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「DAZNとYOUTUBEとウイイレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが」  作者: 米俵猫太朗
第三十七章:ドワーフ再戦

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運試しにダメ出し

 本気で彼女たちから案が出るとは思っていない。だがちょっと考えてみて貰っても良いだろう。俺は時間稼ぎに話を付け足す。


「前半戦で全チームと戦って戦力も具体的に分かって、結果もあんな感じで、アローズが今季のリーグ戦で優勝する可能性が無いのは分かってるだろ? となると後半戦はリーグ戦をやや抑えめで戦って、カップ戦の方へ全力をぐってのもアリなんだ。運さえあれば優勝だって狙えると思う」


 ステフとミガサさんにも後々、伝える事になるがカップ戦の試合の幾つかはリーグ戦と平行して行われる。その両方にスタメンの全てを使うのは――特にスタミナに難があるエルフ代表にとっては――現実的ではない。 

 

となるとリーグ戦は控え中心で程々の成績を狙って戦い、カップ戦に主力を投入して優勝を目指す……という戦法も考えられるのだ。


 それもこれも全て、抽選次第。フェリダエやトロール等と別の山へ入り、彼女らが潰し合った上で決勝戦の一発勝負なら……もしかすると……。


「ステータスオープン!」


 突如、ステフが広げた手の平を俺に見せて叫んだ。


「おわっ、何だよ!?」

「ちっ、出ないか……」


 ダスクエルフは悔しそうに自分の手を見て呟く。


「異世界モノって別のチート能力があった上で、ステータスも見れるヤツが多いんだけどなあ」

「そんなんあったらとっくの昔に使っとるわ!」


 別に『素早さ』とか『運の良さ』とかまで見えなくても、サッカーゲームみたいにスタミナだけでも頭上に浮かんでいたらどれだけ便利か……。


「実際の抽選会を模してくじ引き大会を行って、運の良い選手を選抜してみるのはどうですか?」


 ミガサさんが銀の髪を揺らし小首を傾げて問う。俺たちがバカをやっている間も考えてくれてたなんて、良いエルフだ。


「確かにそれが良いかもですね。運が良い人は、日常的にも運が良いらしいし」


 実はアメフトには運の良さを計ったチームもいる。チームに興味があるという大学生QB達にプレイブックを送付するのだが、それの最終ページにこっそりお札を忍ばせておいたのだ。

 で、そのお札をどうするかを見る。多くの大学生QBは存在にすら気づかずプレイブックをそのまま送り返してきた。何名かはお札をネコババした。ある一名だけは


「お札が挟まっていましたよ」


と封筒に手紙を添えて送り返してきた。チームはもちろん、彼を採用したという……。


 ってどうも話が出来すぎで怪しいけど! それにこの実験、運の良さというか洞察力や真面目さの方を測定している気がするし。あと気づきもしなかったヤツと敢えてそのままにしたヤツとの区別もつかないし。


 とは言えそれはそれで、ちゃんと最後まで読んでお札に気づき手紙まで添えて返したヤツは良い人だと思う。一緒に仕事したいし、採用されて幸せになった事だろう。


 じゃあやっぱ運の良さでもあるか?


「それでは華がないなあ。やっぱりカップ戦でもやったらどうだ?」

「は? どういう意味?」


 難しく長い話だったからか、俺の心を読んでなかったらしいステフが謎の提案をしてきた。


「だから真のカップ戦だよ! 全員でおっぱいの大きさを競って、一番デカいのを連れて行くという……」

「そっちに話を戻すな!」


 俺は丸めた雑誌でステフの頭を叩いた。これ、大活躍だな。


「あと胸の大きさと運の良さは関係ないだろ!」

「ある! 胸が大きく産まれたって事は運が良いって事だ!」


 見た目も精神年齢も少女のようなダスクエルフは唇を尖らせて続ける。


「胸が大きい、てだけで男共は贔屓するだろ? んで贔屓されれば生きるのも楽だし……つまり運が良い!」

「確かに贔屓はされがちだけど、それはそれで性的に不快な目に遭ったりなんなりで辛い事も多いそうだぞ?」

「そうですよ。それに肩こりもしますし、運動や戦闘の邪魔にもなりますし……」


 俺が社会的な面、ミガサさんが身体的な面での不利益を言って聞かせる。言われたステフは不満そうだが、内心では分かっている筈だ。


「それに今更、競う必要はありません。選手の胸の大きさは、私もショーキチ監督も脳に入っています」

「「えっ!?」」


 ミガサさんの爆弾発言に俺とステフが同時に声をあげた。


「なんで? 実は既に一通り揉んでいたとかか!?」

「ミガサさん変な事を言わないで下さい!」

「だって……」


 俺たちの問いには直接回答せず、銀髪のエルフはメディカルルームの棚へ向かい、あるファイルを持ってきた。


「はい、選手のフィジカルデータの一覧です。前に計ったでしょう?」

「ああ……」


 俺は納得し、安堵の溜息を漏らした。そうだ、ミガサさんを登用してすぐに選手達の身体能力やサイズについて計測したのだった。ついでに歯形もとってマウスピースを作れるようにもしたんだよな。


「ひゃっほう、こんなデータが! どの選手の秘密も丸裸じゃないか!」 


 一方、ステフの方は手渡されたファイルを嬉しそうに熟読していた。こいつ、女の子の筈なのに割とオッサンぽい脳味噌してんだよな……。


「むふふ! あの子、そんなにあるのか。隠れ巨乳だな!」


 くっ、その手には乗らんぞ!


「話はズレましたが、エルフが運試しをする時はどんな事をするんですか?」

「デイエルフは目隠しをして矢を放つ遊び等をしますが……」


 ステフの言葉から必死に気を逸らし質問すると、ミガサさんは軽く弓を引くジェスチャーをしながら答えた。


「へーそんなものが。でもドーンエルフは?」

「しませんね……。どうなのでしょう?」


 そちらについてはミガサさんも詳しくないようだった。そう、この世界のエルフは細かい種族に分かれているんだよね。


 森に住み弓を上手く使うのがデイエルフ、都会に暮らし魔法に長けているのがドーンエルフ。更にレイさん達のように地下から来たナイトエルフや、ステフみたいな堕屑エルフもいる。


「たぶん、弓は使いませんよね? それだと公平感に欠けるか……」


 ドーンエルフやナイトエルフはデイエルフほど弓が上手くない。デイエルフの運試しの詳細までは知らないが、腕前の差が介入すると純然たる運試しとは言えなくなるだろう。


「丸裸……そうだ!」 


 俺が悩んでいるとステフが唐突に叫んだ。なんだ、堕屑エルフには突っ込まないのか。


「ああ、寛大なダスクエルフ様は突っ込まない上に良いアイデアを提供してやろう。それは『じゃんけん大会』だ!」


 ステフは凄いドヤ顔で、かなり普通の事を言った……。

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