表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/699

救世主か吸せいしゅか……

 目を開くと俺は品格が高そうな客室にいた。エルフの王城で泊めて貰った部屋と非常に良く似ている。同じと言えば服装もあの時のスーツだ。

「あれ? もう帰った?」

と周囲を見渡し違いに気づいた。俺はベッドではなく長椅子に横たわっており、その両手は頭上に伸ばした形で縄で縛られている。

「え? 何これ?」

「じゃじゃ~ん! 困った時のシャマーさん登場!」

 そんな声と共にピンクの髪を揺らしてシャマーさんが現れた。なんと空中から。

「なっ、シャマーさん! これはどういう事ですか!?」

 これ、とは今の状況もシャマーさんの格好――黄色いスケスケのベビードールにチョーカー、同じ色の下着――も指す。

「説明しよう! ジノリちゃんにやったのと同じ様に、ショーちゃんの夢に潜入して良い感じになろうとシャマーさんは考えた。しかし! 普通に入っても警戒されるし一回で決めきれなかったらステフたちに警備をお願いするようになるかもしれない。そこでショーちゃんの『むらむら感』を魔法で密かにモニターし、それが最高峰に達した時を狙って夢魔術を発動、一気に既成事実を作る事にしたのだ~」

「何ぃ!? そんな恐ろしい計画が……って『むらむら感』て何!?」  

 そんなの計られてたの!? 恥ずかしいじゃん!

「簡単に言うと『溜まってんだろ?』て事よ?」

「いや分かってたけど! 女の子がそんな事を言うんじゃありません!」

 自分で言った『女の子』という言葉に自分でドキっとしてしまう。何故って目の前のシャマーさんは事実凄く女の子で……ボリュームは少な目だけどスタイルは良いし、怪しく透けるベビードールの向こうに滑らかそうな肌がうっすらと見えて目が離せなくもある。

「どう? これ気に入った? 説得(色仕掛)に+4のボーナスがつく魔法のベビードルなんだよ?」

 シャマーさんは裾を靡かせながらその場でクルっと回った。あ、お尻の方はそうなってるんすね……。

「いっ色々と、ごっご丁寧な説明どうも」

「いえいえ。じゃあ今度はショーちゃんが説明して? その娘……誰?」

 そう言うとシャマーさんはさっと指を出す。その指が向かう方向には俺が寝かされているのと似たような長椅子があり、その上ではレイさんが熟睡していた。

「あれ? レイさん?」

「レイさん?」

 シャマーさんの目がすぅ、と細くなる。恐れていた事態だがまさかこんな早く、しかも夢の中で起きるとは!

「彼女はナイトエルフの街でスカウトした選手で、ポジションはFWの1.5列目から攻撃的な中盤までかな? 柔らかいボールタッチと瞬発力、優れた判断力と想像力を持ったファンタジスタで、攻撃の要となる存在だ」

 俺は用意していた言葉をそこまで一気にまくし立てた。

「ふーん、面白そうな選手をみつけたのね~。って違うわよ!」

 シャマーさんは顎に手を当てふむふむと唸っていたが、ビシっとその手で俺の膝を叩いた。

「なんでこの娘が夢の中にいるのよ!?」

「知らないよ! 夢魔法をかけたのはシャマーさんだろ!?」

 ジノリさんに『だけど気になる昨日よりもずっと(以降省略)』作戦を仕掛けた時も、俺だけ認識を変えるとか細かな調整をしてた筈だ。だから今回もシャマーさんがレイさんを夢に巻き込んだ……のではないのか?

「夢魔法と体質に関係があるのかしら? でもナイトエルフの性質、詳しくないから分かんないな~論文探してみるか。別の仮説としては肉体的に接触しながら寝ているとか。或いは……」

 自分の唇を摘みながらボソボソ言っていたシャマーさんは、レイさんの前に歩み寄り寝息を立てる彼女の髪をそっとかき上げた。

「この子がショーちゃんの心の深い所まで入っているとか?」

「うう~ん? どしたんショーキチにいさん~?」

 ふと、そんな声を漏らしてレイさんが身じろぎした。

「えっ、どうしよ!?」

 シャマーさんは跳ねるようにバックステップしてこちらへ移動し、俺の隣に座る。

「うーん。おはよう」

「お、おはよう」

「おはようございます」

 目をこすり上体を起こすレイさんに俺とシャマーさんが揃って並んで挨拶をする。そっと彼女の手が動き、俺の手の捕縛を解除した。

「あれ? ここどこ~? ショーキチにいさん何その服、格好いいけど? おねえさんどちらのかた?」

 まだ寝ぼけ眼でレイさんがゆっくりした口調で訊ねる。

「ここは魔法の夢の中で、俺は打ち合わせの為に正装して(スーツを着て)て、こちらは打ち合わせ相手のシャマーさん」

「シャマーです、どうも」

「どうも……ってあのシャマーねえさん!?」

 シャマーさんの名前を認識した途端、レイさんは一気に目を覚まし飛び上がって近づきシャマーさんの手を取った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ