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第十五話 その名を呼んで



ヒールがあの時、お姫様が亡くなった廊下で鳴り響く。扉の前に来るとまた深呼吸を挟んでいる。お姫様は何もしなくとも大丈夫なのに死ぬのが相当怖いようだ。


「じゃ。お姫様。ここからはわん公と一緒にな。約束通りの行動を頼む。」


肩に手を置きながらいうとうなづきだけが返ってきた。敵が動くまでは僕らもなんもできないから待つしかやることがない。暇だから適当に部屋で待っておこう。メイド服も目立つから今のうちに元の着物に戻っておこう。


『殺し方がわかったってだけで敵はどこにいるのかわかるのか?』

「多分。ここだ。と思うとこくらいあるさ。でも、当たっているかは賭けに過ぎないけどな。」

『そうか。……一応信用してるぞ。いそべ。』

「へえ。どうも。」


わん公が小さな声で唸っている。一発で相手を仕留めたい気持ちは同じだが僕に聞こえるように唸られると怖い。犬ってやっぱ怖いもんだとわかる瞬間だ。

そんなこんなで雑談みたいなことをしながら廊下の歩いていると曲がり角らへんでヒールを履いたメイドが見えた。相手は僕にまだ気づいていないようで部屋に入ろうとする。


「わん公。いつでも戦闘できるように剣でも持っておけよ。戦うのは任せる。」

「おお。まかせろ。えっ。戦うのか。」

「殺すなら当然戦って殺した方がいいだろ。」


わん公の制止の声も振り切ってメイドのところに近づいた。メイドは驚いているがレイピアを持っているあたりわん公らへんが来るかもしれない可能性を考えていたのかもしれない。


「どーも。妹の方のメイド。剣以外にも人を呪うことが特技とは意外だね。初心者とはいえずいぶんうまくやってるもんだよ。」

「あら。バレてしまいましたか。でもなぜ私の居場所を特定できたんですか。」


すっとぼけをされると思っていたから思わぬ回答だったがまあいい。こいつが犯人で良かった。王子とかが犯人だったら後々お姫様がめんどそうだから。


「呪いで見る限り入念な準備をしてこの日に殺せるように設定されてたんだろう。でも、近くで死ぬことを確認してもわん公に怪しまれるかもしれない。だから、遠くもなく近くでもないこの部屋にしたんだろう。この部屋は見回りとかが来ないらしいからな……」


僕が喋り終えたのがわかったのかレイピアが僕をまっすぐに見つめる。僕が気がつくよりも早くレイピアが僕の顔の前まで近づいていた。


「あいにく戦うのは苦手でね。扉を開け。ワンダーランド。相手は任せたぞわん公。」


レイピアとメイドをうまく白い空間に誘導するために自分自身の体を真っ二つに割り白い空間に移動できる入り口を作り出した。自分自身の体に作ったのは初めてだけど今後は絶対にやらん。


『やっと俺の出番か。お前を倒してエーデル様の命を守ってみせる。』


わん公がいつにも増して大きな声を出しているのが聞こえる。時間稼ぎにもならんがここは任せておこう。僕はお姫様がいる部屋へと向かった。あとは呪いを発動される前に解呪するだけだ。でも、僕の足の速さからしてたどり着くわけないので一度立ち止まる。白い空間から獅子頭を取り出しかぶる。


「ワンダーランド。」


お姫様に指定した部屋へと一瞬で流れ着く。



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