「タイムリーパー」
「私は未来から来たタイムリーパーです。」
「えっ、なに? 急にどうしたの?」
「〝タイムリープ〟とは過去の自分に意識だけが移行する事象の事です。」
「えーっと…、じゃぁ、さっきまでの君の意識は何処に行っちゃったの?」
「私と同じように過去の自分の肉体に移行しています。」
「へぇ〜…、で、未来ってどれくらい先の未来?」
「5分前の未来からタイムリープしてきました。」
「えーっと…、じゃぁ、もう少ししたら今の君は5分前の自分にタイムリープするって事?」
「そういう事です。」
「なんでそんな事しちゃったの?」
「なんとなく…、急にタイムリープしたくなっちゃって…。」
「じゃぁ君がもうすぐタイムリープするとして、その後の君の肉体はどうなっちゃうの?」
「………。」
「え〜、わかんないの? わかんないのにタイムリープしちゃダメじゃん!」
「そうですよね…、わかんないのにタイムリープしたらダメですよね…。」
「なんかヤバくない? もうすぐ5分経つけど?」
「ちょっと待って下さい。さっきはなんとなくタイムリープしたくなったからタイムリープしたんですけど、今はすっごい不安でタイムリープしたい気分じゃないんですよ。コレって未来が変わった証拠じゃないですか?」
「おー! 良いところに気づいたね。そうかもしれない。君がタイムリープしたくないんだったらタイムリープしない選択もあるよね! あ、もうすぐ5分だよ。5……、4……、3……、2……、1……、0!」
「あっ!」
「あって何? どうなったの?」
「やっぱり未来は変えられなかったんだ…。」
「君は?」
「私はタイムリーパー。5分後の自分からタイムリープして来たんです。」
「……。」
「何ですか? その疑惑の眼差しは?」
「だって全然君変わってないじゃない。バチバチっとカミナリチックな効果音とかも無いし…。」
「バチバチ! うっ…、う〜ん…。」
「口で言ってもダメでしょ。」
「……。」
「君が5分後の君だという事を証明できる?」
「5分後に私はタイムリープします。」
「でも見た目変わらないんだから証明にはならないでしょ?」
「……。」
「そもそもなんで5分なの? 時間設定のダイヤルとかないの?」
「器具とかダイヤルとかは有りません。」
「じゃあどうやってタイムリープするの?」
「え〜と、精神を集中して〝えいっ!〟って…。」
「でもさっき〝えいっ!〟なんてしてなかったじゃん。」
「さっきのは確定した未来だったから強制的なタイムリープだったんです。あくまでも最初のタイムリープは〝えいっ!〟が始まりです。」
「で、くどいようだけど何で5分?」
「自分では時間の設定は出来ないみたいなんです…。」
「なんか残念な能力だね…。」
「……。」
「あっそうだ! 未来にはタイムリープ出来ないの?」
「えーっと…、やった事は有りませんが出来ると思います。」
「じゃぁ5分後の未来にタイムリープすれば、5分前の君がここに帰って来るんじゃないの?」
「おーっ! なんかいけそうな気がしますね!」
「よしよし、じゃぁ早速行ってみようか。」
「はい、行きます! ……、ふんっ!」
「あっ!」
「あって何? どうなったの?」
「やっぱり未来は変えられなかったんだ…。」
「君は?」
「私はタイムリーパー。5分後の自分からタイムリープして来たんです。」
「う〜ん、確かに5分前に同じ会話したけどね…。」
「……。」
「……。」
おわり




