◆閑話◆ ××になりたい
☆本日の作業用BGMは、『イッツ・マイ・ライフ』(ボン・ジョビ)。
最近はコレばっかり流してます。
まともに聴いたの初めてなんです。
MVのジョンが格好いい……というか、かわいらしくてデスね……。
ああ。別に、友人ではないです(念のため)。
〆めは『ス・ト・リ・ッ・パー』(沢田研二)。
作曲・ジュリー、編曲・伊藤銀次……くっ●●。
であります。
★本話サブタイトルの『××』はお好みでどうぞ。
因みに、及川光博さんなら「フィアンセ」、ベム・ベラ・ベロなら「人間」となるのでしょうね。
寒暖の差が常軌を逸している今日この頃ですが、皆さま息災でお過ごしのことと……どう? 皆さま。
果たして春といえるのかどうか自信はございませんが、風に舞うピンクの花びらたちを見るにつけ、毎年繰り返す切ない思いを自覚して……一応は春を迎えたのだなと、鼻を啜りながらもどこか無理矢理納得している自分がおります。
終わりと始まり……相反する事象が、きっちり繋がる季節――。
気がつけば、今年も残すところ九ヶ月となってしまいました。
お母さま。
全く関係ないのですが。
生前お好きだった『パタ●ロ!』の主人公、ド・マリネール8世は、一日中お食事を堪能されているイメージですが。
彼にとって、どこからどこまでが「朝食」なんですか?
☆☆☆
七ツ半(午後5時頃)を過ぎても、外界は黄色い明るさを保ったままです。
先ほど来店された男の子が、額をうっすらテカらせつつ、腕組みしたまま椅子から身を乗り出してボタン群を眺めてらっしゃいます。
戸口に佇む、小さなお姿を遠目に見掛けた際は、「今日、入学式(小学校の)だったのかな」と思ったのですが。
今あらためて眺めると。
スーツにネクタイ、限りなく透明に近いブルーの髭剃り跡――「小学生」は間違いだったようです。
UMA……かもしれません、お母さま。
やがて腕を解くと。
少しムッとした風に、
『♪ちっちゃな頃からちっちゃくて~』※1
というボタンを押下いたしました。
自虐が過ぎる。炎上系かな(意味不)。
この曲――。
福岡は久留米発のバンド……確かキャッチコピーが『退屈退治』。
いやいや、私の耳馴染みですと『早く起きた朝――』のアノ女性なのですが――。※2
【……こんにちは】
ため息と一緒に漏れました。ふぅ。
「ツイてない御苑にようこそ。このお声はどなたの――」
【『ちんぴら』を唄っていた女性です】※3
「松居さんですね」
心から納得です。
☆☆
【英語の教師やってまして】
ため息で萎れた風な、張りの無いスーツの裾辺りを、力無く見詰めてらっしゃいます。
「先生でしたか。遅くまでお疲れ様でございます」
【今日は、ホームレスが長引きましてね】
……ホームルームかな?
「英語の教師」……。
【毎日、残尿残尿でヘトヘトですよ】
「病院行きましょう。『残業』の間違いでないのなら」
【あー残業です。まあ、残尿感もハンパないですけど】
僧帽筋の盛り上りが体育会系を思わせます。
ただし、上背は――。
【バドミントンのネットより低いんですよ】
見透かしたように、ハハハと笑いました。
坊っちゃん刈り風の艶々な黒髪がサラリと爽やかに揺れますが。
童顔に似つかわしくない苦悩の色が滲んで見えます。
【チビのうえ、こんな顔なので。教師の威厳というものが……】
「はあ」
【ゆえにー】
「は?」
【それっぽい、大人の言動とか、エロエロ研究しております】
「…………ふうん」
【ほぼ毎日「大人のふり●け」食べてますし】
ほんの間、思案顔でしたが。
【『俺がやったドーピングは「努力」だけだ』】※4
少しだけ。4度くらいでしょうか。
胸を反らしてみせました(多分)。
「なんです突然」
【どっかの人がネットで呟いてました】▲
これが――「大人の言動」というつもりでしょうか。
☆☆
【冗談抜きで昔からチビだったのですが】
「さいですか」
【面と向かって馬鹿にされたことは無いんです】
「ほう」
【クスクス笑いってあるでしょ? あの陰湿なヤツ。背後や陰でしょっちゅう……お陰で喧嘩は絶えませんでした】
意外。向かっていく質なのですね。
【でも今は、学生をどつくワケにも……】
「『私の戦闘力は530000です』とでも言っとけば、ど、どうですかね」※5
抑止効果は分かりませんけど。
【一度だけ、男子生徒に手を上げたら――】
「一大事じゃないですか」
【翌日職員室でその男子生徒から、『つまり……あなたとやり直せないかってこと!』って、もじもじしながら言われました】
大人(女性)の恋愛事情?
「良かったです。大事にならずに」
【言ってやりましたよ、『だが断る!』って】※6
「断るんだ」
【私、ノンケです】
「ん?…………うん」
【とどめに、『海賊王に、俺はなる!』って吠えてみました】※7
「唐突な転職宣言」
両膝を揺すりつつ、若干前のめりな英語教師殿。
赤みを帯びたお顔は、一層年齢を押し下げて見えます。
【一度社会人を経験してから教師になっても良かったような気がします】
「そんな方もいらっしゃいますね」
【『人はパンだけで生きるのではなく、ピーナツバターも必要なのさ』って誰か言ってました】
「小麦も米も高いですしね」※8
【そういう意味では――】
「英語教師らしく、英語の名言ぽいのないですか?」
【あ……ベリーベリーホース!】※9
「とてもとても馬?」
両手をわちゃわちゃさせて、
【やっぱ今のナシで!】
「あ――『決め付け刑事』かよ!」
【今頃ツッコミ?!】→▲部
☆
ズレた思考と言動から、苦難(?)の日常は察せられますが――。
「恋愛事情の方は?」
【年齢イコールです。一度だけ、高校の頃、告白を――】
「これは興味深い」
【お相手を屋上に呼び出して……極度の緊張から、『まあ、僕は「緊張する側」じゃなくて「させる側」だけどね』って言ったら即フラれました】※10
「然り」
つまり、童●?
【『せっかく神様がいるのなら、一局お手合わせをお願いしたいと思います』】※11
「なんの一局だよ。藤井七冠に謝れ、ほら」
【こんなチビ、相手にしてくれる女性なんて……】
「大丈夫、『ペットみたいなもんでしょ、彼氏なんて』」
【嘘でもフォローしてくださいよ】
『Theかぼちゃワ●ン』のエルちゃんみたいな女の子もいると思うんですけどねえ。
「試しに、私を大人っぽく口説いてみてください」
【ええぇ?】
「練習練習。緊張しないんでしょ?」
しばらく憮然としておりましたが、
【……俺たち、『恋人』じゃなくて『家族』にならない?】
「養子縁組?」
【それもイイね!】
童顔が、半泣きでサムズアップして見せたのでございます。
☆☆☆
敢えて適当な言葉を投げてみよか――私の中のリトル神幸が、悪戯っぽく囁きました。
「……『無口な童顔』は、結構威圧感あるんですけどねえ……」
そんなバカな(笑)
腕組みして難しいお顔をしていた先生は、半開きのお口をパクパクさせました。
黙考ののち――。
【……なるほど。大人とは『落ち着き』がキモ――そういうことですね?】
ほら――いいように解釈してくれることもあるワケで。
【実は、本気で転職を考えていたんです】
「自信喪失ですか」
【ま、まあ、そ……】
「『疲れたら休めばいい。やめる必要はない』」※12
【おお! 大人の名言ぽい……どなたの言です?】
「海外の……恐らく夜中、そこらじゅうに落書きして回ってる人です」
【言い方】
「休む気はあっても、やめる気はないのでしょうね。落書き」
【しーっ!】
薄青い 慌てる童顔 いとをかし(神幸)
「いつもその程度の心持ちで仕事していますよ、私も」
【落書き?】
「ち・が・う・だ・ろ。→ちがうだろ」※13
何故かツボに入った先生へ、
「ゴッド・ブレス・ユー」
心から発したのでございます。
「大人」ってなんですか、お母さま。
「子ども」じゃない、ということしか、私には分かりません。
勿論、年齢や言動だけでどうこう、とはならないのでしょうけど。
先生も私も――人として大事なアレが欠けていて……それが「大人になる」ことを阻んでいるのやもしれません。
※1 『ギザギザハートの子守唄』の替え歌より(吉本新喜劇・池乃めだか氏の持ちネタ→のち、とんねるずも)。
※2 曲自体はチェッカーズのデビュー曲→松居直美さんがカヴァー。
※3 作詞作曲は甲斐よしひろ氏。松居直美さん→のち、甲斐バンドも。
※4 by ディエゴ・マラドーナ
※5 『ドラゴンボール』フリーザ様
※6 『ジョジョ~』岸辺露伴
※7 『ワンピース』ルフィ
※8 by 永峰神幸
※9 メイダン競馬場で行われたG1ドバイシーマクラシック(芝2410メートル)にて、優勝したダノンデサイル号(牡4、安田厩舎)の鞍上・戸崎圭太騎手が、レース後、馬上で受けたインタビューで炸裂させた第一声。無邪気さが滲み出ていて、ほっこりいたしました。
※10 ROLAND氏(ホスト・実業家)
※11 by 将棋の藤井聡太七冠
※12 バンクシー……という噂
※13 by 滝川ク●ステルさん(ちがうだろ)
★久し振りの投稿で、手抜きさせていただきました。
おそまつm(_ _)m