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第十二話 二度目のチャンス


お姫様の目の前まで歩いていくと手を握られた。意外と力が強く僕の手が壊されそうだ。お姫様の顔をみるとツーと涙を流しながら握られている僕の手を胸へと運んだ。


「よかった……いや、それよりなんで。」

「落ち着けよ。話ならお姫様の部屋でゆっくりお話ししようじゃないか。」

「ええ…ええそうね。そうしましょう。」


お姫様に手を握られたまま部屋へと連れて行かれる。


『おい。なにエーデル様を泣かせてるんだ。』


頭に響くように聞こえる。目の中らへんに見えるようにしてみたけどやめようかな。わん公めちゃくちゃうるさいから。


「うるさいなわん公。感動の再会ってやつだろ。多分。今のわん公の声は僕にだけしか聞こえないはずだから叫ばれたりしても大丈夫だが。静かにしないならこの視点見せないぞ。」

『それはごめん…それよりこれからどうすんだ。』

「それはお姫様に話しながら教えてやるよ。この時間時空のわん公とも会わんとな。」


わん公と話をしているとお姫様の部屋にたどり着く。この時間時空のわん公が扉の前にいる。部屋に入るとソファーに座るよういわれる。お姫様は前のソファーに座り涙を拭いながらお茶を用意する。


「一回だけのチャンスだと思ったわ。いそべがきたのはあの時だけだったから………でも、どうやってここにきたの?」


説明するのがめんどくさいな。適当に受け流しておこうじゃないか。


「ちょっとした犠牲のおかげでうまくやってこっちの世界線に来たんだ。次こそお姫様を生かすためにね。頑張らせていただくよ。」

「何度も助けてくれるの?ありがとう。」

「いやいや、どういたしまして。」


『おい。対して仕事してなかっただろ。ずっとエーデル様の近くにいなかったくせに。』

「うるさいな。別に僕がいたところでなんも変わらんかもしれなかっただろ。」

『今度はちゃんと近くにいろよ。俺にはお前の視点が見れてるから監視できるんだぞ。』


わん公が監視できるようにしてるのは僕だからそれを消すことも可能なんだよな。そのことをいうつもりはないけどな面倒だから。


「死んだ後なにかへんなこととかなかったかしら?私は死んでるからなにが原因かわからないけどいそべはみてたり…」


なにが原因か。それはわかるんだが。避けられるタイプのやつじゃないしなんて話そうか。説明をするのは難しいから嫌いなんだ。


『なあ。エーデル様を守るためにはこの時間の俺に二カ月後に起きることを説明した方がいいじゃないか?』

「それは無理だ。たぶん信じないだろわん公。あっちのわん公は主人が死ぬ悲劇を辿ってない。それに対してこっちのわん公は僕の摩訶不思議なことでも信じる他ないほどだったろ。それに初めっからお姫様を守ろうとしていることに変わりはないんだろう。」

『そうだけど。まあ、お前に何かあったら俺はそっちに行けないし。危ないことしそうだから。』


モゴモゴとした声が聞こえるが気にせずお姫様の質問に答える。


「そうだな。なにが原因かわからないが身近の人やつのことを知りたいから今度はメイドとして働かせてもらおうかな。」

「えっ。メイド?別に私は身の回りのことできるからいいけど。城の人は意外と私のことをよく思わない人がいるからいそべを私のメイドとして置くにはちょっと危ないかしら。」

「安心しときな。そこんとこはなんとかなるさ。信じろ。」


わん公がいるからそんなヘマしないだろ。多分。

この最悪な二カ月を何度も繰り返すのはごめんだからな。今回でどうにか成功しなければ…



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