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003 魔物との遭遇

 何が起こったのか自分でもよく分からない。

 サラスウェルが『テレポート』と言った瞬間、俺達はこの場所にいた。


 ……ここ、森の中じゃん。


「サラスウェル、ちょっと聞いてもいいか?」

「どうぞ?」

「ここ、どこ?」

「あなたの目は節穴? どう見ても森の中でしょ」


 サラスウェルはやれやれ顔でそう言う。

 正直に言うと、少しうざい。


「んなことくらい分かるよ。この場所はどこに位置してるかってことだ。世界地図とか持ってないの?」

「それがねーあんまこの世界の説明を受けてない上に、何の準備もしてないのよね」

「え、あなたって何のために来たんですかね?」

「女神になるためよ……。とりあえず歩きましょ。歩きながら今後の方針を決めるってことで」


 俺の問いを呆れた様に軽くスルーし、前の深い森に向き直る。

 そして、まるで散歩をするかの様に歩み始めた。


「まあ、そうするか。幸い今は真昼間みたいだし、暗くなる前に宿かなんかを探そうぜ」



 ……と言い出してから数十分たったが、森を抜ける気配が1ミリもない。

 さっきから、坂を上っては下って、上っては下っての繰り返しである。

 木漏れ日がチラチラと差し込んでいるお陰で視界は広いのだが、このまま夜になったら少し危険な気がする。


「なあ。本当に森を抜けれるんだろうな?」

「ええ、間違い無いわ。あたしの天使パワーがこの方向に行けと訴えかけているの」


 サラスウェルは薄い胸を張り、自慢げにそう言う。

 天使パワーってなんだよ。


「というか、空飛ぶこと出来るんじゃないか? 天使パワーってやつでさ」

「多分無理だと思う。試練が始まった瞬間にあたしの天使としての力が失われたみたいでさ」

「ふーん。って天使としての力が失われているなら、その天使パワーってのは何?」

「天使としての力と天使パワーっていうのは全くの別物よ。一緒にしないで貰えるかしら」

「んーー??」


 パワーって力って意味なんだけど。

 もう面倒臭いし突っ込まないでおこう。


 ──ガサッ


 そんなことを考えてる時、近くから草むらの揺れる音がする。

 野生の動物か?


「……サラス。今なんか聞こえなかったか?」

「聞こえたわ。多分何かしらのモンスターがいるわね」

「え、まじ? もう初戦闘かよ。戦える武器とかもってないんだけど」


 俺が焦りながらそう言うと、サラスは焦ることなく余裕の表情を浮かべていた。


「お前なんか余裕そうだな。狼とかだったらどうする」

「大丈夫でしょ。そんな大きな動物が隠れることができるほど、大きな草むらもないみたいだし。……ほら言ってる側から可愛いのが出てきたじゃない」


 サラスが指差した方を見ると、そこには小型犬くらいの大きさのリスの様な動物がいた。

 確かに可愛い。

 でも、そいつが放ってたのは可愛らしさではない。

 剥き出しになった牙、所々赤黒く汚れている皮。


 そう。そいつが放っていたのは殺気である。


 一拍遅れて、叫び声をあげる。


「サラス、逃げるぞおぉぉ!」


 振り返り、サラスの手を引き全力で走り出す。


 これは本気でまずいことになった。

 全力で逃げているのだが、距離が広がる気配がない。


「……はぁはぁ。……ねぇ。なんか思いつかないの?」


「お前の方こそ自慢の天使パワーでなんとかしてくれよ!」


 このままじゃ、体力切れで追いつかれる。

 追いつかれたら絶対殺されるだろ。

 あんな血で口元を濡らした獣だなんて。


その時。

 ふとポケットを探ってみると、あるものが入っているということに気が付いた。

 

 これなら……!

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