きみの一生をこの曲に。
雪の降る日、隣にいる君はオレンジの灯火を見つめながら呟いた。
「生きていたって証が欲しい。音楽界のゴッホになりたい。」
そう言い残した彼女は、後に日本だけで90万枚以上売り出されるCDの歌い手となり、世界でも注目を集め始めている。
これは、ある2人の少女の一生を残したアルバムであり、僕と少女が夢を叶えるまでの9ヶ月。
将来に悩む奥田翔斗と今を生きる小口詩織のノンフィクションストーリーであり、この物語はフィクションだ。
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「行ってきます。」
紺色のブレザーに袖を通し人の流れに逆らうよう足を進める。
2駅ほど離れた先にある川辺に腰をおろし、数ページしか読んでいない本を開き川を眺める。