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第六話 最悪な異世界


体に激痛が走った気がした。

それでも眠いからどんなに痛かろうがうるさかろうが目を瞑りまくり寝ていた。

起きてみたらそこは僕がいた白い空間とは違う白だった。なんというか部屋だなこれ病院みたいな感じだ。ベットも完全に病院みたいな見た目だ。

つんとした匂いがして一瞬で目が覚めてしまった。

ここはどこだと考える間もなく誰かが白い空間の中を開けてきた。


「初めまして。よかった起きたみたいで。何も違和感はないかしら。怪我の痛みとか感じたりしないなら良いのだけれど。」


ドレスを身に纏った背の高い女性が入ってきて早々に僕を心配し出した。心配されるほど僕はやばかったのだろうか。

どの異世界に落ちたのかわからないな。服が西洋風なのと僕が迷子のことだけはわかる。


「あなた。空から落ちてきたのよ。木に引っかかったからそこまで大きな怪我はしていなかったけど。名前はなんていうの?私の名前はエーデル・ハウムよ。」

「僕はいそべ。助けてくれてどうも。じゃあばいばい。」


僕はそそくさとベットから降りて帰る準備をしようとするが、重要なものがないそうスマホだ。空から落ちてきたということはどこかに落としたもしくはその勢いで壊れているかのどっちかだ。終わったただでさえ高いし異世界によっては使えないとこもあって少しばかり不便なもんだったけど。そんなのってないよ。

僕が自分の身の回りをまさぐっているのを横目にエーデルとやらは僕の前に片手を突き出した。その手には僕のスマホらしきものが握られていた。


「これをお探しのようですね。いそべさん。あなたもしかして異世界から来た人かしら?」

「それを渡せ。今すぐに。」


スマホをすぐに奪い変えそうとするも綺麗に避けられてしまう。

女はすぐに体制を整えて深呼吸をしながら話し始めた。


「ごめんなさい。すぐには返せないわ。あなたが異世界の人だと知った今。私はあなたの力を借りたいのお願い!頼りなのはあたしと同じ異世界に来てしまった人だけなの!」


そう言われても…この女どんなに取り返そうと近づいても避けられてすぐ離される。こいつはドレスにヒールなのに強すぎだろ。

そんなこんなで5分くらい格闘した結果、一方的に僕が疲れただけだった。ただのお姫様ではなさそうだ。

時間が経ち過ぎてしまったせいか誰かが部屋に入ってくるような音が聞こえた。目線をそちらの方に向けてみるとそこにはでっかい男が入ってきた。

よくよくみてみるとそいつは尻尾があり耳がついている。

それはまるで犬のような………


「えっ。もしかしてこいつ………」

「あら、アルト外で待っていてねって言ったのに。」

「申し訳ありませんでした。エーデル様。ですが、どこのやつかもわからないやつといられるのは少し危ないかと思いまして。」

「そう。ああ、ごめんなさい。この子はアルト・ベンリィっていうの。この子は犬の獣人なのよ。びっくりしてしまったかもしれないけどこの世界は……」

「そのわん公は僕に近づくな!絶対に。」


最悪な事態になった。大っ嫌いな犬が絶対に会いたくない犬がこの世界に存在するだなんて。落ちるんじゃなかったなこの世界。

僕は犬との距離をとりつつ様子を伺う。


「えっと。大丈夫よ。アルトは噛みついたりしてこないから。」

「えっ。エーデル様。」

「そういう話じゃないんだよ。」

「もしかしなくても犬は苦手かしら。」

「大っ嫌いなんだよ………とにかく、僕の返せよ。」


手を出してみるも返事は早々にかえってはこず、うーんと悩んでいるかのようなそぶりを見せる。少し経ち左手をあげてみせるとわん公は大人しく帰って行った。


「あたしに協力してくれるのなら考えてあげようかしら。」

「へえ。面白いこと言うじゃないか。大人しく従うとでも。」

「アルト〜」

「待った。わかった。承諾しよう。あんたに協力してやるよ。それでいいんだろう。だから、わん公を呼ぼうとしないでくれ。」

「あらよかった。協力的で助かるわ。私のことは好きに呼んでもらっても構わないわ。」


ニコニコしているお姫様をみて最悪なところに来てしまったと僕は思った。




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