日本本土防衛戦 第6.5章 反動
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イギリス空軍による戦略爆撃軍団が、大日本帝国本土南西諸島及び九州地方に戦略爆撃を行った日と、夜にアメリカ陸軍航空軍戦略爆撃機軍団がソ連を戦略航空基地として首都圏空襲を狙った事について、日本共和区統合省庁舎の大臣室で統合省の長であり、この時代に派遣された自衛隊の最高司令官でもある加藤茂は防衛局長官の村主葉子と統合幕僚本部長の本財保夫陸帥から日付が変わった深夜過ぎに報告を聞いた。
3人とも背広でも制服姿でも無く、作業服姿だ。
「イギリス空軍の戦略爆撃軍団は、中国の国民党と共産党のどちらにも属さない、イギリスと比較的友好関係にある中国の少数勢力が、使用する航空基地を使って、南西諸島と九州地方に戦略爆撃を行ったと予想されます。アメリカ陸軍航空軍は、ソ連の極東方面のどこかの航空基地を拠点に首都圏への戦略爆撃を計画したと思われます」
村主の説明に、加藤は腕を組みながら、口を開いた。
「軽微とは言えないが、首都圏の防衛態勢は破られる事は無かった。B-29は全機撃墜し、アメリカ陸軍航空軍による戦略爆撃機は首都圏上空に侵入される事は無かった」
首都圏への戦略爆撃は防げたが、まったく喜べる結果では無かった。
実際、首都圏空襲の隙を突いて、B-25[ミッチェル]の20機程度の爆撃編隊が海面ぎりぎりを飛行し、函館と大湊に襲来し、軍事施設が爆撃された。
爆撃されたのは兵器の整備工場、航空機、戦車等の予備部品や整備器具等の保管した補給処、航空機、艦艇用の燃料貯蔵庫だった。
さらに函館には海軍の警備府が置かれて、そこには北海道であらゆる事態が発生しても即時対応ができる為の、医薬品や保存性が高い糧食を保管した倉庫がいくつかあり、そのうちの半数が爆撃され、破壊された。
「人的被害はかなり少ないが、被害は甚大だな」
加藤がつぶやくと、本財が口を開いた。
「沖縄本島でB-17に体当たりされ、破壊された補給処には那覇航空基地で運用されていますF-4EJ改の部品が保管されていました。それらがすべて破壊されましたので、8機のF-4EJ改が使用不能です。燃料貯蔵庫も破壊されましたので、南西諸島防衛計画での自衛隊の統合運用が制限されます。B-29を迎撃したイージス艦[みょうこう]と[ハリー・ネイサン]はSM-2を使い切りましたので、舞鶴軍港に入港し、補給しなくてはなりませんが、舞鶴軍港には予備のSM-2はありませんので、最寄りの補給処から空輸する必要があります」
本財の説明に、加藤は鼻を鳴らした。
「むむむ・・・」
海上自衛隊の艦艇搭載用の誘導弾は安全を考慮して横須賀と呉の補給処に厳重な警備態勢で保管されている。
それ以外にも存在するが、例を上げる補給処はこの2つだ。
「アメリカの日系人保護処置が、悪い方向に傾いたな」
加藤はつぶやく。
アメリカ合衆国では、日系アメリカ人が収容所に収容される事は無かった。
情報では、アメリカ軍部は対日戦略を大きく変更し、愛国心の強い日系アメリカ人から志願者を募り、対日作戦に投入している。
これは史実でもあったが、いくつかの理由で日系アメリカ人を対日戦に使う事は無かった。
第2次世界大戦後期に開発された重戦車、航空機、戦闘艦艇等が大量に建造されている情報が新世界連合から持たされたし、統合省各内部部局の情報部からもそのような情報が届いている。
アメリカ海軍は潜水艦を使って、東洋系アメリカ人を大日本帝国本土に潜入させているし、中立国を通じて偽装身分で大日本帝国に入国する諜報員がいる。
いかに新世界連合多国籍警察局や、連合捜査局から捜査技術を教育されたとはいえ、大日本帝国公安省特別高等警察局、内務省警保局経由で各地方国家警察本部の警察官たちと陽炎団の警察官たちでそれらの摘発には限界がある。
それに、国内の不満分子がまったくいない訳でも無いから、それらの摘発にも人手を取られているし、食料や日用品の配給等の問題でトラブルが相次ぎ、治安の悪化も懸念されている。
ダグラス・マッカーサー大将を含むアメリカ陸海軍の高級士官や上級士官たちを捕虜としてでは無く、賓客待遇で大日本帝国に入国させた際に、主戦論派の一部の過激団体が彼らを襲撃し、マッカーサーたちの警護を任された国家憲兵隊の憲兵と特別高等警察局外国人警護部の特高警察官と衝突した。
一月前には陽炎団警備部が対テロ対策とテロ行為防止のためにSATと銃器対策レンジャー部隊による合同作戦で一部の指定された主戦論派団体と反戦派団体の過激派勢力に奇襲攻撃をかけ、一斉検挙した記憶は加藤の記憶に新しい。
この時、100名以上の過激派勢力を検挙し、50名近い過激派勢力を射殺又は無力化した。
「次の本土再空襲に備えた対応はどうだ?」
加藤が、本財に聞いた。
「太平洋側と南シナ海側に展開している大日本帝国本土海上防衛の護衛隊とミサイル艇隊を出港させて、海上と対空の警戒網を強化します。早期警戒管制機と早期警戒機の索敵飛行範囲を拡大します。陸上部隊も広域の対空レーダーを装備した車輌も随時出動させて、地上の防空警戒網を強化します」
本財の説明に、加藤は日本地図を見下ろした。
「本土空襲の可能性は無いと慢心していた大日本帝国陸海軍も、これで考えを改めなくてはならないだろう。これで航空予備軍を空軍に格上げし、正規の第3軍に独立させる交渉も時間をかける必要が無い」
3人の会談は朝まで続き、結局、朝の9時に予定されている統合省庁舎の大会議室で行われる防衛会議1時間前に終わった。
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次回の投稿は8月15日を予定しています。




