第三十話 迷子の子
寒い中外に出て知り合いとやらを雪が降る街で僕と吸血鬼、箒のホルンで待っている。寒いからマフラーってやつを貸してもらって、首に巻いてもらって暖かいけどまだ寒い。早くきてくれ僕らより先に来るべきだろ。ホルンが少しずつあったかくなる頃、白髪の女が吸血鬼に話しかけにきた。
「申し訳ありません。遅くなってしまいましたわ。少し場所がわからなくなってしまって。こんばんわ。そちらの小さな魔女さんは初めましてでしょうか?」
「どーも。魔女ではないがな。ただのお手伝いさんさ。」
「彼女はちょっと機嫌が悪いみたいだ。予定よりずいぶん遅かったようだけど何かあったとかではないみたいだよかったよ。」
口を押さえながらニヤニヤとする白髪の女と僕の方を見てマフラーの位置を直しながら同様にニヤニヤとしている吸血鬼。なんか気持ち悪いな。
「その小さなお手伝いさんのお名前はなんていうのかしら。お姉さんに教えて欲しいですわ。」
「僕いそべ。この箒はホルンっていうんだ。あんまり舐めるなよ。うちのホルンが火を吹くぜ。」
またニヤニヤとし出して白髪はポケットの中からカラフルな小さな包みをいっぱい出して僕に差し出してきた。
「お近づきの印にどうぞ。私の名前はシャロといいます。これはチョコレートですわ。お気に召してくれればよろしいんですが。」
手を出すと手に溢れるくらいにチョコレートの包みをもらった。いい収穫だ。こいつはきっといいやつに違いないな。全部僕のにしておこう。
「それでシャロは何に困ってるんだ。いくらでも話しな聞いてやるよ。」
「困りごとそうですね。私の困りごとは迷子なんです。だいぶ時間が経ってしまったせいで帰り道がわからなくなってしまったのです。家に帰るだけなのですが今年から夜が終わらなくなってしまったので一人でうろつくわけにもいかず男性の彼にその困り事を手伝ってもらおうと思ったのです。」
吸血鬼を指でさしながらニコッとする。知り合いなのは本当みたいだな。夜が終わらない。この世界に来てからずっと赤い満月が出ているのはそういうことか。ていうことはわん公が外に出ればまた毛むくじゃらのでっかい犬になるってことそれだけは避けたいな。あいつを絶対に外に出さないようにしよう。
「で!帰り道を一緒に探してやればいいだけなんだよな。簡単だな。」
「嫌。護衛もだよ。いそべくん。シャロくんはすぐ忘れてしまうからね。彼女は不老だから相当長い年月生きたみたいなんだ。おばあちゃんなんだよ。」
「そこまで生きてないですよ。あなたという吸血鬼と比べた全然ですわ。いそべさんこそそうじゃないんですか?」
勘がいいのかそれともこの世界によるルールでわかるもんなのかよくわからないけど少なからず僕はこいつらよりになるのか。
「いそべくんは違うところから来たみたいなんだ俗で言う異世界転移ってやつだよ。ここではよく来るけどここまで抵抗する人は初めてだったかな。あと、複数人で来るのも。」
異世界から来ていることを理解しているやつはあんまりいなかったから珍しいな。




