第二十五話 苦手
「階層の探索が終わったら階段を下って行けば次の階層に行けるわ。気をつけてね。」
やっと、初めの階層を見終わった。思ったより広くて大変だった。モンスターは絶対倒さなきゃいけなかったり、倒さなきゃ宝箱は出てこない場合があるらしいからだそうだ。
「いいもん見つからんな。クソ箒みたいなのそこらにないのかよ。」
「俺も大したものがなかったな。使えるかわからないけど、この本とかしか見つからなかった。」
見つけた本を出すと店主は本の中身をじっくりと眺めた。古そうだけどこういうのも意外といいものだったりしそうだな。
「これは初心者用の魔法の教科書ね。懐かしいものを見つけてきたみたいね。アルくん持っておけば、ダンジョンの探索が終わったら二人に教えてあげるわよ。」
「魔法ね。僕は面倒だからわん公が教わっとけ。」
「この世界に住むつもりいいかも。」
魔法なんて俺のいた世界だと物語だけでできることだけど、この世界だとできるのがいいな。よく考えたら、違う世界の俺に魔法なんて使えるのだろうか。疑問に思いいそべに少し小さな声で聞いてみた。
「いそべ。俺って魔法使えるの?元の世界だと魔法なんて夢物語みたいな感じだから。」
「使えるんじゃない知らないけど。僕は使えないからな。わん公は使えるんじゃない。」
魔法使おうとしたことあるのかな。ありそうだけど聞いたら怒ってきそうだから聞かないけど。一通りみんな見終わったようで次の階層に行くらしい。
「あのー。こちらの部屋にはもしかしたらまあまあ強い敵がいるかも知れないので………えっと、ここを通らないと次の階層に行けないので、その敵を倒して通れないと進めないので……」
「避けて通れない敵ってことね。みんなで協力して敵を倒すチャンスよ。」
「ヨシ!お前らがんば。絶対に僕は戦わないからな。後ろで待機しとく。」
「いそべがいなくてもホルンがいるから大丈夫だよ。こいつちゃんと周りを気にして戦ってくれるから。」
「なんだちゃっかりその箒に名前をつけたのか?主人に似るんだな。」
我ながらいい名前をつけたと感じていると俺たち以外がもう部屋の前の扉で待機していた。待たせては悪いからすぐに集まった。俺たちが集まったことを確認したのか店主は一呼吸おき勢いよく扉を開けた。目の前には大きな犬、顔は三つあり体は一つでなっている犬がいた。
途端、小さな体が崩れ落ちるのを視界の隅で俺は見た。急いで小さな手を俺はつかもうとしたがそれは叶わずするりと落ちていった。真っ白な穴へと。




