9月1日
ついにやってきた。やっとこの世界から消えることができる。もうこの世界にはうんざりだ。やっと会えるよお母さん。僕には友達なんかできっこなかった。それでいいんだ。未練なんてもうないよ。
9月1日 11時50分
僕はとあるマンションの前に立った。今から屋上に行くんだ。そうすればきっと。そう思いながらエレベーターに乗る。1階、2階と続いていき最終的には7階でストップした。あと3階は階段で行こう。ゆっくりと登り始めた。今までのことを思い返しながら、「つまらない人生だったな。」そう思う。みんな恋愛してたな。僕は恋愛なんかできなかったな。そう思いながら扉を開けると開放的な空間にたどり着いた。風が強いな。屋上に到達して一番にそう思った。
9月1日 12時00分
この世に未練なんかないさ
そう言い残し僕は空へ旅立とうとした
「ねぇ、君、なにしてるの?」
後ろから僕を呼ぶような声が聞こえてきた。誰もいないはずの屋上で声が聞こえてきた。怖くて後ろを向けない。なんで、死ぬことよりも怖いなんてありえない。
「無視なんて酷いよ」
なんで幽霊が僕になんか構うんだ。覚悟は決めた。
「僕はこの世に未練なんかっ‼」
そう言い放ちながら後ろを振り向くとそこには。この世のものとは思えないほどの美少女がいた。僕と同じ学校の制服を着ている。なんでこんなところにいるんだ。
「やっと振り向いてくれた!」
ほんとになんなんだ。やめてくれ。。もう僕は逝くんだ。
「私、真由って言うの。君、名前は?」
「ごめん。」
そう言いながら僕はまた前を向いた。
「ねぇねぇ、こっち見てよ。」
さっきからなんなんだ。この世に未練なんか残したくないのに。あぁ、もっと生きたかったな。君がいるせいで生きたくなってきてしまったじゃないか。でも決めたんだ。今日、僕は旅立つんだ。
何があったとしても
9月1日12時02分
一人の男がこの世を旅立った。
現場にはある一人の少女が泣きながら立っていた。
「私より先に逝くなんて。」