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第三十二話 家



一つまた一つ街をまわったが全くシャロの言う家が見つからない。


「ここには無いみたいだ。本当にシャロの家は存在するのか?実はもう無くなっちゃったんじゃないか。不老で腕輪の力のせいで時間が奪われるから記憶が変になってんじゃないか。」


こっそり吸血鬼に聞いてみると首を振ってきた。一応それっぽいやつはまだあるらしい。ここまでくるとめんどくさいとか言えなくなってきたな。ホルンも上から探してくれているみたいだし。


「気になってんだけどなんで家なんかに帰りたいんだよ。家に帰ったら何かあるのか?もう時間が経っているなら誰も待ってないんじゃないか。」

「……なんの話していたんでしたっけ?そういえばこの腕輪のことについて教えていなかったですね。」

「ねえ。また飛んだぞ。何回この腕輪の話聞かなきゃなんないの。僕リピートされるの好きじゃないんだけど。」

「おばあちゃんだからね。認知症と同じ現象さ。仕方ないから聞いてあげて。」


最悪だよ。認知症ってなんだよ。お守りに来たわけじゃないんだぞ。イラついてきたな。腕輪の使い方とか聞いても秘密って言われるしなんなんだよ。


「ねえ吸血鬼。腕輪のやつを使い続けてたら、いつかは家探しのことも忘れて無かったことにできるんじゃないか。放っておこうぜ。」

「もっと早く言っていたらそれもできなくはなかっただろうね。」


ニヤニヤとした表情で吸血鬼がシャロを指さしていた。見てみると大きな屋敷をじっと見つめているようだった。もしかして、見つけてしまったのか。これで終わりか。やっと帰れる。


「あったここ…私の家です。」


シャロは黙って扉を開けて入っていった。吸血鬼も後を追って入っていたのでとりあえずホルンに後ろを任せて僕も中に入った。ボロいわけじゃないみたいで人が住んでいる家というものをあまり見たことがないからわからないけど、なんか不気味だ。人がいないようにもいるようにも捉えられる。僕真ん中ら辺で良かった。


「ひとっこ一人いないな?やっぱもう死んでんじゃない。シャロの家族。」

「いや、血の匂いがする。近くで何かあったのかもしれないから探してみようじゃないか。シャロくんあまり無理はしない様にね。」


シャロは頷いてまっすぐ廊下を歩いていった。何かあったらホルンで逃げるくらいの余裕は持っておこう。まっすぐ進んだ先にあったでっかい扉に来るとゆっくりと扉を開け始めた。



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