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第十七話 君の居場所



『ねえ。アルト。私ずっと前から言いたいことがあったの。私あなたのことが好きなの。』


脳の中でこだまして聞こえる。守りたい人から放たれた言葉は一生聞けそうにないものだった。あっちの俺に対して言ったことだとしても嬉しい。


「なんで俺はあそこにいけないんだ……守ったのは俺なのに……」

『そりゃ。生きる時間時空が違っただけさ。死にはしないだけお前たちにとっては良いことじゃないのか?』

「死なないことはいいことだそれでも……今の俺があそこであの言葉をもらいたかった……」

『そう。じゃ僕はそっちに戻るとするか。』


いそべが戻ってくることがわかると俺は急いで背を向ける。泣いているところを見られるのはカッコ悪いからな。いそべはメイドの死体をみるとすぐにどこかの扉に死体を閉まってしまった。


「どこにしまったんだあいつの死体。」

「さあ。どこに入ってるんだろうな。」

「なあ。元の時間時空、エーデル様が死んでしまった時間時空に返してもらうことはできないか。もう、俺の成したいことはできたから。」

「言ってなかったけ。もう後戻りとかはできないんだ。わん公。元のとこにもあっちにもお前は帰ることができなんだ。だってお前の居場所はもう消えちゃったんだから。」

「戻れない!一度もそんなこと言ってないじゃないか。じゃあこれから俺はどうすればいいんだよ。」

「知らんよ。お前がどうなろうが僕に知ったこっちゃないからな。それより僕のスマホ返せよ。お前が持ってることは知ってるんだぞ。床に置いてその場を離れるんだな。」


こいつ自分勝手だな。犬が嫌いって言ってたよな。ならそれを利用してでも俺は居場所を見つけないと。もう戻れないのならいっそのことどこだって構わない。


「いやだ。俺をここから出してくれ。俺を出してくれないのならお前の大事なものを絶対に渡さないぞ。」

「てめえ。クソ犬が。犬じゃなかったら奪い取れるのに。出たいって言われてももうお前は戻れないの!」

「元の場所じゃなくてもいい!この白い空間よりましなところならどこでも。」


いそべは少しこの空間を見回した後ため息を吐き出した。


「仕方ない。今回だけだぞ。どこに連れて行っても文句は無しだ。」


意外とあっさりだ。もっといやそうにされるかと思った。


「ついてこい。面倒ごとは早めに終わらせた方がいいと今回のことでわかったからな。」


いそべはつかつかと早歩きでその場から離れたいかのように行ってしまう。俺はその後ろについていきながら白い空間を歩き出した。



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