第四十話 異世界特典
ニヤついた顔で異世界をわざわざ楽しもうとするバカが一人。待ってた方が楽そうだし仕方がない神が僕らを探し着くまで待っていよう。
「で。お前は魔王を倒しにいくのか?わざわざまともに戦えるかもわからないのに。大人しくしておけ。」
「えっ。でも、せっかくなら何ができるのか楽しみたいな。それに魔法が使えるかもしれない!異世界特典で少しくらい無双させてよ。」
こいつ夢を抱きすぎだろ。うまくいくとは思えんからやらせて黙らせておこうか。
「とりあえず他の場所に行ってなんでもいいからやってみろよ。お前の持つ異世界特典とやらを見せてみろ。」
「まかせてよ。」
僕らはとりあえず誰もいなそうな森へと入っていった。
「何ができるかな。さあ、とくとご覧あれ。」
見てやってもなんかできてる感じも出てる感じもしない。こいつダメな方か。手を目の前に出してきたかと思うと手に乗っていたのは鉛筆だった。やっぱこいつダメだ。話聞いてやらずに飯でも大人しく食っときゃよかったな。
「鉛筆しか出ない。なんで!もっとかっこいい魔法とか使えるもんじゃないの?」
「なんでも思い通りにはいかないもんだ。元がダメならダメなんだよ。まあ、その元が能力があれば別だけどな。」
なんもできないことが相当ショックなのかしょげたまんま顔を上げない。鉛筆をこねくり回して何か言いたそうだ。今にも泣きそうな顔で立ち上がるとちっちゃい鉛筆が急に大きくなった。右手に持った鉛筆ホルダーもでっかくなり、鉛筆をホルダーに入れて、ドカンと一発爆発させた。
「勢いでやったらできた!見て今のやっぱ想像通りにいくこともあるんだ。」
嬉しそうにこちらを振り向くと僕の方にホルダーの先端にぶつかりそうになる。こいつ危な。前言撤回、ダメな方じゃなくてヤバい方のダメだ。
「危ねえよバカ。僕にぶつかるとこだったろ。」
「あっ。ごめんね。それより見て。この鉛筆、ロケットランチャーみたいにドーンと出たよ。もう一回やってみようかな。」
楽しそうに背を向け始め、すぐに周りを鉛筆で破壊していった。なるほどね。神様やらが異世界に人間を連れていく理由がわかった気がする。見ていてスッキリするしやることなすこと面白い。だとしてもこいつ破壊衝動に駆られすぎだろ破壊神になろうとしてる?
「一旦、落ち着け。初めての異世界でいろんなことをやりたいのはよくわかったから。止まれその。バカスカ打つな。」
鉛筆ロケランであたり一体がすごい有様になっている。しかも、建物も破壊しているときた。こいつ異世界の荒らし屋だろ。




