荷馬車
こんばんはー!
日に日にひどくなるドライアイで、目をぱしぱししている夜月です。
それでは、お楽しみください!
市の当日、俺たちは4時に起きた。日の出よりも前だ。
「ルーク、今日何か見つかるといいな。」
「あぁ、ありがとうな。」
もし何かが見つかったら、すぐにでもここを発つことになるだろう。そしたらノアともお別れだな。
ノアとマナミと俺、3人で朝食をとる。今日、市に行くのは俺たちだけだからだ。いつもは、ノア1人で出向いているらしい。
「ノアさん。いつも朝ごはんありがとうございます。」
マナミがノアに、お礼を言う。相変わらず、美味しそうに食べている。
市でも、何か食べ物みたいな物は出店されているのだろうか。
「市には、屋台とかはあるのか?」
「あぁ!料理趣味のやつがやってる程度だか、かなり美味いとこもあるぞ!」
それは楽しみだな。マナミにも何か食べさせてやりたい。
「そういえば、俺たちは今日、どうやってものを買えばいいんだ?」
「あぁ、そうだったな。俺がついててやるぜ!こう見えて、交渉とかとくいなんだ。1週間頑張ってくれたから、なんでも買っていいぞ!」
買い物については、ノアに任せてしまっていいらしい。
朝食を済ました俺たちは、外にある荷馬車に乗る。運転はノアで、俺たちは、後ろに乗らせてもらっている。月見草と相席だ。
「なぁ、ノア。その荷物はなんだ?」
品物は、昨日のうちに荷馬車に乗せてある。しかし、ノアが大きなカバンやらなにやらを、運び入れてきた。
「これか?なんというか、あれだよ。そうだ。要らなくなったから、一緒に売っちまおうと思ってるんだ。まあ、気にしないでくれ!」
なるほど。品物以外でも、要らなくなったものも売れるのか。なにかと便利だな。
「よし、お前ら大丈夫かー?いくぞ!」
そう言って、ノアが手網を持って、馬を走らせた。
「何時くらいに着くのですか?」
出発しだしてから、しばらくだった時だ。マナミが前に顔を出して、ノアに訪ねた。
「そうだな、5時間後くらいだな。」
俺たちが家を出たのが5時くらいだったから、10時頃には着くということだろうか。
しかし、壁の外側は、ここまでも広かったんだな。俺の知っているアルカナなんて、ほんの一部だったのではないだろうか。
ちなみに、俺たちの後ろには他にも荷馬車が続いている。家の買い物は、それぞれで、ということらしい。
着くまでの5時間以上あるのか。かなり長いな。今のうちに、マナミから少しでも手掛かりを集めておくか。
「お前が轢かれたときに聞いたという、『声』の特徴を教えてくれないか?」
「声ですか?そうですね。こんな感じでしたよ。」
そう言って、声真似をしようとしてくれる。しかし、いつものマナミとさほど変わっていない。俺が苦笑すると、
「なんで笑うんですかー!」
と言ってきた。
「じゃあ、性別は覚えてないか?」
「性別なんですけど、分からなかったんですよね。」
分からなかった?それは、どういうことだろうか。
「何とも言えない声だったんですよ。私の声よりは低かったんですけど、男性ほどルークさんよりは、高かった気がします。」
マナミより低くて、俺よりは高いか。俺はたいして声が低いわけでは無いが、性別を絞ることはできないだろう。
「あ、でも、聞いていて心地の良い声だったことは覚えています。」
心地の良い声。何とも主観的な意見だ。参考までに覚えておこう。
しかし、マナミは声しか聞いていないという。これ以上、手掛かりはつかめそうにもない。どうしたものか。
俺は、手綱を握るノアの姿を見る。彼はとても頼りになる。本当のことを話してみてはどうだろうか。もしかしたら、力になってくれるかもしれない。
しかし、異世界があるなんて、簡単に信じてもらえるだろうか。俺ですら、まだ信じられていない。
だが、マナミと話していると、時々違う世界の者なのだろうかと、思うことがある。俺の知らない言葉が出てきた時だ。話を聞く限り、マナミはアルカナより発展した国から来たようだ。
これ以上マナミに聞けることはなさそうだから、何か別の話をしよう。マナミが話してくれる地球の話は、なかなかに面白い。
「なぁ、この前していた和食の話の続きでも、してくれないか?」
「はい!」
マナミは地球での話を、さみしそうに、でもそこか楽しそうにしてくれる。
「一回休憩だ。」
ノアが馬車を止め、大きく伸びをする。マナミと話しているうちに、割と時間は経っただろうか。
「お疲れ様。悪いな、俺達運転できなくて。」
「きにすんなー。」
俺は、一度荷馬車から降りる。さっきまでは森を走っていたが、ちょうど抜けたところのようだ。川に沿って進んでいる。
俺は森を見るのが初めてだった。空気が心なしか、きれいな気もした。自然はいいな。
ノアが降りてきて、川の水を口にする。
「え、川の水を飲んでいいのか?」
「お前、飲んだことなかったのかよ。いつも飲み水どうしてたんだ?」
今までは、水はお金を払って買っていた。第一、川の水なんて汚くて飲めやしない。見た目は魔法によりきれいにされていたが、中身は泥水だ。飲んだら、腹を壊してしまう。
俺も川の水を口にする。
「おいしい...!」
軽やかで、冷えていておいしい。お金で買う水より、ずっとうまいのではないだろうか。続けてごくごくと飲んでしまう。
「ルーク!そろそろ行くぞー!」
先に荷馬車へと戻っていたノアに呼ばれて、俺も戻っていく。
しかし、荷台に入ろうとすると、マナミが眠っていた。俺は一度入ろうか悩んでやめた。今日は朝が早かったから、疲れているのだろう。俺はノアの隣に、邪魔にならないように座る。
「どうしたんだ?」
「マナミが寝てたから。」
「そうか。じゃあ行くぞ。」
再び荷馬車は走りだした。正面から受ける風は、とても心地よかった。
「ついたぞー。」
ノアがマナミを起こしている。揺さぶられてもなかなか起きていない。
俺たちは、荷馬車を市の一角に停めている。
「どうすればいいんだ?」
「ここに居座って、欲しい奴が来るのを待ってもよし、自分から交換しに行くのもよしだ。まあ、最初は交換しに行こう。」
先に目的の物を手に入れるらしい。俺たちの洋服だな。
「おはようございます。」
マナミが起きてきた。
「わあ、すごいですね。お祭りみたいです!」
そう言って、マナミが顔を輝かせる。
確かに、お祭りのようだ。たくさんの人たちの熱気に、食べ物の香ばしいにおい。俺もわくわくしてきた。
「洋服なら、アクセサリーが相場かな。」
そう言って、ノアは雪見草で作ったアクセサリーの入った袋を持つ。マナミの耳には同じものがついている。
「よし、行くぞー.」
俺たちは、洋服屋を探し出した。
最近、洋服買ってないんですよね。出かける機会が少なすぎて、買っても着れないので。
それではまた!待ってます!!




