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第四話

お久しぶりです!

短いですが、投稿しました。

少しづつでも進めていきたいと思います。

 《水の都》は、街のいたる所に運河が流れている、涼しげで綺麗な街だった。

 細い水路を白いゴンドラが行き交う様子を横目に見ながら雑貨屋に入ると、優しげな女性が「いらっしゃいませ」と声をかけてくれた。


「なにをお探しですか?」

「あ、ええと。この辺りの地図を……」

「それなら、これですね。500Cになります」

「500C!」


 高い!

 所持金が2000の今、馬鹿に出来ない出費だ。

 ……けど、地図無しで探索なんて厳しい真似はしたくないしなー。むう。


「……買います」

「まいどあり」


 にっこり、と微笑むお姉さんの笑顔がちょっぴり憎らしく感じたり。

 これはこの先、節約しないと駄目だなあ……。

 なんでいつも金欠に悩む羽目になるのだろう。


「世知辛いなあ……」


 小さく呟きながら、私は地図を購入したのだった。


 

 店の外に出ると、どこからか甘い匂いが漂ってきた。

 いい匂い。

 匂いの元を探して視線をさまよわせれば、クレープに似た物を売っている屋台が目に入った。


「いらっしゃい。安くしとくよ!」


 屋台のお兄さんがいい笑顔で誘ってくるけど、節約を心がけないといけないからなあ。

 我慢しよう、と首を振って離れかけた時だった。

 ーーぐうう。

 可愛いらしいお腹の音が、すぐ近くで鳴った。


「うう」


 お腹を押さえて顔を赤くしているのは、十歳前後の女の子だった。

 金髪を高い位置でポニーテールにして、水色のミニドレスを着たその女の子は、青い瞳に涙を浮かべ、恥ずかしがっている。

 だけど、それでも屋台は気になるようで、ちらちらと横目で見つめていたりする。

 ……ふむむ。


「……あの、それひとつください」

「はい、まいどどうも!」


 女の子を見すてることはできませんでした。

 ちなみに、お値段200Cなり。とほほ。



「お姉さん、ありがとう」


 女の子は恥ずかしそうにしながらも、クレープもどきを美味しそうに食べた。


「最近、ろくな物食べてなかったの。おかげで人心地がついたわ」

「うん、どういたしまして」


 女の子にお礼を言われ、返事を返しながら私は内心首をかしげていた。

 年の割に、ずいぶん大人びた話し方をする子だなあ。


「美味しかったわ。ありがとう」 

 

 女の子はお行儀良く食べ終えると、スカートの裾をつまんで一礼した。

 その姿は幼くても一人前のレディのようで、思わず見とれてしまう。


「ちゃんとしたお礼はまた今度。わたし、今は行かなきゃいけないの」

「行く? どこへ?」

「ごめんなさい、話せないの。お姉さん、本当にありがとう」


 女の子はそう言って走り出し、そのまま水路の向こう側へ。

 なんとなくその姿を見送っていると、こちらを振り返った女の子は笑顔で手を振った。


「またね、お姉さん。わたし、リーズって言うの。覚えておいて!」


 よくとおる高い声で名乗った女の子ーーリーズは、今度こそ去って行った。


「……リーズちゃん、か」


 私は手を振り返すのをやめて、小さく微笑む。

 200C以上の笑顔だったかな。


「さて、レベル上げ、頑張るぞー!」

「ピィ!」


 気合を入れて拳を振り上げると、胸のポケットに隠れていたレヴィがぴょこんと顔を出した。

 うん、一緒に頑張ろうね、レヴィ!


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