とにかくまあ、そのパパの話を少ししよう。
夕方ぐらいの時のことだ。
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