第八話
お久しぶりです!
「郵便でーす!」
私、リンは今日もギルドの仕事に精を出していた。
先日、ロゼルト皇国に向かう隊商の話を聞いたばかりだからね、頑張らなきゃ!
足取りも軽く、手紙や小包を配り終えた頃だ。
「獣人のお姉さん」
私を呼び止めたのは、水色のミニドレス姿の女の子ーーリーズちゃんだった。
「リーズちゃん! 久しぶり、元気だった?」
「ええ、それなりに。お姉さんも元気そうでよかったわ」
微笑むリーズちゃんは相変わらず年の割に大人びている。
少しだけ白い髪の少年を思い浮かべながら、私はリーズちゃんに問いかけた。
「これからどこかに行くの?」
「いいえ、帰るところ。でも、その前にせっかくお姉さんに会えたのだし、この前のお礼をさせてもらえない?」
「お礼?」
はて? と首をかしげる私に、リーズちゃんは大通りを指さす。
「クレープのお礼。好きなものを選んで。今日はわたしがご馳走してあげる」
「ええ?」
そ、それはどうだろう?
大人びているとはいえ、見た目十歳前後の女の子におごられるのはちょっと……。
「……ダメ?」
断ろう、と考えたのがわかったのか、リーズちゃんがしょんぼりと肩を落とした。
可愛い女の子が落ち込む姿は、まさに雨にうたれたお花のようで……うう。負けた。
結局、リーズちゃんの奢りでワッフルをご馳走になったのだった。
し、仕方ないよね、うん。
「ありがとうリーズちゃん」
「どういたしまして。ふふ」
ご機嫌なリーズちゃんが可愛いので、まあいいことにしとこう。
二人で広場の隅に置いてある石造りのベンチに腰掛け、ワッフルをのんびりほおばる。
ところで、リーズちゃんって良いところのお嬢様な気がするんだけど、一人で歩いていていいんだろうか。
さりげなく話をしたところ、いつもは大人の人と一緒らしい。
「今日はたまたまなの。だから安心して、お姉さん」
「うーん」
安心して、と言われても……。
なんだかフラグが立ってるような。イキイキしているような。
「……うん、私が送ったげるよ。どこいくの?」
こんな可愛い子が一人で歩いていると思うと心配でしょうがない。
私が提案するとリーズちゃんは大丈夫、とやんわり拒否してきたが、こっちが引かないとわかると、じゃあ、と頷いた。
「南通りの教会まで」
「教会?」
「ええ。今そちらにごやっかいになっているの」
「へえ」
教会、かあ。
一度も行ったことの無い場所だなあ、と思いながら、私はリーズちゃんと一緒に歩き出した。




