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010 サイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイサイカイ

 ……。

 …………。

 …………あれ?

 ここ、どこだ?


 どうやら、いつの間にか意識が消えていたらしい。

 サラスと宿へ歩みを進めていた筈なのに、俺は暗闇の中で横になっていた。


「んっと。この場所はどごあああぁぁぁああああぁぁ‼︎」


 あまりにも唐突に、突然に、暗闇の中、どこからともなく飛んできた刃物に、腹部を刺された。

 そこが震源となり全身の細胞が激しく震える。


 もう一本。もう一本。

 刃物が腹をえぐる。


「いだぁぁぁあああぁぁあぁ‼︎ いだいいだいいだいいだいいだいいだいいだいいだいいだいいだいぃぃぃ!!」


 また一本。

 また一本。

 また一本。

 また一本。

 変わらぬ調子で、腹をこじ開けるように刃物が腹部に刺さる。


 腹が裂け、腸がニョロニョロとミミズの様にくねくねと飛び出す。

 と同時に臓器が腐ったような激臭と共に躍り出る。

 骨に刺さったナイフの刺激が、全身を電流の様に駆け巡り、痛みを増幅させていく。


 まるで生きているかの様に、腹に刺さった刃物が動き、身体の中を移動し始め、両足の中、両腕の中。

 身体中ぐちょぐちょと掻き回され、暴れる。

 血管がブチブチと切れ、

 口、耳、鼻、目。刃物に破られた皮膚。

 身体中の穴という穴から、血が噴水の様に気持ちよく吹き出している。


「なんでなぁあんでなんんでぇぇでなんでええぇぇぇ!!」


 ただ、サラスと帰っていただけなのに。

 なんでこんなことになる⁇

 なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで⁇⁇⁇⁇


「んっ。……クロキさん。ここは? ねぇ、なんかめっちゃ臭いんだけぐえぇぇぇぉおえおええぇ!」


 横から、聞き馴染みのある声が聞こえたと思った矢先、それはもう醜い、死人の様な叫び声へと変貌した。

 まるで悪魔か何かに取り憑かれた様な声。


「イダイィィイイイイ!! グロギザんんんんん、シヌシヌジヌゥゥゥゥゥ‼︎」


 お互いの顔も見えぬまま、怪物のような互いの叫び声が聞こえあう。


「あ゛あ゛。……ヴァァァぇ」


 声すらまともに出なくなる。

 身体の中に埋め込まれた刃物も動きを止めた。

 しかし、そんな死にかけの状態にトドメをさすかの様に顔面に何本もの刃物が──


 開いた口の中に飛びいる様に刺さる大量の刃物。

 これ以上口が開けられない程に、その場所に刃物が何本も頭を地面び釘打つかの様に刺さった。


 そしてもう一本。

 皮膚と骨を貫通し脳みそに直撃。

 ブチャアと生々しい音が自身の頭から聞こえた。


「ガ…………ッ。ああぁあ…………」


 隣の声は未だに叫び続けている。


「あぁぁあかがかっぁああいあしぬううう!!」


 ──ブチャアア。

 隣で、脳みそに刃物が刺さる音が聞こえた。

 その途端に隣の声が止み、ちょろちょろと可愛らしい水の音が、静かにこの空間に木霊する。


 なんで。

 なんでなんでなんでなんでなんでなんで。

 こんな…………ことに……。


 …………?

 人の気配がこちらに近づいてきている。

 こんなことをした張本人だろうか。

 だけれど、もうそんなことはどうでもよかった。

 この状況を不快に思う余裕すらもない。

 ……早くこの痛みから解放されたい。

 死にたい。痛い。死にたい。


「『フレア』」


 近くの気配から発せられれる幼き少女の声。

 それと同時に、目の前に瞼を開けられない程の巨大な光が現出し、暗闇を大きく照らす。

 ……まるで俺達が、死んだのを確認するかの様に。


 意識が離れるのとほぼ同時に、微かに見えた声の主は、全身を真っ赤に染めて、今にも泣き出しそうな険しい顔をしながら、俺の方をずっと眺めていた。



 ────。



「ああぁぁぁぁああぁぁ!」


 ベッドからはね起きた。

 あまりにも怖い夢に、俺は思わず声を出していた。


 周りを見渡せば、ここはいつものアパートの部屋。

 パソコンの電源が付けっぱなしになっている。

 目に刺さるような眩しさだ。


「はぁ」


 安堵なのか、恐怖なのか。

 どちらが詰まっているのか分からない溜息を吐いた。

 また、怖い夢をみた。

 毎回毎回、自分が死ぬ夢だ。



第二楽章 ~了~

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― 新着の感想 ―
[良い点] Twitterから来ました。蛙鮫です。クロキさんとサラスの異世界での音楽普及活動に希望の兆しが見えてきて,早々グロテスクな場面に展開するのは心臓に悪いです笑  視点も一人称で統一されてお…
[良い点] 現代社会風でありながら、その日常には不可思議が蔓延っている。常識が通用しないその世界観は、言い表せない面白さをかもしだしていた。 はい、非常に面白いと思います。 音楽のない世界で、音楽を…
2021/10/13 04:37 退会済み
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