第十二話
林の向こう側、岩場にいたのはBランクのモンスター、岩石ヤドカリだった。
私とポールさんはヤドカリの注意を引き、ロクス達から引き離すために行動を開始する。
「まずはオレがやる」
ポールさんが腰の袋から小さな鉄球をいくつか取り出す。
それは振りかざされたヤドカリのハサミにと投げつけられた。
ヤドカリがこちらを見る。
「行くぞ、リン!」
「はい!」
私とポールさんはヤドカリの脚に斬り掛かった。
ヤドカリが大きなハサミを振り下ろす。
それを左右に分かれて避け、また攻撃を仕掛ける。
私から見えるヤドカリのHPバーは、かなり格上を示すわずかにオレンジがかった赤。
ほとんどダメージを与えられないが、それでも気を引くことには成功している。
「おら、さっさとこっちにこい!」
視界の隅で、ガランドさんがロクス達を遠ざけているのが見える。
だいぶダメージを負っているようだけど、助けられてよかった。
少し安心したとたん、ヤドカリが二本のハサミを私に向けた。
同時に襲いくるハサミをなんとか回避する。
間一髪避けられたけど、危なかった……!
「気を抜くな!」
「すみません!」
ポールさんに叱られて気合いを入れ直す。
そうだ、まだバトルは終わっていない。
しっかりしなくちゃ。
「よし、待たせたな!」
私とポールさんがヤドカリの注意を引きつけ続けていると、ガランドさん達が参戦してきた。
ガランドさんは大斧、残る二人は長剣だ。
三人はヤドカリを囲み、見事な連携で追い詰めていく。
そして、ガランドさんが大斧を振りかぶった。
「これで終わりだ! 《兜割り》!」
凄まじい大斧の一撃を受けて、岩石ヤドカリのHPバーはとうとうゼロになったのだった。
その後、ロクス達のパーティーはギルドでこってり絞られ、ペナルティを受けた。
私達も、悲鳴を聞いて後先考えず現場に向かったことを叱られたのだけど、ロクス達を助けるのに協力したことには感謝された。
「それにしても、あんなところに岩石ヤドカリがいたとはなあ」
腕を組んでガランドさんは唸り声を上げた。
「本来なら、せいぜいDランクしかいないんだがな。まあ、大きな被害が出る前に倒せてなによりだ」
「他にもいたりしないんでしょうか?」
念の為に聞いてみたけど、たぶん大丈夫らしい。
「一応、調査はするけどな。おそらくいないだろう。まあ、安全だとわかるまでは立ち入り禁止だ」
それはそうだと皆うなずく。
もしも他にもいた場合、大変なことになるしね。
そんなこんなで予想外のことはおきたけど、私達の狩りはおおむね上手くいった。
「また一緒に狩りに行こうな」
「またね、リンちゃん」
「それでは、また」
アベル達三人と別れて、宿に向かいながら私はレヴィに話し掛けた。
「今回もなんとか無事に終われてよかった。ね、レヴィ」
「ピィ!」
見上げた空は綺麗な茜色に染まり、一日の終わりを告げていた。




