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第二話 勝手な結婚


「喜べ! 『外れ聖女』! お前は獣帝国へ嫁ぐことが決まった!!」

「…………」


 珍しく謁見に呼ばれたかと思うと、ご機嫌の王太子殿下が唐突に叫んだ。


 容姿は整っているが、相変わらず私の名前を覚えない頭の弱い王太子である。この国王やその他の臣下達も全員が集合しているが、口を挟まないところを見ると総意のようだ。

 勝手に召喚しておいて雑に扱い、本人の知らぬところで婚姻を結ぶとは一体どんな神経をしているのだろう。本当に自分勝手な国である。

 辟易し溜息を吐きたくなるのが、面倒なことになるのを知っている為、我慢をする。


「あら? 返事は如何したの? 貴女みたいな役立たずが、このミガンマーレ王国のお役に立てるのよ? もっと喜んだらどうなのかしら?」

「カレンの言う通りだぞ! 『外れ聖女』なお前に大変名誉で光栄なことだろう!? さっさと返事をしろ!!」


 香蓮と王太子は仲睦まじそうに、抱き合い私に暴言を吐く。この場に居る全員から視線が集まる。誰もが軽蔑、憎悪を瞳に宿す。嗚呼、本当に嫌になる。


「……謹んでお受け致します」


 勝手に結婚を決められたことは大変不服だが、これはこの国を離れる絶好のチャンスである。


「それは良かったわ! 獣の国は野蛮で残忍だと聞くけど、貴女にはお似合いよ!」

「国同士の友好の証なのだから、あちらの指示には絶対に従え! この国には二度と帰ってくるなよ!!」

「……はい……」


 二人の声が謁見の間に響くと、同意するように割れんばかりに拍手が鳴る。私は強く拳を握った。


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