5027 シンヨウ
「あたしサラスウェル! これからよろしくね!」
何回も鳴るインターホンにうんざりし、俺がドアを開けた瞬間、いきなり目の前の少女にそんな訳の分からないことを言われた。
「いや、いやいや。警察に突き出しましょうか?」
「ちょ! ちょっと待って!」
「待たない。待てない」
俺はドアをバタンと閉じ、スマホをポケットから取り出す。
「ねえ! 待って! 開けて! あなたの秘密を、世界中にばらされたくなければドアを開けて!」
そんなうるさすぎる声に、手を止めてなんとなくきき返す。
「秘密っていうのは?」
「ふふふ。よく聞いたわね。……それはね。あなたが毎日ポテトチップスしめ鯖味とポテトチップスガリ味を交互に食べてほっこりしていると言うことよ!」
なんでしってんの。
別に秘密というほどに大したものでは無いが、俺しか知らない事のはず……。
「なんでそれを?」
ドアを5cmほど開け、おそるおそるきき返す。
「隙を見せたわね!」
唐突にそう言った少女は、隙間から俺の手を掴み、
「『テレポート』!」
そう言った。
瞬間、大きすぎる光に包まれた。
※※※※※※
転瞬の間に、薄暗い森の中にいた。
理解ができない。
いや、さっきまで家の中にいたよな?
なんで? なんで?
「ふふふ。やってきたわね。ここは異世界よ!」
俺の頭の中の困惑に答えるように、隣の少女がそう言う。
「いや、なんでなんで? なんで? 何勝手にやってくれてんの? お前誰?」
「さっき言った通り、あたしはサラスウェル。聞いて驚きなさい。……天使よ! この世界で音楽普及をしましょ」
「これって夢だよな? 音楽普及とか意味わからないし……」
ほっぺたを摘まれる。
「痛いでしょ? これは夢じゃないのよ」
「は? 何でこんなこと俺の許可なしにするの?」
「いや、それは~~。あなた頑についてこなさそうだし~」
「死ねよ」
自分の中の憎悪の感情が湧き上がってきたからだろうか。
思わず、そう言葉に出ていた。
だけど、そんな俺の祈りが届いたのか、彼女の首に大きなリスが噛みついた。
俺の顔に生暖かい血が、勢いよく飛びつく。
「は。……はは。やった。死んだ」
彼女の目が虚ろになり、叫び声すらもあげずにその場に倒れこんだ。
生首が転がる。
────。
ベッドから起きた。
また夢を見た。
内容は覚えてない。
今回は久々にいい夢だった。




