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第三十八話 神ダチ



怖くて俺は足が止まってしまった。後ろは振り向いてはいけないという言葉を脳内で再生させながら。いそべは何事もないかのように歩く、女の子はいそべに引っ張られている。落ちるいていこうと思った矢先、声が聞こえた。


「アルト。また会えて嬉しい。」


エーデル様の声が聞こえた。なんでここにいるんだ。後ろを振り向いたらダメだって言っていたけどこれはどうすればいい。焦っていた俺はいそべに助けを求めようとしていそべの方に目線を向けた。

いそべは俺の方を見ていた。目があって気づいた。いそべは振り向いてしまった。


「なんで…」


風が通り過ぎたと思ったらいそべの後ろに誰かが立っていた。磯部の目を塞いで動きを止めるかのように立っていた。そいつを確認しているうちに後ろの気配が消えていた。


「迷子のいそべっちみっけ!もう、探してたんだよ。」


どこから出てきたかもわからない男はどうやらいそべの知り合いらしい。


「遅え。もっと早くこいよ。タクシーなら僕を待たせるなよ。」

「はいはい。で?そっちの犬は、いそべっちって犬嫌いなのになんでこのこと一緒にいるの?手を繋いでる女の子は、お友達?いそべっちについにお友達ができるなんて感動するなぁ。」

「ウルセェ。いいからさっさと僕らを案内せんかい。」


近道がまさかの人だとは思わなかったな。女の子もそいつにびっくりしたのか硬直してしまっている。男は模様のついた紙の束を懐から出すと周りの風景が一瞬で変わった。いそべのような白い世界とは違って床が水、天井には空が広がっている。


「こいつのこと言うの忘れてた。こいつ神ね。」

「神様なの!神様にこいつって言っちゃダメじゃないかな。神様ってタクシー扱いしていいものなの?」


女の子はびっくりしたのか大きな声でいそべの言ったことを指摘し始めた。俺もそれは思った。タクシってなんだろ。


「大丈夫気にしてないから。俺といそべっちの仲だもんね。俺たちダチなんだよ〜。そう言う君らはいそべっちとどういう仲なの?」

「俺はアルト・ベンリィ。居場所がなくなったからいそべに新たな場所を提供してもらおうとしたら迷子になったみたいな。」

「自分は尾前之汐って言います。自分はきさらぎ駅に行ってしまって怖くて動けなくなってしまっていたら駅の中から連れ出してくれて。」


なぜか自己紹介タイムになってしまった。満足したのか神様はニコニコしながら道案内をし始めた。




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