第七話 名前は
僕は新たな異世界で異世界転生をしてきたお姫様であるエーデルと協力することになった。
何を協力して欲しいのかと言うとどうやら戦略結婚の相手の王子の18歳の誕生日会でお姫様は誰かにあっけなく殺されてしまうらしい。しかも、何十回と繰り返してきたらしい。
何をしても殺されることしかできないらしく諦めていたところで僕というイレギュラーな存在が出てきたから協力を求めてきたらしいけど。
だとしても、巻き込むな。面倒ごとは嫌いだが今回ばかりは仕方がない。
ちなみにお姫様は何十回と繰り返しているのに誰が殺しているのかわからないとか。なんとも情けない。
とりあえず衣食住はなんとかしてくれるらしい。メイドか騎士を選べというがどっちでもいいと言ったらメイドで決定されそうになったので人の世話はできないというと騎士にさせられた。騎士って言っても何をするんだが。
今はお姫様の騎士であるアルトとか言うわん公についていけと言われたのでついて行っている。(極力離れながら)
説明を適当に聞き流しながらこの最悪な世界での僕の部屋に案内された。
「ここがお前の部屋だ。服は俺の昔の騎士の服を貸してやるから。部屋の中で待っていてくれ。変な行動はするなよ。」
「あいあい。わかりやしたよ。」
適当に返事をしておいた。
部屋に入ってみると時間も夕暮れ時のせいでいい感じの部屋に見える気がする。そんなことはないので普通に衛生面が悪そうな部屋に案内された。多分ここしかないんだろ。
他から見たら僕は怪しいやつだしお姫様のおかげで部屋に住まわせてもらうことになっただけだからな。
そんなことを考えているとお姫様とわん公が部屋に入ってきた。
「騎士の服はこれで。こっちは戦闘訓練をする時の服だからな。わかったか。」
綺麗に畳まれた黒い服を渡されたが戦闘訓練って言ったかこのわん公。そこまで動きたくないし僕は力が強いわけじゃないから筋肉痛になる未来が見える。
お姫様はそのやりとりを見つつ、僕が使う部屋をジロジロと見ている。
「この部屋でいそべは過ごさなきゃいけないの?アルト。大部屋の許可を取りに行ったはずなのに何よこの部屋。」
「申し訳ありません。エーデル様。執事長に許可をとってみたのはよかったんですけどこの部屋にしろと…」
「あの人私が嫌いだからってこれはないわ。仕方ない。他の部屋を手配する間、私の部屋に住むしかないわね。」
「えっ。エーデル様。流石にそれは…いくらこいつが女だからとは言え危ないです!」
「じゃあ。あなたも一緒にする?」
「それは………」
そんな話をしながら結局は僕はお姫様の部屋に泊まることとなった。
お姫様の部屋はなかなか広くて居心地は良さそうだ。
食事などはどうやらこの部屋でしたほうがいいらしい。今日は特に。僕のことは知らない奴の方が多いから出るなと。
どんな世界なのか知りたかったが。まあ、情報は収集とかはお姫様とかから聞けるだろ。
時間が経ち、お姫様と僕はお風呂に入って寝巻きに着替えた。
「いそべ。一緒のベットで寝ない?せっかくだから女子会したいの。」
「いいけど…わん公に何か言われそうだな。」
「大丈夫よ。身支度中とかは入ってこないし朝起こしにくるとかは控えるって言ってたから。」
なるほどね。わん公が来ないのなら良きだ。お姫様が寝静まった頃合いに取られたスマホを早急に回収してしまおう。
協力的に見せながらスマホを取り返しタイミングを見計らって出ていく。はなからこいつらと協力する気なんてないしな。
そんなことを企んでいるとお姫様はベットの上に座った。
「いそべもベットに来ても良いわよ。」
「どうも。」
今は大人しく従ったフリでもしておこう。お姫様も今は眠たそうにしてるわけではないし。僕はドンとベットの上に転がった。ベットに乗った途端、質問をされた。
僕もしたいんだけどな。
「いそべはどうやってこの世界に来たの?事故?それとも殺されたりとかで異世界に来てしまったの?でも、私と違って五体満足だからそれはないのかな。」
「そうだな。僕は転移する能力でここに来てしまっただけだよ。お姫様は転生だから元の世界では死んだなのか?」
「そうよ。ただの32歳独身のOLだったのに。仕事の帰りに車に轢かれちゃって…」
「ふーん。気の毒に轢かれる痛みはぼくも少しばかりわかるさ。」
「轢かれたことあるの?にしても転移する能力って良いな。私もそういうの欲しいな。ていうか発動する時とかって[転移]って叫んだりしないの?でも、そのまんまじゃカッコ悪いかな。」
お姫様は早口でそんなことを言い始めた。思ったより夜は長いかもしれないな。僕の悩みとは裏腹にお姫様はうーんと悩んでいるかのようなそぶりを見せる。少し待ってみるとパアッと表情は明るくなる。何か思いついたみたいだ。
「能力の名前私が付けてあげる。良いのを思いついたの。」
そう言いながら勢いよく立ち上がる。
「【ワンダーランド】なんてどう?」
これだから人に期待しすぎない方がいいんだ。僕はため息をついた。




