表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/147

~黎明の息吹き?

★本話の作業用BGM……

『ワイワイワールド』(水森亜土・こおろぎ73’)です……。

 鳥山明氏に合掌(水森さんはご存命のハズ)。

 アニメ『Dr. スランプ』のOPであります。

 ピーピピッピプペポ……(涙)


 続いて、

『CHA-LA HEAD-CHA-LA』(影山 ヒロノブ)。

 言わずと知れた、アニメ『ドラゴンボールZ』のOPでございます。

 影山さん、私の中では『レイジー』のVOなんです。永遠に……。

 ミ●シェルぅーーー! 赤頭巾ちゃん……


 〆めは、

『おどるポンポコリン』(B.B.クィーンズ)。

 再登場です……。

 

 都民がサクラの開花にやきもきする、ある日のお昼どき。

 TVをボンヤリ眺めつつ、綾女がぽそり呟きました。


「神幸ちゃんさあ、支部長に会ったことあんの?」

「支部長?」

「『旧会』の」


 ミケさんのことかな?

 まるで、自分は会ったことない風に……ああ、まだ正体を明かしてないのですね。

 綾女には未だ、擬態で接している、と。


「あるのかな?……あるのかも……それ、どなたが仰ってました? 主水?(あ。呼び捨て)」


 綾女は、強烈なニンニク臭の香るカップ麺をずずと啜ると、


「いんにゃ。主水さんは、あれで中々×××(チョメ)が固くてさ」

「『口』ね」

「肝心なコトは教えてくれないんよ。二言目には『守秘義務』って」


 ふわっふわした「お兄様」のイメージ……嘗て「思い浮かべたコトがまんま漏れてしまう」と自戒していた記憶がございますが。

 ちよと成長されたのでしょうか(上から)。


「美冬さん情報さ」

「へ?」

「あの人、割りとチョロ・インなんだよね」

「意外……」

「『あれ? また胸、大っきくなりました?』とか、『~って主水さんが褒めてましたよ!』なんて言っとけばガードがズレるから、その隙間に(ナックル)を縦に滑り込ませて――」※


(ツバメ)返し叩き込んでやりましたぜ!」ばり、得意気にデコを照らす綾女を眺めつつ、美冬さんの身を(少し)案じてしまいました。

 と同時、綾女のしたたかさに内心瞠目です。


 ……どこまで、かの「秘密結社」について情報を得ているのでしょう。


 綾女はカップ麺をそっとテーブルに置くと、ふぅーっと長い息を吐きました。

 ニンニク(くさ)っ。

 鼻を摘まんであさってを向いた私に、


「……あのさ」

「はい?」


 横目でちらと見やると。


 綾女は、もやっとした視線を虚空へ投げ放して、


「御苑の上(の階)って……空いてんのかな」


 誰に、という風でもなく……独り言のように呟きました。


 

 ……僅かな沈黙に耐えかねた私は、思わず――


「アンアン!」

「え……チワワ?」


 残念、チベットスナギツネです(大嘘)――脳内で囁き、先を促すべく、我が邪眼で訴えたのですよ、お母さま……。



☆☆



 その日の夕刻――。

 

 主水さんが、ミケさんを背負って御苑にやって来ました。トメさんの姿はありません。

 噂の支部長、本日は「素」のようです。

 猫耳付きニット帽に、半袖・短パン……イエローで統一されております。

「ミケハ()ス」……でしょうか(確かそんなブランドがあったような)。

 少しだけクルんとはみ出た金色の前髪、不覚にも「可愛い」と思ってしまいました。


 なんでか、いつもお()われているイメージ……張り切って歩いている姿を見た記憶がございません。

 足がお悪いのかな(高齢で)……要・グルコサミンとコンドロイチンかも。



 二人仲良くソファに腰を下ろすと、幼女に肘で小突かれた主水氏が500円硬貨を受け取り、じっと名残惜しそうに見詰めます。穴が空いて別の硬貨になりそう。


 ミケさんは身を乗り出してボタン群を眺め回すと、主水氏の耳にぶふっと息を吹き掛けました。

 身震いした主水氏が青ざめた顔で硬貨を投入すると、ミケさんすかさずボタンを押下。


→『実に面白い』


(ああ、ガリクソン?)

(ガリ●オじゃ)


 テレパシー? で突っ込まないでくださいますか?

 


 あらためて、店内マイクをオンにするや否や、


【無沙汰じゃの】

【……こんちは】


 軽く笑む幼女と、テンション低い従者。


「その節はどうも。お忍びですか」

【トメは体調がの】


 ニコ顔に深刻な影はありません。

 

「まあ」

【春先はやたら眠くなるようだの】

「ははあ」

【春は「死のイメージ」だそうな】


 隣の従者は、げんなりしたままです。

 大方、タクシー代わりに呼び出されたのでしょう。


【トメのヤツ……ワシの後を継ぐのはイヤだと言い出してな。今からでも子を成せとうるさい】

「支部長の?」

【左様。相手もおらぬのに】


 主水さんが、パーカーの毛玉を取り始めました。

 まるで内職のよう。

 無駄に真剣な指先。


「トメさん、恋バナがしたいだけだったり」

【三次元に興味はないのう】

「二次元で興味のある方は?」

【はあ?】


 口元をモゴモゴさせつつ、短い腕を組んで中空に目を向けます。


【そうさのう……最近は……『あくまで僕の推測ですが――』ちゅうのが口癖のキャラにきゅんとなるのう】


 微かに頬を染める幼女。

 ゲームかアニメのアレでしょうか。


「支部長は出産のご経験が?」

【いや?】

「……と、いうことは、ひょっとして……」


 途端、


【うふふふふ……アッハハハハハ! プークスクス】

「今日の一句?」

【む。今日のワ●コ?】

「季語は置き去りですか」

【いや川柳……でもないんだが……】


 顔を赤らめて身を捩る幼女の図。

 これはアカン。

 無駄にカワイイ。


【ま、まあ、あと数年もすれば、「半妖Xの献身」もこの世から失くなるやもしれぬしー】

「研究は順調ですか」

【じゃの。さすれば4区の結界も撤収して、旧会も新会の傘下に……支部長は各区、普通の人間でもよろし】


 従者の、毛玉を取る手が止まります。

 

「秘密結社も解散ですか」

【秘密結社じゃないが。……そうさな、主水。お前やるか?】

【プギャー(棒)】

【すりゃどういう意味じゃ?】

「『お兄様』がボスー?」


 ひとしきり、楽屋落ちコントが繰り広げられました。


 時折、主水さんが能面になります。



「支部長を引退されるとして、『元支部長』はその後、どうされるお積もりで?」


 死ーん。

 主水さんが無言でミケさんを窺います。


【うーん……いち「会員」でもよいが。考えた事もなかったのぅ】

「いち『行政書士』に?」

【退屈なのもしんどいからな】


 幼女の隣から、小さなため息が聞こえました。


「新しく所員を加えたり、とか」

【む? 増員?】


 両手を組むと、やや前のめりになります。


【ほう……なるほど】

「当の本人、覚悟を決めつつあるようで」

【うむ。左様か……】

 

(――最後の弟子……これは必然やもしれぬな)


 ポツリ漏れた呟きに、隣に座る青年がびくりと揺れました。

 


 やがてミケさん、パッと破顔するや、


【ウチのメイドは、小っちゃくて可愛い女子が好きでな】

「お噂はかねがね」

【……眠気も吹き飛ぶであろうよ】


 愉快そうに、クスクス笑って見せたのでございます。



☆☆☆



 ミケさんが小さなお手てで硬貨を投入すると、主水さんが居住まいを正しました。

 徐に口を開くと、


【妻の性欲がオニ強くて難儀している件――】

「ストライーッッ!」


 脇で楚々と茶を啜っていたミケさんが、ぶっと吹きました。


「ド直球ですね。ノーラン・ラ●アンもびっくりです」

【黒田のバック・ドアかも】

【真●中のドアでもトム・ク●ンシーでも構わんが、ここで語ってよいアレか?】

「ほんとほんと」

【……役所で用達(ようたし)してると、無言で――《×××で25時に♥》なんてメモ握らせてきたり】

【不倫中の同僚かえ】

【ドラッグストアいたら、《××××を2ダース。シクヨロ》ってメール来たり……】

「え。避妊してはるの?」

【……】

【なぜ黙るのじゃ】


 ……お母さま、急に眠くなってまいりましたよ。


「もう・ゴッド・ブレス・ユーで」

【お? 知ってるぞ。ぶぶ漬けどうどす? ってアレだろ?】

「よくご存じで(?)」

【延び延びの新婚旅行、京都にしようかと思ってリサーチしてるからな】

【ほう。すりゃ初耳じゃ】

「なるほっど・ブレス・ユー」

【なんて?】

「ですから。早くお帰りくだちぃ」

【ちょ?! なんだよもおおお!】

【もう終わりかえ……ワシの500円返せ、主水】


 いつもの「お兄様」のようです。

 またのお越しを。

※ 『燕返し』

 ボクシング漫画『はじめの一歩』に登場する、真田一機のサンデーパンチ。

 一発目のアッパーをガードさせ、その衝撃でほんの少しガードに隙間を空ける。そこに(拳を)縦にしたアッパーを繰り出し、ガードをすり抜け命中させる、という凝った技。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ